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93 最終回 いつの世も君と
しおりを挟む長かった冬が去り、アンリストリアに春が来た。
「いや、晴れたなあ~」
大聖堂内の二階控え室。
そろそろ来る出番に備え衣装を整えているところにひょっこり顔を出したのは、見覚えのあるオレンジ頭。先月会った時には髪も髭も伸び、服もよれていて小汚かったのに、今日はどちらもスッキリしている。まるで学園時代に戻ったみたいだ。
「おー、小綺麗になったな、マルセル」
「天下のアクシアンの結婚式だぞ。恥をかかせるわけにはいかないだろ。」
「忙しいからって気を抜いてると、婚約者にフラれるぞ」
「彼女はそんな子じゃないから大丈夫だっての」
この軽口の懐かしさ。俺はフッと笑って、この数ヶ月間に思いを馳せた。
セリアム先輩達がエラストに帰った後から、俺は結婚式の準備で一気に忙しくなった。それはもう、落ち込むことすら許してくれないほどだった。
多くのデザイン案の中から選んだのは、俺とサイラスのどちらも純白のペア衣装だ。かといって全く同じデザインではなく、俺の方は首元のクラバットがリボンだったり、サイラスはタイだったり。将来爵位を継ぐサイラスには同布の肩マントが付き、俺には……ウエディングベールが採用されてしまった。
……まあ、良いけど。サイラスが見たいってんなら、良いけども。出席者には笑われるだろうが、そんな恥ずかしさもどうせ一生に一度きりだしと覚悟を決めた。そして覚悟を決めると、今度は採寸や仮縫いが始まるわけで。
それと同時に、リストアップしていた招待客に送る招待状のデザインやら、引き出物の砂糖菓子を入れる小箱の途中確認やらが来た。確認作業がやたらに多くて、ジェンズやロイスに丸投げしたいくらいだったが、「これは結婚の主役であるお二人のお仕事です」と、にべもなく断られた。
まあ、学業の傍らそれらをこなしていたら、あっという間に三ヶ月経っていた感じだ。
マルセルは、着々と飾り付けられていく俺をまじまじと見て感心したように言った。
「婚約式の時も思ったけど、本当に馬子にも衣装だなあ」
「……サラッと失礼なことを言うんじゃない」
こんな日に何てことを言うんだこいつは。祝いに来たのか水を差しに来たのか、どっちだ。
呆れていると、ドアがノックされ司祭が入ってきて言った。
「そろそろお時間です、ご入場のご用意を」
「わかりました」
俺は返事をして、目の前の鏡に目をやる。鏡の中には、相変わらず地味で平凡なままの俺。それでも、サイラスが選んでくれたこの衣装は、意外にも似合っている、と思う。
(うん、悪くないんじゃないか。サイラスの隣に、少しは似合うようになれたかもな)
俺は司祭の後ろについて、マルセルと一緒に控えの間に続く階段を降りた。
大聖堂で見たサイラスの姿は、それはもう神々しいほど輝いていた。聖堂内に立ち並ぶ女神様や天使達の像も、今日のサイラスの前では、彼に付き従う使徒にしか見えない。
美しさが神懸りすぎだろ、俺の夫。
内心仰天しながら、それでも顔には不揺の笑みで、祭壇の前で待つサイラスを見つめた。
パイプオルガンの荘厳な曲に合わせ、白いウエディング・アイルをゆっくりと、サイラスに向かって歩く。一歩進むたび、これまでの記憶が鮮明に思い出された。
学園での、初めての出会い。 壊れた馬車で立ち往生していたところを助けてもらったこと。そこから、なぜか気にかけてくれるようになった君と、どんどん仲良くなったこと。
毎日馬車で送り迎えをしてくれるようになって、恐縮しながらもどれだけありがたく思ったことか。およそ貴族の屋敷とは言えない暮らしぶりを見ても、君は引かないどころか、そんな環境でも成績を維持している俺を、尊敬すると言ってくれた。
大貴族の君が俺に好意的に接してくれたから、学園でも貧しさゆえに肩身が狭くなるようなことはなかった。
そんな君が婚約者の所業に悩まされていると悩みを打ち明けられた時には、どれほど胸が痛んだことか。俺の大事な親友に悲しい思いをさせるなど、許せないと憤慨した。それがまさか、その婚約者を断罪した途端、俺にプロポーズしてくるとは。あの時はひっくり返りそうになったぞ。
それでもあの時、俺は君の手を取ってしまった。身分差や経済格差、色んなことを考えて、どうにか穏便に断ろうとした俺を、君は逃がしてくれなかったな。あまりにもあの手この手で外堀を埋められるものだから、困り果てながらも少し笑ってしまった。
本気になった君は凄かった。何せ、同性は全く恋愛対象でも結婚対象でもなかった俺の体だけじゃなく、心まで籠絡してしまったんだから。
気付いた時には、まんまと恋に落とされていた。誰よりも近くで一緒に生きる未来を、今度は俺自身が選択した。
あの日、あの埃まみれのワイン蔵に、らしくなく髪を振り乱した君が、剣を手に現れたその時から。
君は俺の、本当にかけがえのない人になった。だから。
俺は今日、親友で最愛の君に、嫁ぐ。
ウエディング・アイルを歩ききった俺は、祭壇の前でサイラスと向かい合った。サイラスは俺の左手を取って、薬指に指輪を通していく。繊細な金のアームに、サイラスの瞳によく似た青い石の付いた美しい指輪だ。覗き込めば金を散りばめたようなところまで同じなのだから大したものだ。サイラスの目には、もしかして本当にこの宝石が嵌め込まれてるんじゃなかろうか。そう思い指輪から目を上げると、サイラスと視線が合った。
サイラスは、微笑んでいた。
泣き出すのを堪えているような複雑な表情で、それでもそれは微笑みだった。宝石のような瞳が、もの言いたげに潤んでいる。今度は俺が、サイラスの左手に指輪を通すと、その瞳はさらに揺れた。
「「女神様の前で、真実の愛を貫くことを誓います」」
二人で声を揃えて誓約を立てる。サイラスが俺のベールをそっと上げて、キスをする。人前での誓いのキスなのでごくあっさり済んだけれど、目を開けて至近距離で見たサイラスは、もはや本当に泣き出していた。
「サイラス、もう少し我慢だ」
「だって、君が……君がようやく、私の伴侶になってくれたなんて」
「待て、まだ早い。アクシアン公子、体裁を保つんだ」
「無理だよ……うう」
サイラス、号泣。ところが美しい男というものは、泣いたって美しさが増すだけなのだ。もう仕方ないから、泣かせておくことにする。
参列者席を見ると、マルセルや学園時代の友人達の姿が目に入った。最前列で泣いている父と、笑顔の母、兄、妹の姿が見える。アクシアンの義父と義母は揃って品良く座っているのに、どうして我が父上はサイラス並みに号泣しているんだ。俺にあんなに、サイラスへの嫁入りを勧めたくせに。
まあでも、俺も少しだけ、鼻の奥がツンと痛くなった。
大聖堂の庭園に出ると、春の陽射しの祝福を受けて咲き乱れる花々。本当にアンリストリアの春は、美しい。寒さは遠のき、暑くもなく、ちょうど良い気温。式を四月にして、本当に良かったと思う。
結婚式がつつがなく終わると、午後にはアクシアンの屋敷の大広間に場を移し、立食形式の披露宴となった。アクシアンの格式を考えると、流石に気心の知れた少人数でとはいかず、それなりの規模になったが、まあそれは仕方ない。
慣れないながらも主要な貴族達に挨拶をし、陛下からも祝電を頂いた。エラスト国王から祝電が来たのは、セリアム先輩の件があったからだろうか。
ともあれ、そうしてサイラスの伴侶として皆に披露された俺は、晴れてアクシアン公爵家の人間となったのだった。
それにしてもなんだけど、アルテシオ・アクシアンって、いまいち語呂が良くないよな。
そして、夜。
「今日はお疲れ様、アル」
「そっちもな、サイラス」
ベッドの上に寝そべって互いを労わっているが、実は初夜である。それにしても、疲れた。結婚式がこんなに重労働だとは知らなかった。朝から長丁場すぎるだろう。
「いやー、でもま、結構楽しかったな。久々に旧友達とも会えたし、良い思い出になった」
「それは確かに」
「次に皆に会えるのは、いつになるだろうな」
「そうだなあ……」
ふと、会話が途切れた。
日中に結婚式があったとはいえ、帰ってきたのはアクシアン邸の、見慣れた自室だ。なのに今夜が初夜とつくだけで、普段とは違う高揚感があるのはなぜなのか。
「アル」
ふいに、サイラスの手が頬に伸びてきて、ビクリと肩が揺れる。実は緊張していたのが知られてしまったか。
でも、頬を撫でるサイラスの手も、少し震えていると気付く。いつも余裕綽々で人を押し倒してくるくせに、何で今夜はこんなに初心な感じなんだ……と思っていたら、スッと唇が重なってきた。油断していた唇は容易くサイラスに侵入されて、舌先で歯の付け根や上顎を擽られる。久しぶりの性的なキスに、肌が粟立つ。気持ち悪さからではなくて、これは期待だ。サイラスの手が首を撫でる。湯から上がってそれだけを着ていたバスローブはするりと肩から落とされ、俺は簡単に裸にされた。
サイラスの指先が、触れるか触れないかという絶妙なタッチで足を撫で上げる。俺が息を飲むと、今度は腰の線をなぞってきた。抱き寄せられ、耳たぶを食まれる。
「あっ」
一度声が漏れたら、もうダメだった。愛撫に慣らされた体は易々と快感を拾ってしまうし、感じ始めたら歯止めは利かない。
サイラスの器用な舌先が、耳殻の溝を舐める。湿った水音が鼓膜を濡らすように響いた。
「あ、あっ、んぅ」
「はぁ……アル」
切羽詰まったような声で名前を呼ばれると、悪寒に似た何かが全身を抜けていく。そして短い震えが止まる頃には、俺のペニスは容易く勃ち上がってしまうのだ。
それを見たサイラスは、嬉しそうに右手の人差し指で亀頭をなぞった。
「あ……っ」
焦れて身を捩ると、今度は大きな手で握り込まれた。そしてそのまま、上下に扱かれ、ソレはますます硬くなる。
「サイラス……気持ちいい、もっと強く……あっ!」
言い終わらないうちに、握り込む力が強くなった。サイラスは、右手は俺のペニスを扱きながら、唇は首筋を吸い、鎖骨に舌を這わせた。乳首を口に含み、舌で転がす。へその穴を舌先でつつく。
そしてとうとう、サイラスの舌が俺のペニスの先端を舐めた。そのまま咥え込まれ、唇で擦られた。中で分厚い舌が巻きつき、滑る唾液に腰が浮く。
たまらない。こんなの。
「うあ、あああぁあ……っ!」
とうとう熱い口の中に放ってしまった。
久しぶりの強い快感に、足の筋が痙攣してなかなか戻らない。意識が、ぼんやり遠のきそうになったその時。
身体をひっくり返され、お尻だけを持ち上げられた。
「ちょ、あっ」
「疲れたなら寝てていいよ」
「いや、こんなの無理だろ!」
「なら、頑張ってごらん」
サイラスはそう言って、俺のアナルに舌を這わせた。その途端、びりびりと来る感覚。何度も舐められ、指を挿入されるうち、俺のそこはサイラスに与えられるほんの少しの刺激ですら、快感と置き換えるようになってしまった。もはや排泄器官とは思えない。
唾液まみれの舌で、ふやけるほどべちゃべちゃに舐められ、柔らかくなり、それだけでもある程度は拡がる。そして、例のホーン製の秘薬を使うと、それはもう、素晴らしい相乗効果を発揮するようになった。
だから、今なら、たぶん……きっと……おそらく……?
俺のソコは、サイラスの馬並みと仲良くできるはずだ。
ぱさりと衣擦れの音がする。サイラスがガウンを脱ぎ捨てた音だとすぐわかった俺は、恐る恐る肩越しに振り返った。案の定、綺麗な顔を裏切る立派すぎる馬並みペニスが、すでに股間にそびえ立っている。
「ひぇ……」
ここに来て往生際悪く怯えた俺は、やや浮き足立った。しかし……
「アル、観念するんだ。私がどれだけ、今日という日を待ちかねて、君の穴を育てたと思っているんだ」
「穴を育て……」
「念入りに念入りに、時間をかけて私用に育てたんだ。もう逃がさない」
サイラスが怪しく目を光らせ、俺は少し上に逃げていた腰をズリズリと引き戻された。
「ひ、ひっ」
「アル、愛してるよ」
サイラスの囁きと共に、アナルの中に入ってくる馬並み。最初からみちみちと質量がすごくて、かなり拡張できたはずなのにと、喉が引き攣った。それでも、サイラスは無理に捩じ込んでいるわけじゃない。
少し挿入しては止まり、慣れるのを待って、また少し進めるを繰り返した。俺の呼吸が整うのを待って、それはもう辛抱強く。傷一つつけるつもりはないと言った彼は、その言葉を有言実行しているのだ。
これ、並の男なら無理な芸当だと思う。俺が言うのも何だが、男という生き物は、身勝手に快楽を追い求めたいものだと思う。俺達のような年齢なら、余計に。それを考えれば、サイラスの理性と意志の強さは、やはり並大抵ではない。いや、アレが馬並みなのは置いといて。
時間をかけて慣らされた甲斐あってか、めでたく俺のアソコには、サイラスのペニスの半分以上が挿入された。
ただ、腹への違和感半端ない。これ、内臓とか大丈夫なのだろうか。若干どころではない不安感も半端ない。
ホーン製の性能を信じて進むしかない。
「アル、大丈夫か? 気持ち悪くは?」
「違和感はあるけど、まだいけそうだ」
ここまで来たならもっと遠慮なく腰を振って達してしまいたいだろうに、俺を気遣い問いかけてくるサイラス。
正直、これ以上は少し怖い気もする。でも、俺はサイラスがずっと耐えてきたことを知っている。自分の快楽より俺の体を大事にしてくれていることを。
だから、初夜の今日は絶対に本懐を遂げさせてやりたい。
「大丈夫だから……ゆっくりなら、していいよ」
「本当に? 無理すると、後が辛いよ?」
「たぶん、大丈夫」
俺が引かないので、サイラスも覚悟を決めたようだ。ゆっくりと前後に動きはじめた。
「うっ、ん、んっ」
「アル……」
揺れの速度が少し早くなり、耳元にサイラスの吐息がかかる。時折漏れる呻き声も気持ちよさそうだ。上擦って、掠れて、俺に挿れたことでそんな色っぽい声を出してるのかと思うと、何だか……
そんなことを思った途端、腹の中が胃のあたりまでキューッと熱くなって、それが全身に波及するかのように広がった。何だこれは。
「え……あっ? あっ」
「くっ……アル?」
「サイラス、俺、なんか、なんか、へん……」
後はもう、何がどうなったかわからない。俺は自分から腰を動かして、サイラスの巨大なペニスを体内に誘い込んだ。苦しい。苦しいのに、えも言われぬ充足感がある。サイラスのペニスに満たされるたびに、俺の口からは嬌声が上がった。
「ああっ、あっあっあっ、いく、いくいくいくっ」
「アル、アル、すごい……!」
結局サイラスは、俺の中でイッた。
サイラスによると、事後、俺のアナルは収縮して徐々に元に戻っていったらしい。そこから自分が吐き出した大量の白濁が溢れ出してそのまま俺の太腿に伝い落ちた様を見て、とても感動したと……そんな変態めいた感想をくれた。
「そうか……うん、なら良かった」
俺が君を満足させてやれたなら、それに勝る喜びはないさ
。そんな気持ちで納得していると、サイラスが顔を近づけて来て、こんなことを聞かれた。
「それで、アルはどうだった? 気持ち良かった?」
「え、そりゃあ、まあ」
おぼろげながら、最中にアンアン言っていた記憶はある。そりゃあまあどころではない、強い快感があった。あれがホーンの品がなせる技なら、本当に底知れない国だと思う。
「ほんとに? 良かった」
サイラスが安心したように笑う。
「私が生涯アル一穴主義を誓ったように、アルにも私一棒主義になってもらわなきゃいけないからね」
「さ、サイラス一棒主義……」
「ああ、幸せだなあ」
「うん、まあ……俺も幸せだ」
少年の頃に思い描いていた幸せの形とはだいぶ違ってしまったけれど、それでも、互いに求め合い、支え合おうと誓った。
だからきっと俺達は、幸せになれるだろう。
どちらが先に生を終えるのか、それはわからない。
棺の中のしわくちゃになった顔を撫でるのは、俺かもしれないし、君かもしれない。
どちらにせよ、俺は今際の際に言うだろう。
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