47 / 53
ご紹介して下さい!
しおりを挟む
ハロルド様もメイベルも街からいなくなり、落ち着いた日常が送れていた。
まだ婚約期間だが、クロード様に実家に帰らないでくれ。と言われてクロード様のお邸でお世話になっている。
「おかえりなさいませ、クロード様。」
「ただいま、ラケル。」
クロード様の出勤のお見送りと帰宅のお出迎えは私の日課になっていた。
仕事で疲れているだろうに、クロード様はいつも寄り道せず嬉しそうに帰ってきていた。
「ラケル、俺の父上から手紙が来たんだが、まだ仕事が片付かないらしく、会えないそうだ。ラケルにお詫びがしたい、と書いてあるんだが…。明日ドレスや服を買いに行かないか?母上があのオートクチュールにも手紙を出したらしいし…。」
「あのオートクチュールに…。」
お仕事なら仕方ないのに、何だか申し訳ない。
しかも、オートクチュールに手紙を出したということはそこで買えってことですよね。
「母上はいつもあの店で仕立てるから気にするな。」
「でも…何だか申し訳なくて…」
「気にしなくていい。明日の休みに二人で行こう。」
「はい。」
そして、翌日にあのオートクチュールに行くと、アーヴィン様がいた。
どうやら、ハロルド様がメイベルに買ったドレスの支払いに来たようだった。
「クロード様、ラケル様。兄上がこちらのオートクチュールでも失礼したようですね。重ね重ね謝罪致します。」
アーヴィン様はマダムからクロード様に、冷やかしだ、とか言っていた時のことを聞いてまた私達に謝罪した。
「メイベルのドレス代はお父様も負担すると言われましたが…」
「はい、ジェレマイア伯爵から、半分いただきました。お互いに折半することにしたんです。」
まあ、半分でも負担できたなら良かった。
うちは、ハーヴィ家より資産が少ないから。
それでも、すぐにアーヴィン様が支払いに来られなかったのは、私達に慰謝料や迷惑料を先に準備したからだろう。
それで、オートクチュールの支払いが後回しになったと思った。
「ハーヴィ伯爵のお体はどうだ?まだ休まれているのか?」
「父上は後何日か休んだら領地で過ごします。兄上を見張りたいのでしょう。」
笑顔のアーヴィン様とそんな話をしていると、このオートクチュールに、あのルシール嬢がやって来た。
ルシール様もよくこのオートクチュールを利用するらしい。
さすが公爵令嬢様だ。
「クロード様、ラケル様。こちらの方は…?」
「アーヴィン・ハーヴィと言います。可愛らしい方ですね。よろしくお願いします。」
「まあ、可愛いだなんて…。」
ルシール様…惚れっぽい性格ですか。
顔が赤くなってますよ。
「では、私はこれで失礼します。」
アーヴィン様は何事もなかったようにオートクチュールから出ていった。
残されたルシール様は、アーヴィン様をぽーっと見ている。
「クロード様、ラケル様。あの方はお知り合いですか?」
「ええ、まあ…」
「ご紹介して下さい!私にはあの方がお似合いですぅ!」
「ええっ!?」
惚れっぽいといましがた思ったばかりですよ!
「ラケル…ルシール嬢は一途というか、真っ直ぐなんだ…。押しが強いんだ…」
クロード様の時も押しが強かったと聞きましたね!
「どうしましょうか?」
「何か問題でもありますか?まさか、ラケル様の愛人ですか?」
「違います!」
何を考えているんだ!
隣のクロード様は眉間にシワがよってしまった。
「ルシール嬢、ラケルに愛人はいません。不埒なことを言わないでもらいたい。」
「私にはクロード様だけです!」
愛人なんているわけないです!
思わず、クロード様だけです!と言ってしまった。
「失礼しました。…でもご紹介して欲しいんですの…」
クロード様に言われてルシール様は少し小さくなったが、ひたすら紹介して欲しいと言ってくる。
「紹介だけならどうだ?アーヴィンに婚約者はいるのか?」
「いませんでしたが…そうですね、アーヴィン様にお伝えしましょうか?」
「そうするか。」
「よろしくお願いしますわ!」
何だかルシール様に押され気味で紹介することになり、翌日にはハーヴィ伯爵の見舞いも兼ねて、ハーヴィ伯爵家へと行くことになった。
まだ婚約期間だが、クロード様に実家に帰らないでくれ。と言われてクロード様のお邸でお世話になっている。
「おかえりなさいませ、クロード様。」
「ただいま、ラケル。」
クロード様の出勤のお見送りと帰宅のお出迎えは私の日課になっていた。
仕事で疲れているだろうに、クロード様はいつも寄り道せず嬉しそうに帰ってきていた。
「ラケル、俺の父上から手紙が来たんだが、まだ仕事が片付かないらしく、会えないそうだ。ラケルにお詫びがしたい、と書いてあるんだが…。明日ドレスや服を買いに行かないか?母上があのオートクチュールにも手紙を出したらしいし…。」
「あのオートクチュールに…。」
お仕事なら仕方ないのに、何だか申し訳ない。
しかも、オートクチュールに手紙を出したということはそこで買えってことですよね。
「母上はいつもあの店で仕立てるから気にするな。」
「でも…何だか申し訳なくて…」
「気にしなくていい。明日の休みに二人で行こう。」
「はい。」
そして、翌日にあのオートクチュールに行くと、アーヴィン様がいた。
どうやら、ハロルド様がメイベルに買ったドレスの支払いに来たようだった。
「クロード様、ラケル様。兄上がこちらのオートクチュールでも失礼したようですね。重ね重ね謝罪致します。」
アーヴィン様はマダムからクロード様に、冷やかしだ、とか言っていた時のことを聞いてまた私達に謝罪した。
「メイベルのドレス代はお父様も負担すると言われましたが…」
「はい、ジェレマイア伯爵から、半分いただきました。お互いに折半することにしたんです。」
まあ、半分でも負担できたなら良かった。
うちは、ハーヴィ家より資産が少ないから。
それでも、すぐにアーヴィン様が支払いに来られなかったのは、私達に慰謝料や迷惑料を先に準備したからだろう。
それで、オートクチュールの支払いが後回しになったと思った。
「ハーヴィ伯爵のお体はどうだ?まだ休まれているのか?」
「父上は後何日か休んだら領地で過ごします。兄上を見張りたいのでしょう。」
笑顔のアーヴィン様とそんな話をしていると、このオートクチュールに、あのルシール嬢がやって来た。
ルシール様もよくこのオートクチュールを利用するらしい。
さすが公爵令嬢様だ。
「クロード様、ラケル様。こちらの方は…?」
「アーヴィン・ハーヴィと言います。可愛らしい方ですね。よろしくお願いします。」
「まあ、可愛いだなんて…。」
ルシール様…惚れっぽい性格ですか。
顔が赤くなってますよ。
「では、私はこれで失礼します。」
アーヴィン様は何事もなかったようにオートクチュールから出ていった。
残されたルシール様は、アーヴィン様をぽーっと見ている。
「クロード様、ラケル様。あの方はお知り合いですか?」
「ええ、まあ…」
「ご紹介して下さい!私にはあの方がお似合いですぅ!」
「ええっ!?」
惚れっぽいといましがた思ったばかりですよ!
「ラケル…ルシール嬢は一途というか、真っ直ぐなんだ…。押しが強いんだ…」
クロード様の時も押しが強かったと聞きましたね!
「どうしましょうか?」
「何か問題でもありますか?まさか、ラケル様の愛人ですか?」
「違います!」
何を考えているんだ!
隣のクロード様は眉間にシワがよってしまった。
「ルシール嬢、ラケルに愛人はいません。不埒なことを言わないでもらいたい。」
「私にはクロード様だけです!」
愛人なんているわけないです!
思わず、クロード様だけです!と言ってしまった。
「失礼しました。…でもご紹介して欲しいんですの…」
クロード様に言われてルシール様は少し小さくなったが、ひたすら紹介して欲しいと言ってくる。
「紹介だけならどうだ?アーヴィンに婚約者はいるのか?」
「いませんでしたが…そうですね、アーヴィン様にお伝えしましょうか?」
「そうするか。」
「よろしくお願いしますわ!」
何だかルシール様に押され気味で紹介することになり、翌日にはハーヴィ伯爵の見舞いも兼ねて、ハーヴィ伯爵家へと行くことになった。
105
あなたにおすすめの小説
美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。10~15話前後の短編五編+番外編のお話です。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非!
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。 ※R7.10/13お気に入り登録700を超えておりました(泣)多大なる感謝を込めて一話お届けいたします。 *らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.10/30に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。 ※R7.12/8お気に入り登録800超えです!ありがとうございます(泣)一話書いてみましたので、ぜひ!
恐怖侯爵の後妻になったら、「君を愛することはない」と言われまして。
長岡更紗
恋愛
落ちぶれ子爵令嬢の私、レディアが後妻として嫁いだのは──まさかの恐怖侯爵様!
しかも初夜にいきなり「君を愛することはない」なんて言われちゃいましたが?
だけど、あれ? 娘のシャロットは、なんだかすごく懐いてくれるんですけど!
義理の娘と仲良くなった私、侯爵様のこともちょっと気になりはじめて……
もしかして、愛されるチャンスあるかも? なんて思ってたのに。
「前妻は雲隠れした」って噂と、「死んだのよ」って娘の言葉。
しかも使用人たちは全員、口をつぐんでばかり。
ねえ、どうして? 前妻さんに何があったの?
そして、地下から聞こえてくる叫び声は、一体!?
恐怖侯爵の『本当の顔』を知った時。
私の心は、思ってもみなかった方向へ動き出す。
*他サイトにも公開しています
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
破滅フラグから逃げたくて引きこもり聖女になったのに「たぶんこれも破滅ルートですよね?」
氷雨そら
恋愛
「どうしてよりによって、18歳で破滅する悪役令嬢に生まれてしまったのかしら」
こうなったら引きこもってフラグ回避に全力を尽くす!
そう決意したリアナは、聖女候補という肩書きを使って世界樹の塔に引きこもっていた。そしていつしか、聖女と呼ばれるように……。
うまくいっていると思っていたのに、呪いに倒れた聖騎士様を見過ごすことができなくて肩代わりしたのは「18歳までしか生きられない呪い」
これまさか、悪役令嬢の隠し破滅フラグ?!
18歳の破滅ルートに足を踏み入れてしまった悪役令嬢が聖騎士と攻略対象のはずの兄に溺愛されるところから物語は動き出す。
小説家になろうにも掲載しています。
【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?
氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。
しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。
夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。
小説家なろうにも投稿中
【完結】一途すぎる公爵様は眠り姫を溺愛している
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
リュシエンヌ・ソワイエは16歳の子爵令嬢。皆が憧れるマルセル・クレイン伯爵令息に婚約を申し込まれたばかりで幸せいっぱいだ。
しかしある日を境にリュシエンヌは眠りから覚めなくなった。本人は自覚が無いまま12年の月日が過ぎ、目覚めた時には父母は亡くなり兄は結婚して子供がおり、さらにマルセルはリュシエンヌの親友アラベルと結婚していた。
突然のことに狼狽えるリュシエンヌ。しかも兄嫁はリュシエンヌを厄介者扱いしていて実家にはいられそうもない。
そんな彼女に手を差し伸べたのは、若きヴォルテーヌ公爵レオンだった……。
『残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました』『結婚前日に友人と入れ替わってしまった……!』に出てくる魔法大臣ゼインシリーズです。
表紙は「簡単表紙メーカー2」で作成しました。
この婚約は白い結婚に繋がっていたはずですが? 〜深窓の令嬢は赤獅子騎士団長に溺愛される〜
氷雨そら
恋愛
婚約相手のいない婚約式。
通常であれば、この上なく惨めであろうその場所に、辺境伯令嬢ルナシェは、美しいベールをなびかせて、毅然とした姿で立っていた。
ベールから、こぼれ落ちるような髪は白銀にも見える。プラチナブロンドが、日差しに輝いて神々しい。
さすがは、白薔薇姫との呼び名高い辺境伯令嬢だという周囲の感嘆。
けれど、ルナシェの内心は、実はそれどころではなかった。
(まさかのやり直し……?)
先ほど確かに、ルナシェは断頭台に露と消えたのだ。しかし、この場所は確かに、あの日経験した、たった一人の婚約式だった。
ルナシェは、人生を変えるため、婚約式に現れなかった婚約者に、婚約破棄を告げるため、激戦の地へと足を向けるのだった。
小説家になろう様にも投稿しています。
ある日突然、醜いと有名な次期公爵様と結婚させられることになりました
八代奏多
恋愛
クライシス伯爵令嬢のアレシアはアルバラン公爵令息のクラウスに嫁ぐことが決まった。
両家の友好のための婚姻と言えば聞こえはいいが、実際は義母や義妹そして実の父から追い出されただけだった。
おまけに、クラウスは性格までもが醜いと噂されている。
でもいいんです。義母や義妹たちからいじめられる地獄のような日々から解放されるのだから!
そう思っていたけれど、噂は事実ではなくて……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる