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しおりを挟む1週間、1ヶ月、2ヶ月…。
日比谷は毎日のように俺を抱いた。その度に俺は怖くて痛くて苦しくて、とにかく息を詰めて日比谷の気が済むのを待った。
気持ち悪いんだ、とにかく。日比谷に触られるのも、舐められるのも、噛まれるのも。それは日比谷に限った事じゃなくて、多分誰が相手でもそうだろうなって気がする。
俺はセックスそのものが嫌いなんだと思うから。
でも、そんな風に何時まで経っても体を固くして蚊の鳴くような声しか出さない俺に、日比谷はだんだん嫌気がさしたのかな。
その内、俺の家にセフレの女の子を呼んで、目の前でセックスを見せつけてくるようになった。何が目的なのかわからないけど、日比谷が彼女達とシてる間は俺は相手をしなくて良いから、内心ホッとしてた。でも、それが顔に出てたのかな。じきに日比谷は、女の子を帰した後に俺をぶつようになった。
俺、縮み上がったよ。
何やかや、ガキの頃には母親が盾になってくれてた形で父親の暴力から逃れてたし、お客達とヤる時に体は痛かったけど、ハッキリ顔をぶたれる暴力って初めてだったから。
最初は平手で頬を張られて、呆然としてたら拳でも殴られた。痛みで悶えて俺が泣くと、日比谷は嘘みたいに優しくなった。そして、女の子相手に発散した筈のチンポをまた何故かギンギンに勃たせて、俺にしゃぶらせた。日比谷は俺の時と違って女の子達とはゴムありでヤるから、その手の変な味がしたりする事はないのが救い。泣いてる俺の髪や頬を撫でながら宥めすかして、優しい目をして。だから俺は、日比谷が優しいままでいてくれるように必死に舌を動かした。
「泣くなよ、悪かった。もう殴らない。なあ、ハル。俺の事、好きだよな?好きだろ?」
そう言いながら、流れっ放しの涙を指で拭ってくれる日比谷に、俺は必死に奉仕しながら頷くしかなかった。だって、頷かなきゃ殴られるんだから、仕方ない。痛い事は嫌いだ、苦しい事も。当たり前だろ?
大人しく言う事聞いてれば最小限の苦痛で終わる。その気持ちだけで、頑張った。
本当は1ミリも好きにじゃなくても、お客だと思って。
でも、頷いてさえおけば日比谷はご機嫌で、フェラに満足したら今度は勝手に俺の尻の穴に突っ込んで好きなように腰を振ってイってくれる。だから、それまで我慢。
快感を知らない俺にとって、セックスは只の苦行なんだ。だから日比谷とのセックスで、俺は一度も勃起した事も、ましてや射精した事も無かった。幾ら触られても扱かれても、俺のチンポは萎えたまま。こんなの、マジでオナホと変わらない。
何度セックスしてもイかない俺に日比谷がイラついてるのは感じてた。俺が日比谷を好きにならない事も面白くなかったんだろうな。
日比谷みたいな人間って、人に好意を寄せられるのが当然って思ってるんだと思う。俺みたいな底辺の心くらい、どうとでもなる予定だったんだろう。でも、俺は何時までもビビってる。想定外だったんだろうなあ…。
ある日。俺の中に射精した後、日比谷がポツリと呟いた。
「飽きた。」
って。
正直、やっと飽きてくれた…ってホッとしたんだ。じゃあもう、呼ばれずに済むのかもって。その後サッとシャワーを浴びた日比谷は何時になく大人しく帰って行ったし、今夜か明日にでも別れようと切り出されるだろうと期待した。やっと解放してもらえる。でもそれならもう脅しの材料になってたあの動画は必要無くなるんだから、消去してもらえないか頼んでみようなんて考えながら、その晩は久しぶりにぐっすり眠れた。
だけど、それが淡い期待だったとわかったのは、翌日。土曜日で学校は休み。なのに話があるから来いと、日比谷の家に呼ばれた。ウチじゃなくて日比谷の家に呼ばれるなんてそう無かったから、やっぱり別れ話なんだなと俺は少しウキウキしながら向かった。日比谷んちって、ウチからは5駅くらい離れた街の、高台の高級住宅地にある。緩い登り坂が何気に疲れるから、あんま行きたくなかったけど、どうせ今日で最後だ…そう思ったら足取りは軽かったのを覚えてる。
でも、日比谷んちに着いて、部屋に通された俺を待ってたのは日比谷だけじゃなかった。
「え、マジで男だったんだ?」
「そう言っただろ。」
部屋には日比谷の友達なのか、背の高い若い男が2人居た。髪を白っぽい金色に染めた奴と、黒髪だけど青いメッシュを入れた奴。そんなに目立つ外見なのに見覚えが無かったからウチの学校の生徒じゃないとすぐわかったけど、何でだよとも思った。いやだって、俺は別れ話だとばかり思い込んでたからさ、そこに何で俺が知らない友達呼んでるのかなと思うじゃん。
(これじゃ動画の事、頼めないじゃん…。)
そんな事を考えながら、
「こんにちは。」
って挨拶したよ。仕方ないだろ、先に居るんだから。
2人はジロジロ値踏みでもするみたいに、俺の頭のてっぺんから靴下の爪先まで見てた。感じ悪いなって思ったけど、口にはしなかったよ。だって、日比谷の関係者とあんま関わりたくない。別れ話ができそうにないのなら、今日はもう帰りたいと思ってた。
でも日比谷は、俺が挨拶したのに気を良くしたのか、ニコニコ笑いながら肩を抱いてきて2人に向かって言った。
「そ。コイツが俺の大事な恋人、ハル。ハル、コイツらは俺の中学の時からのトモダチ。」
(えっ?!)
俺はびっくりして思わず日比谷を見上げた。恋人?飽きて別れる気だったんじゃないの?って意味のびっくりね。日比谷はそんな俺を笑顔のまま見下ろしてきて、そして、言ったんだ。
「ハル、俺の恋人なんだから、俺のトモダチとも仲良く、できるよな?」
笑顔なのに笑ってない日比谷の目に威圧されて、俺はやっぱり頷く事しかできなかった。
そしてその日から、俺の悪夢の続きが始まった。
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