知らない内に番にされ婚約させられたにも関わらず、本日婚約破棄を言い渡されたが俺はそれを甘んじて受ける

Q矢(Q.➽)

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未来編 思春期くん。 3 (葵)




「藤川~!」



放課後、帰ろうとしたら、部活に行ったのかと思ってた児玉くんが後ろから追っかけてきた。

かわいっ

「あれ、どうしたの?帰っちゃったかと思ってた。」

さっき一緒に帰ろうと思って探したのに。

「悪い。ちょっと呼ばれてた。」
「…そうなんだ。もう良いの?」
「大丈夫、済んだから。」

本当は誰に呼ばれてたのか聞きたいとこだけど、単なる友達って認識しかされてない僕がそこまで気にするのも変だよな…。
話してくれない事は敢えて聞くまい…。


少し前を歩く児玉くんの学生服は、サイズが大きい。成長期の力を信じているのだ。
信じているのは良いんだけど、流石にそれは僕が着ても大きい気がする。
子供が無理に大人用着てるって感じだ。
ヤンキーを気取るには、イマイチ格好がつかない気もする。

でも、それが可愛い。
銀灰色の髪がサラサラ風に揺れて綺麗。

(あー…後ろからぎゅっとしたら、気持ちいいだろうなあ…腕の中にジャストサイズそう。抱きしめてみたいな…。)

年中母さんに纏わりついている父さんの姿を思い浮かべる。
日常的に抱きついてるの、母さん大変そうだなって思ってたけど、今はただただ父さんが羨ましい。

ウチの両親はすごく仲が良い。
1度訳あって番を解除したらしくて、今は番にはなれてないけど、それでも結婚したくらいだからよっぽどお互い好きなんだろうな。
両想い羨ましい。

思春期の息子の前では極力いちゃつかないように気をつけてるみたいではあるんだけど、あんまり意味が無い。
母さんはよくわかんないんだけど、父さんが発情してるのは匂いでわかっちゃうからさ…
きっと今夜あるんだろーなあ、って。

で、そういう翌朝は高確率で母さんがぐったりしてるから、やっぱり嫌でもわかってしまう。


あんまりにも疲労困憊って感じなんで、1度、大丈夫?って聞いた時、


「仕方ないんだ。父さんは、まだ若いからな…。俺が頑張らないと…。」

と、母さんが遠い目をしながら言ってたから、ちょっと赤面してしまった。

頑張るんだ…。

父さん…絶倫なのかな…。αだもんな…。

そういや父さんは僕の歳にはとっくに童貞捨ててたって聞いた。
でも付き合ったのも初恋も母さんだって聞いたから、意外に一途だよね。

僕は幼稚園のゆり先生が初恋で、今は児玉くんにガチ恋だから、ゆくゆくは児玉くんと付き合って初体験も児玉くんとしたい。

できればその先も児玉くんと…。

でも、児玉くん、βなんだよな。

番にもなれないし、結婚はまあ、出来なくはないけど、どっちにせよ子供は作れないんだな…。
僕と結婚しても、僕が嬉しいだけで、β男性の児玉くんには何もメリットが無い。

児玉くんはノーマルだろうし、僕の都合…というか、一方的な望みにつき合わせる訳にはいかない。現実的ではない。



児玉くんとゲームの話をしながら歩いてるのに頭の中では変な思考で忙しい。

そうこうしてる内に駅に着いてしまい、児玉くんと僕は、逆方向の電車に乗った。向こうの電車の窓から児玉くんが手を振ってくれてる。本人は不本意そうな萌え袖、かわい。

それに振り返しながら、児玉くんとキスしたいなあ、と考えている僕は変態だ。


でも、何となくこの恋は実りそうにないなと感じている。最初から絶望的。


皆、実らない恋や愛を、どうやって消化してんだろ。

毎日児玉くんに会えて、幸せなのに、先が無い事に絶望してるって、すごい矛盾だわ。


児玉くんがΩだったら。

せめて、僕が女だったら。


僕にも児玉くんを幸せにできるチャンスがあったかもしれないのに。


児玉くんに手を振り返しながら見送った後、凹んでいると後ろから肩に手を置かれてビクッとなる。

「葵。」
「…父さん…。」

スーツ姿の父さんが児玉くんの乗ってった電車を見ながら、

「あの子か?」

とニヤニヤしてる。

「…知らねーし。」
「えらく可愛い子だな。中学生かと思った。」
「…本人気にしてるから。」

日頃はそれが可愛いと思ってるのに、何故か父さんに言われるとムカッとする。
児玉くんはまだ成長期が来てないだけだ。好きで小さいんじゃない。

「付き合うのか?」
「…そんなんじゃないし。」

簡単に言わないでくれよな。

「別に、学生時代の恋人ならバース性は重く考えなくて良いと思うぞ。」
「余計なお世話。」
「俺も最初は母さんをβだと思ってたけど、惚れたし。」 
「…え?」

βと思ってたのに、それでも良いって思ったの?

久々に父さんの顔をまじまじと見てしまった。

初耳なんだけど…?


「…βでも良かったの?」
「仕方ないじゃん。一目惚れしちゃったんだから。」

父さんは照れたように笑う。

両親はくっつくまでに複雑な事情や紆余曲折があったようで、それはあまり子供には聞かせたく無かったらしく、今迄詳しく聞いた事が無かった。
僕が聞いてたのは、1度番を解除したんだけど、その後はどう試しても番が結べなくて、ならまあもういっか、って結婚したって事だけ。
と言うか…言われなきゃ全然わかんないよ、あれで番結べてないなんて。
相思相愛が過ぎて、周囲がアテられるから。


「…あのさ。」

でも、僕ももう15だし、

「その辺の事、詳しく聞かせてくんない?」

今後の参考にしたいので。



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