31 / 36
第二章 ユニコーン
奉殿の幻獣 4
しおりを挟む
「リーネ!!」
「フェリクス様……」
フェリクス様が奉殿へと駆け寄りながらやって来ていた。それをユニコーンが私の前に立ち塞いだ。
『近寄るな……お前だな、フィリ―ネから男の匂いがした。フィリ―ネは、私のものだ』
ユニコーンがフェリクス様にそう言っている間に、王妃様が子供へと駆け寄った。
「あぁ、私の子供が……」
「ユニコーン様が眠らせただけで、無事です」
「眠らせた?」
「多分、私の兄上の様子を見せたくなかったのだと……怖くて泣いていましたから……すみません……」
子供を兄上から、奪い取るように抱きしめる王妃様にそう伝えると、兄上が私の発言に立ち上がりながら怒鳴る。
「知った風な口を聞くな!」
「もうおやめください! フィリ―ネ様のおかげで私たちは救われるのですよ!?」
「うるさい! 幻獣が目覚めたのも、フィリ―ネのせいではない! きっとこの子が起こしたんだ!」
「違いますわ! この子にはそんな力などありません! 今も眠っているのが分からないのですか!?」
王妃様と兄上が言い合い、フェリクス様とユニコーンはにらみ合っていた。そして、ユニコーンが静かな怒りを込めて呟く。
『……醜い』
「ユニコーン様?」
「キャアァッーー!!」
その瞬間に奉殿の中に雷が走った。兄上は叫ぶ王妃様と子を庇い寄り添った。
「ユニコーン様! おやめください!」
両手を広げて止めるが、ユニコーンは兄上に怒っている。今にも止めを刺しそうだ。
「ヴァルト! エルドレッド陛下一家を外に出せ!」
「ハッ!! ディティーリア陛下たちをお連れしろ!!」
ヴァルト様やアリエッタ、フェンヴィルム国の騎士たちが奉殿を囲み一部の騎士たちは、奉殿の中で戦闘態勢だ。
兄上たちが、ユニコーンに恐れ逃げようと足を動かすと、ユニコーンは見過ごすことなく兄上に向かって雷を落とした。
「ひぃっ……!」
「やめてください! 子供がいるんですよ!?」
『子供には当てん』
静かな怒りを見せるユニコーンの周りにまた雷が走ろうとピリッとした。その瞬間に、私やその後ろの兄上たちを庇うように、氷の壁が地面からそそり立った。
「それ以上近づくな。攻撃を止めろ。リーネもいるんだぞ」
『……私の声が聞こえているな。それに、フィリ―ネに男の匂いがした……やはり、お前か?』
「ずいぶんと鼻がいいな。目覚めたのはエルドレッド陛下に怒っているからか? それとも、リーネが結婚のためにディティーリア国を出たからか?」
『……フィリ―ネに、誰かが触れて何かが変わった。私の乙女ではなくなる。その男は何度も私のもとへやって来て起こそうとした。許せるものではない』
「それで起きたのか……」
呆れたようにフェリクス様が呟く。私がフェリクス様に触れられて、幻獣が反応した。そして、それを兄上が来た時に起こった出来事で、兄上はユニコーンが自分に反応したと勘違いをした。それで、私がディティーリア国にいる間に兄上が幻獣を起こそうと何度も通っていたらしい。それが、ユニコーンの逆鱗に触れたのだ。
ユニコーンは、数秒間を置くと不機嫌なままで話している。頭に響くような声はフェンリルと同じだ。
「でも、それは、私がフェリクス様といたからですか?」
「……聞いた話では、ユニコーンは無垢な乙女が好きらしいぞ。そもそも、ユニコーンは人見知りが激しすぎて人前に姿も表さないし、近づけば逃げると言われている。この幻獣は、無垢な乙女でしか捕まえられないとは言われていたが……ここで眠りについていたのは、御簾の中で人に会わずにいられたからかもしれない」
私とフェリクス様が言葉を交わすと、嫉妬するように彼に向ってユニコーンが奉殿中に雷を落とした。それを、フェリクス様は難なく交わした。
でも、奉殿の中に雷が立ち込めて兄上たちは、逃げられない。
「リーネ! 後ろの壁を壊せ!」
「壁……? 私には……」
奉殿の建物は立派でこんなに雷が落ちているのに壊れないものを私が壊せるなど……そう思うと、フェリクス様の声が頭に響く。
(奉殿の中が壊れないのは、ユニコーンが手加減しているからだ。あれは、リーネと子供を殺すつもりはない。だが、それ以外には容赦はしない)
(そんな……)
ユニコーンは、氷の壁を壊す勢いで雷をさらに落とした。それを、フェリクス様が氷で防ぐ。
「キャアッー!!」
「止めてくれ!!」
『黙れ。愚か者』
雷が奉殿中に落ちているから、ヴァルト様たちも兄上を連れ出せない。
そして、杖を握り締めて壁に向かって大きな氷の塊を打ち出した。
「フェリクス様……」
フェリクス様が奉殿へと駆け寄りながらやって来ていた。それをユニコーンが私の前に立ち塞いだ。
『近寄るな……お前だな、フィリ―ネから男の匂いがした。フィリ―ネは、私のものだ』
ユニコーンがフェリクス様にそう言っている間に、王妃様が子供へと駆け寄った。
「あぁ、私の子供が……」
「ユニコーン様が眠らせただけで、無事です」
「眠らせた?」
「多分、私の兄上の様子を見せたくなかったのだと……怖くて泣いていましたから……すみません……」
子供を兄上から、奪い取るように抱きしめる王妃様にそう伝えると、兄上が私の発言に立ち上がりながら怒鳴る。
「知った風な口を聞くな!」
「もうおやめください! フィリ―ネ様のおかげで私たちは救われるのですよ!?」
「うるさい! 幻獣が目覚めたのも、フィリ―ネのせいではない! きっとこの子が起こしたんだ!」
「違いますわ! この子にはそんな力などありません! 今も眠っているのが分からないのですか!?」
王妃様と兄上が言い合い、フェリクス様とユニコーンはにらみ合っていた。そして、ユニコーンが静かな怒りを込めて呟く。
『……醜い』
「ユニコーン様?」
「キャアァッーー!!」
その瞬間に奉殿の中に雷が走った。兄上は叫ぶ王妃様と子を庇い寄り添った。
「ユニコーン様! おやめください!」
両手を広げて止めるが、ユニコーンは兄上に怒っている。今にも止めを刺しそうだ。
「ヴァルト! エルドレッド陛下一家を外に出せ!」
「ハッ!! ディティーリア陛下たちをお連れしろ!!」
ヴァルト様やアリエッタ、フェンヴィルム国の騎士たちが奉殿を囲み一部の騎士たちは、奉殿の中で戦闘態勢だ。
兄上たちが、ユニコーンに恐れ逃げようと足を動かすと、ユニコーンは見過ごすことなく兄上に向かって雷を落とした。
「ひぃっ……!」
「やめてください! 子供がいるんですよ!?」
『子供には当てん』
静かな怒りを見せるユニコーンの周りにまた雷が走ろうとピリッとした。その瞬間に、私やその後ろの兄上たちを庇うように、氷の壁が地面からそそり立った。
「それ以上近づくな。攻撃を止めろ。リーネもいるんだぞ」
『……私の声が聞こえているな。それに、フィリ―ネに男の匂いがした……やはり、お前か?』
「ずいぶんと鼻がいいな。目覚めたのはエルドレッド陛下に怒っているからか? それとも、リーネが結婚のためにディティーリア国を出たからか?」
『……フィリ―ネに、誰かが触れて何かが変わった。私の乙女ではなくなる。その男は何度も私のもとへやって来て起こそうとした。許せるものではない』
「それで起きたのか……」
呆れたようにフェリクス様が呟く。私がフェリクス様に触れられて、幻獣が反応した。そして、それを兄上が来た時に起こった出来事で、兄上はユニコーンが自分に反応したと勘違いをした。それで、私がディティーリア国にいる間に兄上が幻獣を起こそうと何度も通っていたらしい。それが、ユニコーンの逆鱗に触れたのだ。
ユニコーンは、数秒間を置くと不機嫌なままで話している。頭に響くような声はフェンリルと同じだ。
「でも、それは、私がフェリクス様といたからですか?」
「……聞いた話では、ユニコーンは無垢な乙女が好きらしいぞ。そもそも、ユニコーンは人見知りが激しすぎて人前に姿も表さないし、近づけば逃げると言われている。この幻獣は、無垢な乙女でしか捕まえられないとは言われていたが……ここで眠りについていたのは、御簾の中で人に会わずにいられたからかもしれない」
私とフェリクス様が言葉を交わすと、嫉妬するように彼に向ってユニコーンが奉殿中に雷を落とした。それを、フェリクス様は難なく交わした。
でも、奉殿の中に雷が立ち込めて兄上たちは、逃げられない。
「リーネ! 後ろの壁を壊せ!」
「壁……? 私には……」
奉殿の建物は立派でこんなに雷が落ちているのに壊れないものを私が壊せるなど……そう思うと、フェリクス様の声が頭に響く。
(奉殿の中が壊れないのは、ユニコーンが手加減しているからだ。あれは、リーネと子供を殺すつもりはない。だが、それ以外には容赦はしない)
(そんな……)
ユニコーンは、氷の壁を壊す勢いで雷をさらに落とした。それを、フェリクス様が氷で防ぐ。
「キャアッー!!」
「止めてくれ!!」
『黙れ。愚か者』
雷が奉殿中に落ちているから、ヴァルト様たちも兄上を連れ出せない。
そして、杖を握り締めて壁に向かって大きな氷の塊を打ち出した。
26
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜
伽羅
恋愛
愛莉鈴(アリス)は幼馴染の健斗に片想いをしている。
ある朝、通学中の事故で道が塞がれた。
健斗はサボる口実が出来たと言って愛莉鈴を先に行かせる。
事故車で塞がれた道を電柱と塀の隙間から抜けようとすると妙な違和感が…。
気付いたら、まったく別の世界に佇んでいた。
そんな愛莉鈴を救ってくれた騎士団長を徐々に好きになっていくが、彼には想い人がいた。
やがて愛莉鈴には重大な秘密が判明して…。
過労薬師です。冷酷無慈悲と噂の騎士様に心配されるようになりました。
黒猫とと
恋愛
王都西区で薬師として働くソフィアは毎日大忙し。かかりつけ薬師として常備薬の準備や急患の対応をたった1人でこなしている。
明るく振舞っているが、完全なるブラック企業と化している。
そんな過労薬師の元には冷徹無慈悲と噂の騎士様が差し入れを持って訪ねてくる。
………何でこんな事になったっけ?
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
山賊な騎士団長は子にゃんこを溺愛する
紅子
恋愛
この世界には魔女がいる。魔女は、この世界の監視者だ。私も魔女のひとり。まだ“見習い”がつくけど。私は見習いから正式な魔女になるための修行を厭い、師匠に子にゃんこに変えれた。放り出された森で出会ったのは山賊の騎士団長。ついていった先には兄弟子がいい笑顔で待っていた。子にゃんこな私と山賊団長の織り成すほっこりできる日常・・・・とは無縁な。どう頑張ってもコメディだ。面倒事しかないじゃない!だから、人は嫌いよ~!!!
完結済み。
毎週金曜日更新予定 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
【完結】異世界転移した私、なぜか全員に溺愛されています!?
きゅちゃん
恋愛
残業続きのOL・佐藤美月(22歳)が突然異世界アルカディア王国に転移。彼女が持つ稀少な「癒しの魔力」により「聖女」として迎えられる。優しく知的な宮廷魔術師アルト、粗野だが誠実な護衛騎士カイル、クールな王子レオン、最初は敵視する女騎士エリアらが、美月の純粋さと癒しの力に次々と心を奪われていく。王国の危機を救いながら、美月は想像を絶する溺愛を受けることに。果たして美月は元の世界に帰るのか、それとも新たな愛を見つけるのか――。
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる