こんなはずではなかった

香桐れん

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4 もう無理

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 どうにか正気を取り戻しながら空になった弁当や惣菜の容器を片づけていると、新藤が部屋に戻ってきた。新藤はふたりの様子に気づいたのか気づかなかったのか、いつもどおり飄々とした様子だった。入れ替わるように昴はごみをキッチンのごみ箱に運び、干からびかけた食器を洗った。
 昴が片付けを済ませてキッチンから戻ると、天音の部屋はもぬけの殻だった。
 新藤は既に出かけたらしく上着が見当たらない。酒の残りと空き瓶も持ち出してくれたようで、宴会の痕跡は食べ残しの菓子以外残っていなかった。
 天音のコートはいつもの場所にきちんと掛けられている。
 ――シャワー浴びてくるから。
 どこか恥じらうような眼差しで言う天音の表情を瞬時に思い起こし、抑え込んでいた欲望が再び頭をもたげた。
 ひとりでこたつに入り、見るともなしにテレビに目を向けたが、いくらももたなかった。
 部屋を出てまっすぐに浴場へ向かった。非常時かよ、ともうひとりの自分が嘲笑うほどのスピードで廊下を進み脱衣所に入ると、奥からシャワーの水音が響いて聞こえた。
 服を脱ぎ捨て天音の使うシャワーブースに身体を滑り込ませた。
 ぎょっとして振り返った天音の肌が紅潮している。昴は構わずその身体を壁に押しつけ、無言のまま唇に吸いついた。
 熱い湯を背中に浴びながら、くちゅ、くちゅっ、と音を立てて甘い舌を絡め取り、飢えた猛獣のように天音の咥内を貪った。天音は「ん……っ」と何度も苦しげな声を漏らしながら、それでもその下半身は明らかに欲情していた。もちろん昴の方はとっくに猛り狂っている。
 屹立した互いのものを乱暴に擦り合わせながら、天音の腰から下へ指を滑らせると、つぼんだ部分に到達する前に天音が身を捩らせ、早口で制した。
「ま、待って」
「もう無理。待てない」
「待てって」
 強引に唇を塞ごうとすると、天音はそれを一度避けてから、そっと抱きついた。
「部屋戻ってから、しよ……」
 ああもう! いったいどれだけ「おあずけ」をくらわせる気なんだよ!
 昴は叫びだしそうになるのをどうにかこらえ、代わりに薄く開かれたその唇に再びしゃぶりついた。
 
 
 
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