伯爵令嬢は狙われている

屋月 トム伽

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リヒトと賢帝からの花束

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翌朝、リアは背中の痛みであまり眠れず早くに目が覚めた。

鏡を見ると背中に根をはった痕が残っていた。

(こんな傷だらけじゃクライスに嫌われるかしら。)

クライスに嫌われるという不安から朝から落ち込んでいた。

ソファーを見ると、アリーゼの香水の残り香はもうないが、自分に化けてまでクライスに会いに来たのかと思うと複雑だった。

(クライスは帰ったらいつもすぐに私を抱きしめてキスするけど、まさかアリーゼにもしたんじゃ…。もししたなら私と思ってしたんだよね。でも、それならそれでやっぱりアリーゼとしたことになるし…。もしそれ以上のことをしてたら…)

リアはソファーの横に座り、うーん、とソファーをにらんでいた。

「リア、何やっているんだ?ソファーがどうした?」

リアはクライスをじっとみて、思いきって聞いてみた。

「どうして、アリーゼ様が化けているとわかったんですか?」

「何だ?急に。」
「教えて下さい。」

クライスは何なんだ、とキョトンとなった。

「香水をつけていたからリアじゃないと思ったのと、ケインに対する態度が違ったからかな。とにかくリアじゃない雰囲気だった。化けの皮をはがしたらアリーゼだっただけだが、何か問題があるか?」
「…アリーゼにも私にするようなことしたのかと。」
「するわけないだろ。」

(ローラ様も香水つけていたし、何だか香水とは相性が悪い気がするわ)

「焼きもち妬いたか?」
「知りません!」

リアは立ち上がりそっぽ向いていた。

その時、コンコンと誰かがきた。

開けると、リヒトが両手一杯の花束とワゴンにも一杯の花束を持ってやってきた。

「クライス、リアおはよう。」

リヒトは笑顔でリアに花束を渡した。
クライスは上半身裸のままベッドから急いで降りて来て、リアを自分に寄せた。

「朝から何だ?」
「昨日の礼だ。」
「花はリアにだろ。」
「リアには花が似合うからな。」
「花は要らん。」
「こっちは賢帝からの花だ。感謝していた。」

リヒトはワゴンをガラッと引っ張りリアの前に出した。
凄く大きな花束だった。

「リヒト様、賢帝様ありがとうございます。」

リアは笑顔でお礼を言うと、クライスはムッとした。

「俺にはないのか?」
「お前はまず服を着ろ。」
「ここは俺とリアの部屋だ。」

クライスは裸でも関係ないと言いたいのかきっぱり言った。

「夜は父上と四人で食事しよう。クライスのご褒美はその時にやる。」

リヒトは招待状をおいて笑顔で帰っていった。

「クライス、お花どこに飾りましょうか?」
「廊下だ!」

クライスちょっとカリカリしすぎなんじゃ、とリアは思った。

そして、クライスの部屋の前の廊下にはまた大きな花瓶に花が生けられた。
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