子供が可愛いすぎて伯爵様の溺愛に気づきません!

屋月 トム伽

文字の大きさ
48 / 83

シリルの秘密 2



驚いて目を見開いてしまっている。

「シリルの父親は、セアラと恋仲になっていたヘイスティング侯爵家の長男エヴァンスだ」
「あのヘイスティング侯爵家!?」
「そうだ。セアラの相手はヘイスティング侯爵家の長男エヴァンスだった」
「長男……? 確か若くして他界していた……」

ヘイスティング侯爵家は、あの慰謝料も払わずに私と別れたジェレミー様の家だ。長男が若くして他界したために、次男であるジェレミー様が次期侯爵を継ぐことになる予定だった。

確かに、髪色も瞳の色もジェレミー様と同じだった。夜会でもシリル様と同じだなぁと思ったのだ。間違いなく、シリル様にヘイスティング侯爵家の色が出ているのだ。

「ヘイスティング侯爵家の曾祖母が王族だった。結婚してヘイスティング侯爵家に嫁いだのだ。外に出た王族で一番近い血筋が彼女だ」

王族は直系が優先される。だから、外に嫁いだ彼女の血筋を辿れば、彼女の直系のヘイスティング侯爵家の長男に受け継がれているのだ。この国では、外に出た王族が王族と認められるのは第一子だけ。

そして、現在のヘイスティング侯爵の子供が二人いた。長男エヴァンスと次男ジェレミー。長男を儲けた時点で、王位継承権はヘイスティング侯爵から、その息子である長男エヴァンスに受け継がれていたのだ。

その王位継承権のある長男(エヴァンス)が子供(シリル様)を儲けて他界。王位継承権はヘイスティング侯爵の長男エヴァンスから、人知れずシリル様に移っていたのだ。

「まさか……それを知っていたから、シリル様を引き取らなかったのでは……」
「どうかな……ヘイスティング侯爵の死期も近いが……」

シリル様の存在がなければ、長男エヴァンスが他界したために次男であるジェレミー様が王位継承者になる。あの偉そうなジェレミーに。

「あの男ならしそう!!」

慰謝料も払わずにケチな男だった。真実の愛を求めて私と婚約をして、あっさりと感謝もせず別れた男だ。

「今すぐにとどめを刺さなければ! シリル様に何かあれば八つ裂きにしないと!」

やっぱり、夜会で再会した時に城の外壁にぶら下げて帰ってくればよかった。
力いっぱい拳を握ると、リクハルド様は淡々と話している。

「それも危惧している。だから、シリルを誰にも渡せないようにしていた」
「じゃあ、ルイーズ様に任せていたのは……」
「あれは、父上が決めたことだ。だが、ウィルオール殿下と王位継承者第二位を探し、シリルに行き着いた時には、守らねばと、大事にしていた」

だから、学校にも行かせないで邸で過ごさせていた。魔法の契約書のせいで、誰も不審に思わなかったのだ。

「だったら、すぐにお認めになればよろしいではないですか!?」
「だから、証明ができない」
「だから、どうしてです!?」
「シリルの出産証明書がないのだ」
「出産証明書がない!?」

そんな大事なものが?

出産証明書は、子供を産んだ時に書くものだ。産んだ母親と父親の名前があるはずで……。

「それとも、結婚もしないで産んだから名前も書かなかったのですか? それで、出産証明書を捨てたとか……」
「出産証明書には、必ず父親の名前が書いてあると俺たちは確信している。なにせ、密かに三人で生活をしていたぐらいだからな」
「三人で?」
「家を借りて生活をしていた。セアラの事故の報告を受けて駆けつけた家には、子供のオモチャなどシリルのもので溢れていた。とても放置していたとは思えないほどだ。ヘイスティング侯爵家の長男は、シリルもセアラも愛していたのだ。だが、出産証明書が見当たらない。俺たちはそれをずっと探しているんだ」





感想 13

あなたにおすすめの小説

嫌われ皇后は子供が可愛すぎて皇帝陛下に構っている時間なんてありません。

しあ
恋愛
目が覚めるとお腹が痛い! 声が出せないくらいの激痛。 この痛み、覚えがある…! 「ルビア様、赤ちゃんに酸素を送るためにゆっくり呼吸をしてください!もうすぐですよ!」 やっぱり! 忘れてたけど、お産の痛みだ! だけどどうして…? 私はもう子供が産めないからだだったのに…。 そんなことより、赤ちゃんを無事に産まないと! 指示に従ってやっと生まれた赤ちゃんはすごく可愛い。だけど、どう見ても日本人じゃない。 どうやら私は、わがままで嫌われ者の皇后に憑依転生したようです。だけど、赤ちゃんをお世話するのに忙しいので、構ってもらわなくて結構です。 なのに、どうして私を嫌ってる皇帝が部屋に訪れてくるんですか!?しかも毎回イラッとするとこを言ってくるし…。 本当になんなの!?あなたに構っている時間なんてないんですけど! ※視点がちょくちょく変わります。 ガバガバ設定、なんちゃって知識で書いてます。 エールを送って下さりありがとうございました!

《完結》とんでもない侯爵に嫁がされた女流作家の伯爵令嬢

ヴァンドール
恋愛
面食いで愛人のいる侯爵に伯爵令嬢であり女流作家のアンリが身を守るため変装して嫁いだが、その後、王弟殿下と知り合って・・

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました

鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。 けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。 そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。 シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。 困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。 夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。 そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。 ※他投稿サイトにも掲載中

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

《完結》戦利品にされた公爵令嬢

ヴァンドール
恋愛
戦いの《戦利品》として公爵邸に連れて行かれた公爵令嬢の運命は?

わんこな旦那様の胃袋を掴んだら、溺愛が止まらなくなりました。

楠ノ木雫
恋愛
 若くして亡くなった日本人の主人公は、とある島の王女李・翠蘭《リ・スイラン》として転生した。第二の人生ではちゃんと結婚し、おばあちゃんになるまで生きる事を目標にしたが、父である国王陛下が縁談話が来ては娘に相応しくないと断り続け、気が付けば19歳まで独身となってしまった。  婚期を逃がしてしまう事を恐れた主人公は、他国から来ていた縁談話を成立させ嫁ぐ事に成功した。島のしきたりにより、初対面は結婚式となっているはずが、何故か以前おにぎりをあげた使節団の護衛が新郎として待ち受けていた!?  そして、嫁ぐ先の料理はあまりにも口に合わず、新郎の恋人まで現れる始末。  主人公は、嫁ぎ先で平和で充実した結婚生活を手に入れる事を決意する。 ※他のサイトにも投稿しています。

【完結】殺されたくないので好みじゃないイケメン冷徹騎士と結婚します

大森 樹
恋愛
女子高生の大石杏奈は、上田健斗にストーカーのように付き纏われている。 「私あなたみたいな男性好みじゃないの」 「僕から逃げられると思っているの?」 そのまま階段から健斗に突き落とされて命を落としてしまう。 すると女神が現れて『このままでは何度人生をやり直しても、その世界のケントに殺される』と聞いた私は最強の騎士であり魔法使いでもある男に命を守ってもらうため異世界転生をした。 これで生き残れる…!なんて喜んでいたら最強の騎士は女嫌いの冷徹騎士ジルヴェスターだった!イケメンだが好みじゃないし、意地悪で口が悪い彼とは仲良くなれそうにない! 「アンナ、やはり君は私の妻に一番向いている女だ」 嫌いだと言っているのに、彼は『自分を好きにならない女』を妻にしたいと契約結婚を持ちかけて来た。 私は命を守るため。 彼は偽物の妻を得るため。 お互いの利益のための婚約生活。喧嘩ばかりしていた二人だが…少しずつ距離が近付いていく。そこに健斗ことケントが現れアンナに興味を持ってしまう。 「この命に代えても絶対にアンナを守ると誓おう」 アンナは無事生き残り、幸せになれるのか。 転生した恋を知らない女子高生×女嫌いのイケメン冷徹騎士のラブストーリー!? ハッピーエンド保証します。