魔法の鏡、DKに転生する〜モブですらない無機物キャラだった筈ですが〜

Q矢(Q.➽)

文字の大きさ
2 / 15

2 少しばかり昔話をしましょうか

しおりを挟む

前世、魔女に使役していてロクな事が無かった記憶のある僕は、朧げだった記憶が徐々に鮮明になってきた5歳頃から密かに考えていました。
もしや、他の登場人物達にも僕のように転生している可能性があるのでは?という事を。
...いや、十分有り得るでしょ。魔力が練り込まれて対象人物の位置情報を検索し映し出す機能やお喋り機能も搭載されていたとはいえ、一応は無機物だった僕が人として転生するくらいですよ?元から人として登場していた他のキャラクター達が転生していないと思う方が不自然では?

考えれば考えるほど、それは信憑性のある考えに思えました。そして、5歳、6歳と年齢を重ねていく内に、僕の胸の中にはある想いが募り始めました。それは…。

(今世はお后様には絶対お会いしたくない)

という事です。
だって、考えてもみてください。再婚相手の子供が自分のご自慢の美貌を超える超美少女だったからといって、亡き者にしようとかします?いくら何でも普通はそんな事考えないでしょ?相手、子供ですよ?今でいうと、中高生くらいの。僕もびっくりしましたからね、あの時は。あまりの大人げなさに。

…まあでもね?
王様の後妻になったお后様と共にお城に入って、あの可愛らしい白雪姫を間近で見るようになったんですが、成長していくにしたがってどんどん綺麗になっていくんですよ。そりゃもう、怖いくらいに。
あまりの将来有望さに、

(あちゃー、こりゃ時間の問題だなぁ)

だなんて、一応はお后様の鏡である僕も戦々恐々としてたのは事実です。お后様の毎朝のルーティンである、『鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰だい?』に、『貴女です』と言ってあげられなくなる日が来る事を思うと、無い胃が痛む思いでした。ガッカリするだろうなあ…って。
まあそれも心苦しかったですけど、それ以上に気が重かったのは、その事態に陥ってしまった場合のお后様のヒステリーです。
僕、お后様とは彼女がごく若い頃からの付き合いだったので、その性質はよく知ってるつもりでした。気分屋で気性が激しくて執念深くて、お世辞にも性格が良いとは言えませんでしたね。そして彼女は、世界一の美貌である事がご自身のアイデンティティだと考えていらした方でした。ですから、それが奪われた時、暴走するであろう事が僕には容易に想像できたんです。だって、王様と結婚してお城に上がる以前にも、自分の世界一の座を脅かす女性を数人〇〇して……まあ、〇〇内は察して下さい。
ですが僕は、お后様と一緒にお城に上がったお后様の単なる所持品のひとつに過ぎませんでしたが、白雪姫と呼ばれていた幼い姫君様の成長も見守ってきました。ですから無機物の魔道具の身ながらも、姫君様にはお健やかに過ごしていただきたかった。僕の答えに激昂したお后様の毒牙にかかって欲しくはないと思いました。
ですが、僕は命じられればその通りに様々なものを映し答えを述べるだけの単なる魔道具に過ぎず、数百年存在したゆえに自我を持てども、その意志を反映する事は出来ませんでした。
姫君を助けたいと思っても、何も出来なかったんです。不甲斐ない。

それに……長くお仕えしていたお后様にも、情があったんですよね。
おかしいですね、鏡の癖に。自分でもそう思います。
でも、お后様にも良いところはあったんですよ。世界一の美を保つ為に並々ならぬ努力をしているのも、ずっと見てきてましたし。
だから、彼女にはどこかで気づいて立ち止まって欲しかった。
まあ、無理でしたけど。



で、全てを思い出した時に思ったんですよ。
無機物である僕が人に転生している。という事は、命あるキャラクターだった人達もその可能性があるという事では?って。とすると、お后様も…?
お后様の事は決して嫌いじゃありませんでしたが、やはり人として生を受けたからには、あまり人格的に問題のある人とは付き合いたくないじゃないですか?人情というか、防衛本能というか?

だから小学校でも中学校でも、万が一にも他の転生キャラに出会ったりしないよう、静か~に過ごしました。と言っても、幸い人並みというか地味な顔立ちに生まれる事が出来たので、成績を上手くセーブ出来さえすれば、それはそう難しい事じゃありませんでした。あ、すいません。外見はともかく、頭と運動神経は何故だか、出来が良かったもので、少し考えながらテストの点数を故意に抑えなければ、"まあまあ出来る"の辺りをキープしておけなかったんです。そこそこ教育熱心な両親の手前、ある程度の順位はキープしなきゃいけないし、その辺の兼ね合いは結構面倒でした。

志望校を親の希望した有名私立進学校にせず、ワンランク落としたまずまずの公立の男子高校にしたのは、何となく嫌な予感がしたからです。
ほら、小説や漫画やゲームなんかでもよく転生や異世界転生モノってありますけど、大体私立っぽくないですか?特殊設定が付けやすいんですかね、よくわかりませんけど。
その点、公立、しかも男子校なら、あんまり変な事も起こりそうに無いなと思ったんですけど、それが甘かったと気づいたのは、合格して入学した初日でした。

まさか、お后様が同じ歳の、しかも同じ男性に転生してて、記憶まであるなんて思ってもみなかったんですから。
その上、異性になってるというのに前世の顔と生き写しの美男子。

(…関わりたくない…)

と、思いを新たにした瞬間でした。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。 「ケイラ…っ!!」 王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。 「グレン……。愛してる。」 「あぁ。俺も愛してるケイラ。」 壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。 ━━━━━━━━━━━━━━━ あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。 なのにー、 運命というのは時に残酷なものだ。 俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。 一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。 ★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

【完結】双子の兄が主人公で、困る

  *  ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……! ルティとトトの動画を作りました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 本編、両親にごあいさつ編、完結しました! おまけのお話を、時々更新しています。 本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

学園ものに転生した悪役の男について

ひいきにみゐる
BL
タイトルの通りにございます。文才を褒められたことはないので、そういうつもりで見ていただけたらなと思います。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます

クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。 『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。 何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。 BLでヤンデレものです。 第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします! 週一 更新予定  ときどきプラスで更新します!

処理中です...