3 / 8
3 逃げられないその場所で、逃げ道を探した。
しおりを挟む
思えば、前世の己は何かと人から頼られることが多かった。しかも、頼まれたら嫌とは言えない性格をしていたと、そう思う。
それは、今世でも変わらないらしい。
そもそも、第二王子との婚約だって、伯母である王妃から「あの子のことお願いね?」と言われたのが始まりだった気がする。
まあ、結局この婚約は破滅の未来しか見えなかったので解消させてもらったが。
とにかく、性格は死んでも治らなかったということが、よくわかった。
いまさらどうしようもないのだ。
だからリディアは、前向きになんとかしようと、気持ちを切り替えた。
その日の授業が終わり、夕食を取るべく食堂へと歩いていたリディアの体は、心なしか軽かった。
反対に、横を歩くネイラはどんよりとしており、リディアにしがみつきながら歩いている。
原因は、今日の授業にある。
なんと、新たな授業が始まったのだ。
もちろん、午前中は今迄通り体力づくりなのだが、午後からマナーレッスンが加わった。
平民生徒と貴族生徒の得意分野が切り替わった瞬間である。
子供のころからマナーを教え込まれていた貴族たちと違って、そんなものを受けたことのない平民生徒たちは、悲鳴を上げていた。ドレスで走れる淑女の鏡であるカトリーナ先生は、とても厳しい。リディアでさえも、ビシバシと鍛えられた。
だが、それでも平民生徒たちに比べれば下地ができているので、今までと比べれば格段に楽なのだ。特に体力的に。
だから平民ではあるけれど、あの学園で1年教育を受けたネイラは、まだ多少はましなのだが、それでも焼け石に水程度だったらしく、相当扱かれていた。
心なしか腕や足がぷるぷるしている。
恐るべし、マナーレッスン。
「……1週間もすれば、だいぶ慣れるわよ」
「……1週間どころか、明日起き上れるのかが不安です……」
それはリディアも思ったものだ、授業1日目に。
だが。
「人間気合で多少のことは何とかなるものよ。私はなったわ」
「うう、がんばります……」
しくしくとうなだれるネイラを半ば引きずるようにしつつも、何とか食堂に到着する。
ネイラが動けるようになるまで待っていたので、やや人の少なくなったそこを見渡し、ひらひらとこちらに向かって手を振る人物に気づく。
問題の勇者、レティアだ。
どうやらこちらに来いということらしい。
頷き、飲み物だけを持って席に着くと、すぐさま本日の夕食が並べられる。
相変わらず、素早い対応である。
ひそかに感心しつつ、リディアは目の前の人物に目を向ける。
レティアの横に座る、あと数年したら確実に好青年と呼ぶにふさわしいだろう、さわやかな笑みを浮かべている男子生徒。
初対面のはずなのだが、何か、どこかで見た覚えがある気がしてならない。
焦げ茶色の短髪だが、ひと房だけ銀色がかったそれを、どこかで……?
首をかしげるリディアの横で、息をのむ音が聞こえた。
「まさかっ、……ケイン・ゼーリウス、です、か?」
「えっ」
まさか。
否定してほしいという思いが瞬時に湧き上がったのだが、その望みは無情にも断たれた
他ならぬ、本人によって。
「正解。あの暑苦しい剣術バカ代表と言われた、ケイン・ゼーリウスです」
そう言って、さわやかにほほ笑む彼が、あの攻略者。熱血の「ね」の字も感じられない彼が、あの幼馴染。
確かにレティアは「別人」だと言ってはいたが、これは詐欺だろう。いくらなんでも変わりすぎである。
唖然とするこちらの様子を、ついに堪えきれなかったというように、レティアがお腹を抑えながら笑い出す。
「ふ、ふふ。やっぱり『知っている』というのはいいね」
ケインがそんなレティアをたしなめるように「レティ」と呼ぶ。
「ごめん、つい。……ケインの他に話せるものがいるというのがうれしくて」
ああ、確かにとリディアは思う。
本来なら、こんな、「この世界は乙女ゲームなんです」なんて口に出すことすらできない。出したら最後、頭がおかしい人だと思われるだろう。この記憶がなければ、リディアだって間違いなくそう思うからだ。
けれど、ここには同じ記憶を持つ者がいる。
それも4人も。
「……奇跡ですよね」
「そうね、何かの意図を感じなくもないけど」
「そうだな。でも今だけは感謝してもいいんじゃないかなと、私は思うよ」
「ああ、心強いしね」
くすりと、誰ともなく笑みをこぼす。
共通の記憶というものがあるだけで、何か絆のようなものを感じてしまうのだろう。
なんとなく、ほのぼのとしながら食事を終え、食後の紅茶をいただく。
「……なんか落ち着くわね……」
「……落ち着きます」
そうつぶやくネイラは、どこかふわふわとしている。かなり眠いようだ。
そろそろお暇しようかしら? と思い、挨拶をしようと顔を上げると、なぜか真剣な表情をしたケインがいた。
「……? なにか」
「いや、……本当は言おうかどうか迷っていたんだが……」
「やはり真実は告げておいたほうがいいだろう、選ぶなら、知るほうをとるよ、私は」
「……そうか」
なにやら二人の間で話が進んでいるようだが、リディアにはさっぱりだ。
とりあえず、ネイラを揺り起こす。
「ね、むいです……」
「そうね、でも起きなさい。あなたも聞いておいたほうがよさそうだから」
「……はい」
顔をぱしぱしとたたきながら何とか目を覚ましているネイラを見つつ、どうやら結論が出たらしい二人を見る。
「で?」
「そう、だな。まず二人は『あなたの想いが私を強くする』のファンディスクをプレイしただろうか?」
「……いいえ」
「……私も、してないです」
思わず、ネイラと顔を見合わせる。
ファンディスクなんて、そもそも存在すら知らない。
「だろうね。限定発売されたものだから、持っているものは限られるだろう。……ゲームの本編に登場した、魔王の右腕的な、悪役の女性を覚えているだろうか?」
「あ、あの常にフードをかぶっていた?」
ちょこちょこ出てきては、邪魔をしてくる女性。だが、その素顔は常にフードをかぶっており、どのルートでも最後まで明かされることはなかった。そんな謎の存在。
「それがファンディスクで、少し、というか存在のヒント的なものが出ていて、……まあ、『だれ』であるかの特定は、ゲーマーなら、おそらく全員できただろうと思う」
なにか歯切れの悪いその言い方に、眉を寄せる。
……なんだろう。すごく嫌な予感がする。
「ヒントは、『隣国からきた』『大貴族の娘』『没落』『王家』」
背筋がぞわっとした。
「……何かしら。私、今すっごくこの場から走り去りたい」
そりゃあもう、全速力で。
だが、勇者がそれを阻止する。どこか憐みの瞳で。
「リディア。聞きたくないだろうが、聞くんだ」
「私もういっぱいいっぱいなのに!!」
「……そして、『はちみつ色の髪にうすい緑色の瞳』」
沈黙が訪れた。
ネイラが口をあけたまま、こちらを凝視する。
正確には、リディアの腰までもある『はちみつ色の髪』と『うすい緑色の瞳』を交互に見ている。
「よ、よくある容姿よね」
「ないよ」
「あるのよ!」
「……リディア様。『はちみつ色の髪とうすい緑色の瞳』は……、王家の血をひかないと持てない色です……」
ネイラが止めをさした。
そう、そうなのだ。
この国の王族はまさしくネイラが言った通りの色を誰もが持っているのだ。
それはもちろん、現国王の妹を母に持つ、リディアにも流れているということで……。
「で、でもそれなら他にも候補がいるかもしれないじゃない! 実は他の時代かもしれないし、どこかにいないとも限らないじゃない!?」
この国では意味のある色だけど、他国ではありふれた色かもしれない、と必死に現実から目をさらす。
だが、ケインはそっと瞳を伏せて首を振った。
「トゥルーエンドがある。とても難しい条件をクリアした先に見れるもので、……何度リセットボタンを押したことかっ……」
「って、ケイン。それは置いといて」
「あ、ああ、すまない。でそのエンディングロールの最後に、魔王が呼ぶんだ、彼女を」
「…………な、なんて」
「『リディア』」
「………………」
あ、これもう無理だ。
「リディア様! 気絶しないでください!!」
「いいじゃない気絶したって! 私は今全力で気絶したいのよ!!」
いやいやと、耳をふさいで首を振る。
「……リディア」
だがやっぱり勇者がそれを許してくれない。いつの間にか横へと移動してきていたレティアによって、両耳から手が外される。
恐る恐る視線を合わせるが、そっとそらされた。
「どうしてそらすの!!」
「いや、その……」
「勇者でしょう!!」
「それは関係ないですリディア様」
スパッと後ろから切られた。
……どうも常々思っていたのだが、ネイラはこう、言いにくいことをズバッという性格のようだ。しかも、このかわいらしい容姿から放たれるので、ダメージは倍になる。
「…………私、かわいそう……」
思わずつぶやく。
「ま、まあリディア嬢」
ごほんと、咳払いをして、ケインが言う。
「まだ、そうと決まったわけじゃない。いくら同じ製作者だとしても、他人の空似かもしれない。……可能性はなくはない」
「……その可能性は何パーセントくらいかしら?」
「…………1パーセントくらい?」
「それもうアウトよね……」
うなだれる。
確かにいろいろ齟齬はあるだろう。だが、すべては「ゲームだから」で片づけられてしまう。
乙女ゲームのヒロインだって、本編で恋に落ちてエンディングを迎えても、続編でそれがなかったかのように違う人と恋に落ちれてしまうのだ。そこに、どれだけ矛盾があったとしても。
だってそれが乙女ゲーム。それがゲーム。それがあたりまえ、なのだ。
だがしかし。
だがしかしっ。
このゲームの製作者と、信じてもいないが神様とやらに、言いたい。
「…………そんなに『私』を悪役にしたいのかしら……?」
ふふっと、あきらめたように笑いながら言ったその言葉に、だれも何も言えなかった。
それは、今世でも変わらないらしい。
そもそも、第二王子との婚約だって、伯母である王妃から「あの子のことお願いね?」と言われたのが始まりだった気がする。
まあ、結局この婚約は破滅の未来しか見えなかったので解消させてもらったが。
とにかく、性格は死んでも治らなかったということが、よくわかった。
いまさらどうしようもないのだ。
だからリディアは、前向きになんとかしようと、気持ちを切り替えた。
その日の授業が終わり、夕食を取るべく食堂へと歩いていたリディアの体は、心なしか軽かった。
反対に、横を歩くネイラはどんよりとしており、リディアにしがみつきながら歩いている。
原因は、今日の授業にある。
なんと、新たな授業が始まったのだ。
もちろん、午前中は今迄通り体力づくりなのだが、午後からマナーレッスンが加わった。
平民生徒と貴族生徒の得意分野が切り替わった瞬間である。
子供のころからマナーを教え込まれていた貴族たちと違って、そんなものを受けたことのない平民生徒たちは、悲鳴を上げていた。ドレスで走れる淑女の鏡であるカトリーナ先生は、とても厳しい。リディアでさえも、ビシバシと鍛えられた。
だが、それでも平民生徒たちに比べれば下地ができているので、今までと比べれば格段に楽なのだ。特に体力的に。
だから平民ではあるけれど、あの学園で1年教育を受けたネイラは、まだ多少はましなのだが、それでも焼け石に水程度だったらしく、相当扱かれていた。
心なしか腕や足がぷるぷるしている。
恐るべし、マナーレッスン。
「……1週間もすれば、だいぶ慣れるわよ」
「……1週間どころか、明日起き上れるのかが不安です……」
それはリディアも思ったものだ、授業1日目に。
だが。
「人間気合で多少のことは何とかなるものよ。私はなったわ」
「うう、がんばります……」
しくしくとうなだれるネイラを半ば引きずるようにしつつも、何とか食堂に到着する。
ネイラが動けるようになるまで待っていたので、やや人の少なくなったそこを見渡し、ひらひらとこちらに向かって手を振る人物に気づく。
問題の勇者、レティアだ。
どうやらこちらに来いということらしい。
頷き、飲み物だけを持って席に着くと、すぐさま本日の夕食が並べられる。
相変わらず、素早い対応である。
ひそかに感心しつつ、リディアは目の前の人物に目を向ける。
レティアの横に座る、あと数年したら確実に好青年と呼ぶにふさわしいだろう、さわやかな笑みを浮かべている男子生徒。
初対面のはずなのだが、何か、どこかで見た覚えがある気がしてならない。
焦げ茶色の短髪だが、ひと房だけ銀色がかったそれを、どこかで……?
首をかしげるリディアの横で、息をのむ音が聞こえた。
「まさかっ、……ケイン・ゼーリウス、です、か?」
「えっ」
まさか。
否定してほしいという思いが瞬時に湧き上がったのだが、その望みは無情にも断たれた
他ならぬ、本人によって。
「正解。あの暑苦しい剣術バカ代表と言われた、ケイン・ゼーリウスです」
そう言って、さわやかにほほ笑む彼が、あの攻略者。熱血の「ね」の字も感じられない彼が、あの幼馴染。
確かにレティアは「別人」だと言ってはいたが、これは詐欺だろう。いくらなんでも変わりすぎである。
唖然とするこちらの様子を、ついに堪えきれなかったというように、レティアがお腹を抑えながら笑い出す。
「ふ、ふふ。やっぱり『知っている』というのはいいね」
ケインがそんなレティアをたしなめるように「レティ」と呼ぶ。
「ごめん、つい。……ケインの他に話せるものがいるというのがうれしくて」
ああ、確かにとリディアは思う。
本来なら、こんな、「この世界は乙女ゲームなんです」なんて口に出すことすらできない。出したら最後、頭がおかしい人だと思われるだろう。この記憶がなければ、リディアだって間違いなくそう思うからだ。
けれど、ここには同じ記憶を持つ者がいる。
それも4人も。
「……奇跡ですよね」
「そうね、何かの意図を感じなくもないけど」
「そうだな。でも今だけは感謝してもいいんじゃないかなと、私は思うよ」
「ああ、心強いしね」
くすりと、誰ともなく笑みをこぼす。
共通の記憶というものがあるだけで、何か絆のようなものを感じてしまうのだろう。
なんとなく、ほのぼのとしながら食事を終え、食後の紅茶をいただく。
「……なんか落ち着くわね……」
「……落ち着きます」
そうつぶやくネイラは、どこかふわふわとしている。かなり眠いようだ。
そろそろお暇しようかしら? と思い、挨拶をしようと顔を上げると、なぜか真剣な表情をしたケインがいた。
「……? なにか」
「いや、……本当は言おうかどうか迷っていたんだが……」
「やはり真実は告げておいたほうがいいだろう、選ぶなら、知るほうをとるよ、私は」
「……そうか」
なにやら二人の間で話が進んでいるようだが、リディアにはさっぱりだ。
とりあえず、ネイラを揺り起こす。
「ね、むいです……」
「そうね、でも起きなさい。あなたも聞いておいたほうがよさそうだから」
「……はい」
顔をぱしぱしとたたきながら何とか目を覚ましているネイラを見つつ、どうやら結論が出たらしい二人を見る。
「で?」
「そう、だな。まず二人は『あなたの想いが私を強くする』のファンディスクをプレイしただろうか?」
「……いいえ」
「……私も、してないです」
思わず、ネイラと顔を見合わせる。
ファンディスクなんて、そもそも存在すら知らない。
「だろうね。限定発売されたものだから、持っているものは限られるだろう。……ゲームの本編に登場した、魔王の右腕的な、悪役の女性を覚えているだろうか?」
「あ、あの常にフードをかぶっていた?」
ちょこちょこ出てきては、邪魔をしてくる女性。だが、その素顔は常にフードをかぶっており、どのルートでも最後まで明かされることはなかった。そんな謎の存在。
「それがファンディスクで、少し、というか存在のヒント的なものが出ていて、……まあ、『だれ』であるかの特定は、ゲーマーなら、おそらく全員できただろうと思う」
なにか歯切れの悪いその言い方に、眉を寄せる。
……なんだろう。すごく嫌な予感がする。
「ヒントは、『隣国からきた』『大貴族の娘』『没落』『王家』」
背筋がぞわっとした。
「……何かしら。私、今すっごくこの場から走り去りたい」
そりゃあもう、全速力で。
だが、勇者がそれを阻止する。どこか憐みの瞳で。
「リディア。聞きたくないだろうが、聞くんだ」
「私もういっぱいいっぱいなのに!!」
「……そして、『はちみつ色の髪にうすい緑色の瞳』」
沈黙が訪れた。
ネイラが口をあけたまま、こちらを凝視する。
正確には、リディアの腰までもある『はちみつ色の髪』と『うすい緑色の瞳』を交互に見ている。
「よ、よくある容姿よね」
「ないよ」
「あるのよ!」
「……リディア様。『はちみつ色の髪とうすい緑色の瞳』は……、王家の血をひかないと持てない色です……」
ネイラが止めをさした。
そう、そうなのだ。
この国の王族はまさしくネイラが言った通りの色を誰もが持っているのだ。
それはもちろん、現国王の妹を母に持つ、リディアにも流れているということで……。
「で、でもそれなら他にも候補がいるかもしれないじゃない! 実は他の時代かもしれないし、どこかにいないとも限らないじゃない!?」
この国では意味のある色だけど、他国ではありふれた色かもしれない、と必死に現実から目をさらす。
だが、ケインはそっと瞳を伏せて首を振った。
「トゥルーエンドがある。とても難しい条件をクリアした先に見れるもので、……何度リセットボタンを押したことかっ……」
「って、ケイン。それは置いといて」
「あ、ああ、すまない。でそのエンディングロールの最後に、魔王が呼ぶんだ、彼女を」
「…………な、なんて」
「『リディア』」
「………………」
あ、これもう無理だ。
「リディア様! 気絶しないでください!!」
「いいじゃない気絶したって! 私は今全力で気絶したいのよ!!」
いやいやと、耳をふさいで首を振る。
「……リディア」
だがやっぱり勇者がそれを許してくれない。いつの間にか横へと移動してきていたレティアによって、両耳から手が外される。
恐る恐る視線を合わせるが、そっとそらされた。
「どうしてそらすの!!」
「いや、その……」
「勇者でしょう!!」
「それは関係ないですリディア様」
スパッと後ろから切られた。
……どうも常々思っていたのだが、ネイラはこう、言いにくいことをズバッという性格のようだ。しかも、このかわいらしい容姿から放たれるので、ダメージは倍になる。
「…………私、かわいそう……」
思わずつぶやく。
「ま、まあリディア嬢」
ごほんと、咳払いをして、ケインが言う。
「まだ、そうと決まったわけじゃない。いくら同じ製作者だとしても、他人の空似かもしれない。……可能性はなくはない」
「……その可能性は何パーセントくらいかしら?」
「…………1パーセントくらい?」
「それもうアウトよね……」
うなだれる。
確かにいろいろ齟齬はあるだろう。だが、すべては「ゲームだから」で片づけられてしまう。
乙女ゲームのヒロインだって、本編で恋に落ちてエンディングを迎えても、続編でそれがなかったかのように違う人と恋に落ちれてしまうのだ。そこに、どれだけ矛盾があったとしても。
だってそれが乙女ゲーム。それがゲーム。それがあたりまえ、なのだ。
だがしかし。
だがしかしっ。
このゲームの製作者と、信じてもいないが神様とやらに、言いたい。
「…………そんなに『私』を悪役にしたいのかしら……?」
ふふっと、あきらめたように笑いながら言ったその言葉に、だれも何も言えなかった。
1
あなたにおすすめの小説
だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で
重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。
魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。
案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に
ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。
幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。
だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。
特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。
余計に私が頑張らなければならない。
王妃となり国を支える。
そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。
学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。
なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。
何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。
なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。
はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか?
まぁいいわ。
国外追放喜んでお受けいたします。
けれどどうかお忘れにならないでくださいな?
全ての責はあなたにあると言うことを。
後悔しても知りませんわよ。
そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。
ふふっ、これからが楽しみだわ。
わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが
水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。
王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。
数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。
記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。
リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが……
◆表紙はGirly Drop様からお借りしました
◇小説家になろうにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる