魔法の鏡、DKに転生する〜モブですらない無機物キャラだった筈ですが〜

Q矢(Q.➽)

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3 受肉した体は平凡でした

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ここまで、僕の前世と、ある特殊スキルを持ったまま今世に生まれた事についてお話しました。特殊スキル…つまり、人の顔面数値測定機能ですね。では、肝心の僕は他人の美醜についてとやかく言えるほどの容姿をしているのか?と、皆さん気になってらっしゃるかと思うんですが…。

普通。
他人の顔に偉そうに点数をつけている僕の容姿は、程良く普通、です。生憎、何故か自分の顔の上に浮かんでいるであろうウィンドウは見えません。鏡にも写りませんし、確認しようもないんです。ただ、毎朝鏡で髪を直す為に見ている限りは、人並み。平凡。美形でも、不細工というほどでもなく、本当に特徴の無い普通の顔としか言いようがないんですよねぇ…。強いて何かコメントしろと言われても、言葉に詰まってしまうような。要するに、めちゃくちゃ目立たないタイプなんです。
身長170センチ、体重52キロの中肉中背。日本人の平均的な普通肌に、短く整えた黒髪に黒い目。平凡な顔立ち。目も大きくも小さくもなく、睫毛は…そう長くはありません。鼻も高くも低くもなく、口は…普通の大きさですが、やや唇は薄いですかね。あ、歯並びは良いと思います。虫歯もできた事が無くて学校の歯科検診でも毎年歯医者さんに褒められるので密かな自慢です。えへ。

そんな、モブの中のモブとして生を受けた僕が他人の容姿の点数が見えてしまい、しかも呟いてしまうなんて烏滸がましい事この上無し。
それはわかってます、わかってるんです。僕だって他人の容姿の点数なんか知りたくないしつべこべ言いたくも無いんです。でも、無意識に目と口が動いちゃうんですよ。職業病みたいなものですね。数百年に渡って染み付いたものが、たかだか人間になった10数年で直る訳もないから仕方ないかって諦めてます。ま、ブツブツ言ってるのが顔の点数だなんて知られなきゃ良い話ですしね。




「なあ、各務」

「なんですか木崎君」

「今日ウチに寄ってかね?」

「ごめんなさい無理ですね用事があるので」

「今日もすげー早口」

席は最前列右端と最後列左端で離れてるというのに、授業が終わる度にわざわざ席にやってくる木崎君は本当に暇人だと思います。
因みに、最前列が真面目な僕で最後列が全教科居眠り希望の木崎君です。
木崎君は前世のお后様の頃とは、性格が全く変わってしまいました。あの頃のお后様は、性格はねじ曲がってましたが、基本的には真面目な人でした。何せ、目的の為にはどれだけの調べ物でも実験でも、時間や努力を惜しむ人ではありませんでしたからね。まあ、そのどれもが毒薬生成とかろくでもない内容でしたけど…。

だのにだ。

転生した木崎君は、性別が変わっている上、超ダラ~ッとした…いや、のんびりした性格のファッションヤンキーになっていました。
一応美意識はそれなりに残ってるみたいで、ヘアスタイルがよく変わる割には髪の先端にダメージも無いし、スキンケアにも気を使ってるのか素材が良いだけか、肌もとぅるんとしたキラッキライケメンDKなんですけど、以前のように必死に美にしがみついてる訳でもない様子。
女性じゃなくなって、世界一の美女でなければいけないって気負いがなくなったんでしょうか。それとも、前世の顛末で己の所業を省みて真人間になったんですかね…。

まあどうにせよ、顔は美しくても四六時中ギスギスしていたお后様時代より、今世の木崎君はずっと自然体で毎日楽しそうに見えます。
それは素直に、良かった、と思ってるんです。  

だけど、1つ問題が。

何がどういう事なのか、再会してからの木崎君は日常的に僕を口説くようになっていました。

正直、迷惑です。僕の性指向に男性も入っていたら問題無かったんでしょうが、生憎ガッチガチのどストレートらしく、女性にしか興味がありません。とはいえ世界一の面食いなので、なかなかこのスカウターに適う女性に巡り会えず、目の潤いを求めて思わず99点の木崎君の顔をじっと眺めてしまうのも事実。

…いやまあ…たとえ木崎君レベルの女性が現れても、僕なんか相手にされるなんて思い上がってる訳じゃないですけどね?
…なんか僕、人間1周目は独り身のまま生涯終わりそう。

それにしても、以前は世界中の何処に美人がいるのか探知出来たのに、転生してからの僕のスカウターは半径10メートルくらいに狭まっちゃったんですよね。やっぱり受肉した影響なのかなあ。だとしたら不便ですよね。何となく損した気分…。

なんて事を考えながら、下校する為に鞄の中をチェックしていたら、机の横で座り込んで待っていた木崎君がぷうっと頬を膨らませながら言いました。

「各務さぁ、人間になって可愛くなったけど、態度は可愛くなくなったよね~」

「すいませんね可愛くなくて」

むしろ、同性に可愛いなんて思われたい現役男子高校生が世にどれだけいるのかを僕は問いたい。
木崎君のウザ絡みは何時もの事なので、僕は鞄と机の中のチェックを終了して立ち上がりました。すると木崎君も立ち上がります。

「ごめん、嘘だよ。めっちゃ可愛い。じゃあ、いつもみたいに途中まで一緒に帰って良い?」

「…まあ、それは構いませんけど…」
 
僕が答えると、木崎君の顔にはぱあっと笑顔が浮かび、教室内が眩しい事になりました。まだ教室に残っていてうっかり此方を見てしまったクラスメイトの何人かが手で目を押さえて悶えているのが視界の端に確認できます。哀れ。
前世から毎日至近距離で慣らされていた僕だから耐性がついてますが、並の人類には99点のスマイルは兵器なんだな…。

木崎君が機嫌良さげに僕の肩を抱いてきたので、僕は素直に一緒に教室を出て帰路につきました。 
結局、帰りはゲーセンに付き合わされた後、一緒に僕の自宅近くのスーパーでの買い物に付き合ってくれ、家の前まで送ってくれました。

「じゃ、また明日な。愛しい俺のカガミ」

そう言って僕の額にキスしてから帰って行く木崎君の後ろ姿を見送るのも、もう習慣になりました。このデコキスはおそらく、前世で満足のいく答えを聞けた時にご機嫌が良くなった時の癖というか、名残りですね。もっと最高潮にご機嫌な時なんかは、キスされてその後綺麗な布で拭き拭きしてくれたりしていましたね。懐かしい。

それにしても、各務の発音がおかしいと思うのは気の所為でしょうか?





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