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アッシュの狂気と死竜のシード

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クライスは欠片を拾い、この気配の元へ行けば、リアの元へ行けると考えた。
リヒトはクライスの考えを察したのか話しかけて来た。
「行くのか?」
「当たり前だ。」
そこに、陛下がやって来た。

「クライス!リヒト!」
陛下は止めたいが、言葉にできず、二人に近付いた。
「父上、クライスを止めないで下さい!」
「お前まで、言うのか?」
リヒトは、少し笑顔になり、陛下に言った。
「クライスに一生恨まれたくないでしょう。それに、クライスのおねだりです。聞いてやりたくなるでしょう。」
「…、リヒト、お前は昔からずるいな。」
「そういう性です。」
「マルクよ。お前が光のドラゴニアンシードを受けたのも何かの導きかもしれん。息子達を助けてくれ。」
「必ず、お力になります。」
マルクは陛下に言った。
「…リアと皆必ず、帰って来るのじゃぞ」
陛下はクライスとリヒトをそっと抱き寄せた。


城に置いた死竜のシードの異変に気付き、アッシュが、リアの元へやって来た。
アッシュはクライスに少なからず恐怖していたのだ。
「城の死竜の気配が消えた!もっと力がいる!」

「…、止めよ、アッシュ、器以上の力は受け止められん。」
死竜が止めるも、アッシュは聞く耳がなく、取り乱していた。
「違う!俺にはもっと力がある!?」

アッシュはリアに襲いかかった。

「キャア!離して!嫌!」

「あの、風のやつには返さない!」

アッシュの狂気にリアは、魔力が暴発した。
部屋のあちこちで爆発すると、それと同時に、死竜の結界が壊れた。

「ハァハァ、死竜に力はあげても、あなたにはあげない!」

吹き飛ばしたアッシュを、リアは地べたに這いながら睨み付けた。

アッシュの後ろには気絶したままのローラが転がっているのが見え、リアは破滅のシードに語りかけた。

「破滅のシード、お願い。ローラ様を城へ転送して。ここは危険だわ!力を貸して!」

リアは、自分のシードを使い、ローラに転送魔法を使った。


アッシュがリアを掴み、連れて行こうとすると、アッシュの周りに転送魔法でクライス達が現れた。
その後ろには、何人かの、騎士団も転送され現れた。

クライスは、リアのボロボロのドレス姿を見て、怒りで一杯だった。

「リアから離れろ!」

「クライス…」
(クライスが来てくれた…)

リアは、力なき手を上げ、魔法を使った。

「必ず、死竜のあなたも助けるからね」

リアやクライス達の回りが、ボンと爆発すると、一気にリアは結界を張った。

竜の空間の中で、クライス達のドラゴニアンシードが竜の形に具現化され、光竜が話しかけて来た。

「私の光なら、死竜を封印できる。賢帝よ、死竜を抑えなさい。」

光竜がリヒトに話しかけ、リヒトはドラゴニアンシードを使った。
リヒトの飛竜がアッシュに向かい飛んでいく。

「近づくな!」
アッシュはリアの魔力を吸いながらクライス達を制し、黒い刃がクライス達を貫いた。

「この女は俺の物だ!誰にも渡さない!」

「私はあなたの物じゃない!」

リアはアッシュに力を奪われあまり残ってない魔力は全て使い、破滅のシードでアッシュと死竜の繋がりを破滅させようとした。


(お願い!破滅のシード!アッシュと死竜を立ち切って!)


その時、アッシュから黒いシードが弾き出された。
だが、アッシュと黒いシードには黒いモヤで繋がれていた。

「リアから、手を離せ!」

クライスの風が、繋がれた黒いモヤを立ち切ると、アッシュは、力なく崩れ落ちた。
「俺の…物だ…、俺の…女に…」

アッシュから離れた死竜のシードは、光が包み、黒いモヤも見えなくなり、ゴトンとその場に落ちた。

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