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見なくていいもの
驚きで言葉も出ない。色んなことが頭を巡る。
二人は、結婚もしないで密かに過ごしていた。セアラはリクハルド様と婚約していたからだろう。もしかしたら、エヴァンスもそうなのかもしれない。そして、婚約破棄をする前にシリル様が産まれた。
すぐに結婚出来なかった二人は、隠れ住むしかなかったのだ。
そして、もう何年もリクハルド様たちはシリル様の出産証明書を探している。それが、最近になって動き出し始めている。ウィルオール殿下に至っては、近いうちに見つかると思ってあの王族しか持てないお守りを渡した気がする。
「まさかと思いますが……一応聞きます」
「なんだ?」
「魔法の契約書のせいで、見つからなかったんじゃ……」
「それもあったと思う。なかなか捜索が進まなくてだな……」
リクハルド様のお父様が作った魔法の契約書はどこまで効果があったのか。
「それを、キーラが無効にした。そして、ルミエルから連絡が久方ぶりにきたのだ。あのタイミングで来るなど不思議だった」
ルイーズ様にムカついてやったことが、どこまで周りに影響を与えているのか、自分のやったことが怖い。むしろ、呆れてしまう。
「ちなみに、ルイーズという可能性もあったが、キーラが追い出したおかげで除外された」
「除外?」
「出産証明書を持っていれば、ただでは出て行かないだろう」
そうだと思う。
もし、ルイーズ様が持っていれば、きっと素直に邸から出て行かないはずだ。彼女はリクハルド様を慕っていた。彼から離れたくなかったはずだ。家庭教師という立場で唯一リクハルド様と一緒に住むという立場を手に入れていたのだから。
そんな彼女が出産証明書という切り札を持っていれば、邸からでていく時に使っているはずだと、リクハルド様は思っていた。
「……リクハルド様。ルイーズ様の前で、その、キスしたりして来たのは……」
まるで、見せつけるようにしてきていた。ルイーズ様が嫌いだからだと思ったけど……。
「あれは、挑発すれば何か動くかと思ってやった」
「やっぱり! ということは、ルミエル様にも?」
「何かが動くかと思ったのだか……」
淡々とリクハルド様がこちらを見て言う。
「だいたい、ルミエル様は友人だったのに、知らないのですか?」
「よくわからない。だが、何か知っていると思う。だが、動き出さない。だから、動き出せるように、キーラと婚約をした。出産証明書を隠した奴がルミエルとは限らないから、何とも言えないが……」
何だろうか。リクハルド様の言い方にだんだんと腹が立ってきた。
まるで、私を利用したみたいな言い方なのだ。
「リクハルド様。私と婚約したのは……囮ですか?」
「俺が婚約すれば、周りが必ず動くと思ったが……」
出産証明書を隠している犯人候補たちは、ルイーズ様やルミエル様たちだと思っていたリクハルド様。彼女たちを焦らせるために、婚約を結んだ。それだけのために
。
そう思えば、ワナワナと震える手に力を入れて、リクハルド様を睨んだ。
「リクハルド様。出てけーー!!」
そう叫んで、力任せにリクハルド様を追い出した。
「おい、なぜ追い出す? 俺の部屋だぞ」
部屋から追い出されたリクハルド様が扉越しに言う。私は、扉に背中でもたれたままで聞いていた。
「リクハルド様には、ルミエル様の部屋があるから、大丈夫です!」
「だから、もう同衾する気はないと……」
呆れたような声でリクハルド様が言う。
「リクハルド様」
「なんだ? 開ける気になったか?」
「私の顔が好きだったんじゃないんですか!?」
「そう言ったが? 勘違いしないように言っておくが、婚約を結んでも、キーラと別れる気はなかった」
「だからなんなんですか」
私の剣幕に困ったようなリクハルド様が言う。
「誰でもいいなら、とっくに婚約している」
扉越しに、リクハルド様が話している。確かにそうだと思う。でも、魔法の契約書のことがあるから、婚約出来なかったのでは、と思う気持ちもある。
そして、リクハルド様の足音が遠ざかって行くのが聞こえた。
ちょっとだけ淋しい。
自分が短気だという自覚はある。
……確かに、私と出会う前の相手のことを責めるのは、私が間違っている気がする。
リクハルド様もシリル様を心配していたのに、部屋から追い出してしまった。少しだけ後悔して、リクハルド様を追いかけた。
歩くのが早いせいで、扉を開けてもリクハルド様が見当たらずに、足音が遠ざかって行った方角へと行けば、リクハルド様がルミエル様と一緒にいた。
何か話している。そっと聞き耳を立てれば、リクハルド様がシャツを緩めた。ルミエル様がリクハルド様に抱きついていた。
リクハルド様がルミエル様に手を回して抱き寄せる。ルミエル様が、シャツを緩めたリクハルド様に触れれば、彼がびくりとした。
それを、呆然として見ていた。
二人は、結婚もしないで密かに過ごしていた。セアラはリクハルド様と婚約していたからだろう。もしかしたら、エヴァンスもそうなのかもしれない。そして、婚約破棄をする前にシリル様が産まれた。
すぐに結婚出来なかった二人は、隠れ住むしかなかったのだ。
そして、もう何年もリクハルド様たちはシリル様の出産証明書を探している。それが、最近になって動き出し始めている。ウィルオール殿下に至っては、近いうちに見つかると思ってあの王族しか持てないお守りを渡した気がする。
「まさかと思いますが……一応聞きます」
「なんだ?」
「魔法の契約書のせいで、見つからなかったんじゃ……」
「それもあったと思う。なかなか捜索が進まなくてだな……」
リクハルド様のお父様が作った魔法の契約書はどこまで効果があったのか。
「それを、キーラが無効にした。そして、ルミエルから連絡が久方ぶりにきたのだ。あのタイミングで来るなど不思議だった」
ルイーズ様にムカついてやったことが、どこまで周りに影響を与えているのか、自分のやったことが怖い。むしろ、呆れてしまう。
「ちなみに、ルイーズという可能性もあったが、キーラが追い出したおかげで除外された」
「除外?」
「出産証明書を持っていれば、ただでは出て行かないだろう」
そうだと思う。
もし、ルイーズ様が持っていれば、きっと素直に邸から出て行かないはずだ。彼女はリクハルド様を慕っていた。彼から離れたくなかったはずだ。家庭教師という立場で唯一リクハルド様と一緒に住むという立場を手に入れていたのだから。
そんな彼女が出産証明書という切り札を持っていれば、邸からでていく時に使っているはずだと、リクハルド様は思っていた。
「……リクハルド様。ルイーズ様の前で、その、キスしたりして来たのは……」
まるで、見せつけるようにしてきていた。ルイーズ様が嫌いだからだと思ったけど……。
「あれは、挑発すれば何か動くかと思ってやった」
「やっぱり! ということは、ルミエル様にも?」
「何かが動くかと思ったのだか……」
淡々とリクハルド様がこちらを見て言う。
「だいたい、ルミエル様は友人だったのに、知らないのですか?」
「よくわからない。だが、何か知っていると思う。だが、動き出さない。だから、動き出せるように、キーラと婚約をした。出産証明書を隠した奴がルミエルとは限らないから、何とも言えないが……」
何だろうか。リクハルド様の言い方にだんだんと腹が立ってきた。
まるで、私を利用したみたいな言い方なのだ。
「リクハルド様。私と婚約したのは……囮ですか?」
「俺が婚約すれば、周りが必ず動くと思ったが……」
出産証明書を隠している犯人候補たちは、ルイーズ様やルミエル様たちだと思っていたリクハルド様。彼女たちを焦らせるために、婚約を結んだ。それだけのために
。
そう思えば、ワナワナと震える手に力を入れて、リクハルド様を睨んだ。
「リクハルド様。出てけーー!!」
そう叫んで、力任せにリクハルド様を追い出した。
「おい、なぜ追い出す? 俺の部屋だぞ」
部屋から追い出されたリクハルド様が扉越しに言う。私は、扉に背中でもたれたままで聞いていた。
「リクハルド様には、ルミエル様の部屋があるから、大丈夫です!」
「だから、もう同衾する気はないと……」
呆れたような声でリクハルド様が言う。
「リクハルド様」
「なんだ? 開ける気になったか?」
「私の顔が好きだったんじゃないんですか!?」
「そう言ったが? 勘違いしないように言っておくが、婚約を結んでも、キーラと別れる気はなかった」
「だからなんなんですか」
私の剣幕に困ったようなリクハルド様が言う。
「誰でもいいなら、とっくに婚約している」
扉越しに、リクハルド様が話している。確かにそうだと思う。でも、魔法の契約書のことがあるから、婚約出来なかったのでは、と思う気持ちもある。
そして、リクハルド様の足音が遠ざかって行くのが聞こえた。
ちょっとだけ淋しい。
自分が短気だという自覚はある。
……確かに、私と出会う前の相手のことを責めるのは、私が間違っている気がする。
リクハルド様もシリル様を心配していたのに、部屋から追い出してしまった。少しだけ後悔して、リクハルド様を追いかけた。
歩くのが早いせいで、扉を開けてもリクハルド様が見当たらずに、足音が遠ざかって行った方角へと行けば、リクハルド様がルミエル様と一緒にいた。
何か話している。そっと聞き耳を立てれば、リクハルド様がシャツを緩めた。ルミエル様がリクハルド様に抱きついていた。
リクハルド様がルミエル様に手を回して抱き寄せる。ルミエル様が、シャツを緩めたリクハルド様に触れれば、彼がびくりとした。
それを、呆然として見ていた。
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