ノーマルの俺を勝手に婚約者に据えた皇子の婚約破棄イベントを全力で回避する話。

Q矢(Q.➽)

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ラディス殿下、婚約者を見舞う。2

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どういう事だったんだ…?

皇室からのものが届かないなんて事があるのか…?
何だか何かがおかしいな…。


それはさておき、今回は殿下がウチに来て俺を拉致って、昼過ぎには皇宮に連れて行かれたから、衣装が着れたって事だよな。

つーかそんな大事な衣装ならせめて前日にでも贈っといて欲しかった。 
万が一サイズ直しとか発生したらどうするつもりだったんだ。


「雪のサイズは週一で報告が上がるから把握済みだ。」


……何処からですか?

思わず真顔になった。


まあ、良い。

取り敢えずは、衣装を着た事により、俺は公衆の面前での破棄を免れた訳だ。


「俺は昨日、初めて俺が贈ったものに身を包んでくれた雪を見た。」


ーー嬉しかった。ーー

殿下はほろりと笑みを零す。


そんなに、噛み締めるように嬉しそうにされると…なんだか胸が…。


「…そんなに、喜んでいただけるのなら…もっと早く頂戴するべきでしたかね…。」



ほんとはとっくにわかってた。
櫻子ちゃんとの未来も、他の未来も、俺には無いんだろうって事は。

逃れられないものならば、その内何処かでは吹っ切らなきゃと思ってたんだ。
だが、そんな時にあの破棄事件があって、俺を取り巻く状況は一気に悪化した。


そして、俺は死んだ。


俺はそれを、もしかしたら俺の事を目障りに思った殿下や殿下の関係者の誰かが仕組んだ事じゃないかと考えていたんだけど、この様子だと殿下は預かり知らぬ事だったのかもしれないな…。

裏で動いている誰かがいるんだろうが、それをどうしたら突き止められるのか…。



ともあれ殿下と俺の間は、お互いに行き違いがあったようだ。
出足が出足だったもんで、結局打ち解けて話す迄にも至らなかったからなあ…。
少しは意思の疎通をする努力をすべきだったかもしれない。




「雪。」

ふと、殿下が俺を呼んだ。
目を上げると、何故か真っ直ぐに俺を見つめてくる。

え、何?凄い綺麗な目ですね。

「俺は、周りの全てを精算してきた。」

「…はい?」

どういう事ですか…。


「男も女も全て、精算してきた。」

「あ、あー、そういう…。」


…精算必要なくない?逆に必要不可欠な人達じゃない?



「今までの不貞を許して欲しいとは言わない。
だがケジメとして切ってきた。
これからは、雪が18になるまできちんと禁欲するから。」

「……18…。」

何やらすごい決意を宿した目をしている…。
そっか。俺、18で待った無しでコマされるんか…。
それは決定事項なんですかね…。辛い。

「…禁欲、ですか。あまり体によろしくないのでは…。」

「大丈夫だ。雪の肌着を定期的にくれたら3年は右手で何とかするから。」

「…へ、へえ…。」

どうしよう。
昨日の僅かながらの感動の余韻がどんどん遠くなる。

俺、引いてるわ。

「因みに、なんですが、」

「何だ?」

「なら、これ迄あれだけ恋人を作ってらしたのって…」

ついでなので怖々お伺いしてみる。


「ああ、あれは恋人とかそういうものじゃない。
発散場所が無いと、嫌われてるのは承知の上で 雪を無理矢理にでも攫って来て抱いてしまうなと思ったから。」

「……お付き合い、継続なされても大丈夫ですよ?」


聞かなきゃ良かった。コイツやっぱクズじゃん。
俺が幾つの時からそんなに欲情してんの?危ねぇ…。
俺の尻の未来が…。



…やっぱり破棄していただいて良いですかね?





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