超高級会員制レンタルクラブ・『普通男子を愛でる会。』

Q矢(Q.➽)

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82 その手で (※後半に微R18描写あり)

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戻ってきた三田がローテーブルに置いたケーキの箱のロゴは、隣駅の近くに出来たという、評判の新店のものだった。
箱を開けて取り出す三田。
全貌を表したケーキに目を奪われる俺。
ハート型のケーキの真ん中に猫のイラスト、Happybirthday YUITO&AYATOと書かれたチョコプレート、周囲に数種類のフルーツ、色んな色の小さなマカロン。すごいカラフル。か、可愛いな…。
20歳の男がこんなバースデーケーキ食べて良いのだろうか。…良いか、別に。

また三田が器用にカラフルな小さいロウソクを並べていくから、盤面、色の洪水。目がいってえ。

「す、すご…いな?」

「だろ~。ゆっくんのイメージ伝えて作ってもらったからさ~。自然と可愛くなっちゃったんだよね。よし、良い出来。は、写真残さないと!」

……俺のイメージ??

訝しさを隠しきれない俺をよそに、スマホのカメラをナイトモードにしてあらゆる角度から写真を撮りまくる三田。

頼む、待って。俺のイメージでこれって。お前の中の俺のイメージってこんな感じなの?

…怖…。



デコレーションのヤンチャっぷりはともかくとして、ケーキはものすごく美味かった。

「流石にいっぺんには食べられないな。」

「2人で20号はデカいだろ…。」

「まあ、そう思ったけど、せっかくだから。」

せっかくだからの意味はわからないけど、金を出したのは三田だから黙っとく。

「さて、寝よっか。」

ケーキを片付けて、皿やカトラリーをキッチンのシンクに置いた三田が俺に振り返りながら言った。

「食べて直ぐ寝るとデブるぞ。」

俺が揶揄うと、三田はニヤッと意味深に唇を片方上げる。

「じゃあ、2人で運動してから寝る?」

「え。」

素早くキッチンの壁に押し付けられて、至近距離で視線がぶつかる。

「2人でしかできない運動とか。激しいやつ。」

そんな言葉を口にしながら、俺の頬や唇を舐めるように見る三田。声も口調も、何時になくねっとりしてて、肌に絡み付いてくるみたいな錯覚。

暫く見つめ合ったまま、俺は身動きが取れなかった。蛇に睨まれたカエルってこんな感じか。

「…冗談だよ。待てるよ。約束したもんね。」

俺が怯えてるように見えたのか、三田はそう言って体を離して、笑った。でも俺は何故だかその腕を掴んでしまった。
そうしてしまってから、はっと気づく。これじゃ、まるで…。

「…ぁ、いや…、あの…、」

「ゆっくん?」

薄暗くても、近いから表情は辛うじてわかる。
不思議そうな顔をしてる三田に、何をどう言ったら良いのか。

「すこし、する…。」

「…ゆっくん、それ…。」

「すこしくらい、大丈夫…。」

しっかり喋ろうと思うのに、上ずったか細い震え声しか出てこない。

「ゆっくん、無理しないで…。」

「俺だって、興味無い訳じゃ、ない。」

「……。」

「俺だって、お前が、好き、だし…。」

そう言った瞬間、横抱きに抱き上げられた。そのまま階段を上がる三田。

えっ、嘘だろ。俺、平均的に体重あるんだけど?!

「あ、あの…?」

「……。」

ずんずん歩く三田、戸惑う俺。いやお姫様抱っこは一ノ谷さんに何回もされてるけど、そんなに俺って持ち上げ易いの?

「開けて。」

「あ、はい。」

言われて、三田の部屋のドアノブを開けると真っ直ぐベッドに向かわれて今更焦る。
ベッドの夏布団の上に下ろされてさっきからのドキドキがピークに達した時、唇を押し付けられて、吸われた。

ちゅ、と微かな音をさせて離れていく柔らかな粘膜。

「待てるっていったのに、待てを解除したのはゆっくんだからね。」

そう言って俺を見下ろしている三田の村目はギラついていて、少し怖い。

「…でも、最後迄は、まだ心の準備が…。」

この期に及んで潔くない俺。いや、少しって言ったもん。

「…わかった、"少し"だよね?俺はゆっくんが言う事しかしないよ。」

にやりと笑った三田に、嫌な予感がした。 





乳首は男の性感帯の一つらしい事を、こないだSNSで見掛けた。風呂で自分で触ってもどってことないけど、他人の手が触れると途端にピリッと来るから、確かにそれは正しいんだろう。例えば、今の俺みたいに。

「んっ、ッッ…あ…ッ、」

ちゅ、ちゅっ、なんて音がまさか自分の胸元から聞こえる日が来るとはな…。
あわよくば1回くらいは女性の胸に顔を埋めてみたいと思っていた中高生の頃を思い出した。性欲が強い弱いじゃなくて、あるだろ、そういうの。ちょっと体験してみたいっての。で、それをする場面って事は、その後はそういう流れになるんだろうな…って考えてた。まさか、そんな脱童貞する前に自分の方が貧相な胸に男の顔埋めさせる事になるとは。
しかも、それが意外と気持ち良いのが腹立たしいぜ。


俺の平坦な胸にちみっと乗った豆粒を、大切そうに吸っては舐め、捏ねては軽く歯を立てて。三田の愛撫は、多分丁寧だ。他を知らないからわからないけど、絶対そう。
じゃなきゃ、初めて弄られるとこがそんなに気持ち良い訳無いわ。

「ん、っ…あ!!  」

「ゆっくん、気持ち良い?気持ち良いよね、じゃなきゃちんこがこんなになる訳ないもんね。」

言いながら、右手で俺の股間の盛り上がりを下から撫で上げる三田。びくんと腰が引けた。乳首がピンピンにされて、執拗く舐られてるからか下半身迄反応してきた。薄い下着の上からやわやわと揉まれて、んんっと熱い吐息が漏れる。

もっとして、もっと気持ちよくして。

三田の手から与えられる刺激で、むくむくと硬く起き上がっていく俺のペニス。

凄い、他人の手、凄い。三田のだから?わからない。

「…きもちい?」

耳元で囁かれて、一気に腰が砕けた。
うん、うん、と頷く。

「…もち、い…ぁっ…、」

だから、だからもっとして。
もっと、お前の手で、俺を…。








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