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第一章 フェンリル
慈しむ
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フェリクス様が来ると、ヴァルト様が使用人たちを下がらせた。
香りのいいお茶に、ケーキにスコーン、アイスクリームもありお茶会はいつも通り豪華だった。
お互いに隣同士に座り、温かいお茶を飲むとホッと身体が温まる。
その中でフェリクス様が氷のバラに気づいた。
「氷のバラ?」
「フェン様に魔法を教えてもらって作ってみました」
「リーネが? うまいものだな。青バラは見たことがないから、なかなかいい」
フッと笑みをこぼして、氷のバラに触れられると少しだけ心臓が跳ねた。嬉しいのかもしれない。
「どうした? 魔法が上手くいって嬉しくなっているのか?」
「嬉しい……やっぱりこれが……」
改めてこの感情が嬉しいものだと納得する。
「あの……フェリクス様に差し上げます」
「俺に?」
「はい。フェン様の分はまた今度作りますので……フェリクス様に一番に差し上げたくて……」
「それは……嬉しいな……」
口元に手を当てて顔を横にむけてしまいながらもフェリクス様の心は私の今の気持ちと重なるようだった。心の声が聞こえないのが惜しいと思えるほど。
(今ならいけるかもしれない……)
「あの、フェリクス様っ」
「なんだ?」
「ど、どうか、私と友達になってくださいっ」
(……諦めてなかったか……)
「諦めてません……!」
「そこは聞かないフリをしてくれ」
呆れ顔で天を仰ぐようにするフェリクス様。ヴァルト様は笑いを堪え、持っているティーポットがカタカタと小刻みに震えている。
「ヴァルト。下がってくれ」
「そうします。お茶はここに置いておきますので……」
ヴァルト様が温室を出ていくと、フェリクス様がごろんと私の膝に転がる。
「フェリクス様……」
「……友達には、なりたくない」
(やっぱり嫌われている……)
そう言われると悲しくなる。でも、私にはフェリクス様に心の声は隠せなかった。
「友達になりたくない理由はそれではない」
「本当ですか?」
「リーネのことは好いている。……多分もっと好きになると思う。だが、それは友達としてではない」
(好いてくれてるなら、友人になって欲しい……どうして友人になってくれないのかしら? 一緒にいてくれると言ってくれたのに……)
「友人は、諦めろ」
(また聞こえている……)
フェリクス様ばかり私の心の声が聞こえる。困ったなぁと思うと、フェレスベルグの子供やフェンリルを撫でるように、気がつけば膝に寝転がったフェリクス様のさらりとした銀髪を撫でていた。
(リーネ)
呼ばれたのかと思いその心の声に反応すると、フェリクス様の手が私の後頚部を彼に引き寄せた。
……頬に柔らかいモノが触れる。フェリクス様の唇が私を慈しむように触れたのだ。
「……フェリクス様。あの……」
「リーネ。俺を意識しろ。そうすれば、友人になりたくない理由がわかる。それとも、ここにキスをするか?」
そう言って、フェリクス様の指が私の唇をなぞった。それにどきりとする。
「……しても、フェリクス様の言っている意味がわからなければ?」
「はっきりと好いているとも言ったのにか? それに、わからなければそんなに赤くはならないだろう」
赤くなった頬を抑えて、恥ずかしいと思える。この場で、心がぐちゃぐちゃに乱れているのだ。それに、気づいているフェリクス様が、私を気遣い瞼を閉じて膝の上で転がる。
「……頭を撫でてもいいですか?」
「かまわん。リーネだけだぞ」
不思議とその様子が愛おしいと思えた。でも、何もわからない私が自覚したのは今ではなかった。
香りのいいお茶に、ケーキにスコーン、アイスクリームもありお茶会はいつも通り豪華だった。
お互いに隣同士に座り、温かいお茶を飲むとホッと身体が温まる。
その中でフェリクス様が氷のバラに気づいた。
「氷のバラ?」
「フェン様に魔法を教えてもらって作ってみました」
「リーネが? うまいものだな。青バラは見たことがないから、なかなかいい」
フッと笑みをこぼして、氷のバラに触れられると少しだけ心臓が跳ねた。嬉しいのかもしれない。
「どうした? 魔法が上手くいって嬉しくなっているのか?」
「嬉しい……やっぱりこれが……」
改めてこの感情が嬉しいものだと納得する。
「あの……フェリクス様に差し上げます」
「俺に?」
「はい。フェン様の分はまた今度作りますので……フェリクス様に一番に差し上げたくて……」
「それは……嬉しいな……」
口元に手を当てて顔を横にむけてしまいながらもフェリクス様の心は私の今の気持ちと重なるようだった。心の声が聞こえないのが惜しいと思えるほど。
(今ならいけるかもしれない……)
「あの、フェリクス様っ」
「なんだ?」
「ど、どうか、私と友達になってくださいっ」
(……諦めてなかったか……)
「諦めてません……!」
「そこは聞かないフリをしてくれ」
呆れ顔で天を仰ぐようにするフェリクス様。ヴァルト様は笑いを堪え、持っているティーポットがカタカタと小刻みに震えている。
「ヴァルト。下がってくれ」
「そうします。お茶はここに置いておきますので……」
ヴァルト様が温室を出ていくと、フェリクス様がごろんと私の膝に転がる。
「フェリクス様……」
「……友達には、なりたくない」
(やっぱり嫌われている……)
そう言われると悲しくなる。でも、私にはフェリクス様に心の声は隠せなかった。
「友達になりたくない理由はそれではない」
「本当ですか?」
「リーネのことは好いている。……多分もっと好きになると思う。だが、それは友達としてではない」
(好いてくれてるなら、友人になって欲しい……どうして友人になってくれないのかしら? 一緒にいてくれると言ってくれたのに……)
「友人は、諦めろ」
(また聞こえている……)
フェリクス様ばかり私の心の声が聞こえる。困ったなぁと思うと、フェレスベルグの子供やフェンリルを撫でるように、気がつけば膝に寝転がったフェリクス様のさらりとした銀髪を撫でていた。
(リーネ)
呼ばれたのかと思いその心の声に反応すると、フェリクス様の手が私の後頚部を彼に引き寄せた。
……頬に柔らかいモノが触れる。フェリクス様の唇が私を慈しむように触れたのだ。
「……フェリクス様。あの……」
「リーネ。俺を意識しろ。そうすれば、友人になりたくない理由がわかる。それとも、ここにキスをするか?」
そう言って、フェリクス様の指が私の唇をなぞった。それにどきりとする。
「……しても、フェリクス様の言っている意味がわからなければ?」
「はっきりと好いているとも言ったのにか? それに、わからなければそんなに赤くはならないだろう」
赤くなった頬を抑えて、恥ずかしいと思える。この場で、心がぐちゃぐちゃに乱れているのだ。それに、気づいているフェリクス様が、私を気遣い瞼を閉じて膝の上で転がる。
「……頭を撫でてもいいですか?」
「かまわん。リーネだけだぞ」
不思議とその様子が愛おしいと思えた。でも、何もわからない私が自覚したのは今ではなかった。
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