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六章
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龍を封じて数百年。霧深き山は一年に一度、夏にだけ開かれる。そこにはその地に根を張る一族が居を構え、龍を封じたその土地を守り続けていると言う。
外から里を訪れる商人達は、皆が皆その言い伝えをおとぎ話のように語る。しかしそれはその土地の者にとっては紛れもなく事実であった。伝統を守り、語り、伝えてきた彼らにとって、一本の軸となって心に芯を通している。
大人の腕ほど長さがある装飾剣。柄の先には飾り紐が通され、揺れる度に鈴の音が凜と響く。何年も聞いてきた音だ。
里の伝統を受け継ぎ続けた剣が、今ニナギの腰にある。その重みは重ねた年月の重み。そして里の人々が抱く思いの重み。
儀式が始まる前に、巫女と族長は里の人々を一同に集めて話を始めた。一体何の話が始まるのかと、ざわざわ落ち着かない里人。ユハが口を開く前に、地が震えた。山がミシミシと悲鳴を上げているように、ニナギには聞こえた。
「龍の怒りだ!」
誰かが叫ぶ。不安は伝播し、うねりのように広がった。だがユハはそれを一瞥し、否定した。
「これは怒りにあらず! 地の震えは土地の苦悶。助けを呼ぶ声。我々はそれに答えなければならぬ」
落ち着きのなかった人々が、意味を理解しようと口をつぐんだ。
「長きに渡り、この土地は他とは切り離されていた。それは龍の力を削ぐためであったが、同時に土地の生気を絞り尽くしてしまった。故に決定を下す」
再び声が細波のように広がる。
「霧の結界を解き、里を開く!」
それを聞き一時は騒然となったが、巫女からこれまでの経緯と説明を聞き大方は収まった。説明にナユタの名前が挙がったとき、一部の男達が騒ぐこともあったが、それでも結局は聞き入れたみたいで、ひとまずはその反応に安心した。
「族長と巫女様、うまく押さえたみたいだな」
それを聞いていたシュウは、隣にいたニナギにそう耳打ちする。同意して頷いた。珍しく静かなニナギに配慮してか、従兄もそれ以上話さなかった。
少し離れたところにいるナユタと目が合ったけれど、そちらも寄ってくることはなかった。時間は刻一刻と近づく。日は西に傾き始め、夕方に差し掛かるのはもうすぐ。
風が吹く。秋の匂いをはらんだその風は少し肌寒い。
山は静かだ。実りの時期が近付いているとは思えないほど生命の息吹が感じられない。多分それが、土地が死ぬと言うことなんだと、今なら、自覚しているから分かる。
騒がしい山が恋しかった。
段々と色づいていく木々と、熟れていく果実。霧に閉ざされた後も大きな恵みを与えてくれる山は、里にとってなくてはならない。このまま見過ごすことは、故郷を手放すことと同じだ。
考えに没入していると、遠く方で、どんと太鼓の音がした。意識が現実に戻っていく。夢想していた山は美しかった。
気づけば音は案外近くで鳴っている。没頭してここから遠ざかっていたのはニナギの方だったようだ。
「儀式が始まるな」
いつの間にか隣にきていたナユタが、誰に語りかけるでもなく、そう言った。
「うん」
ニナギは返事をした。
「ナユタはどうするの?」
まさか見ているだけなんてことはないだろうとそう言の葉に乗せる。ナユタはそれを正確にくみ取ったようだ。
「僕とつながりのあるニナギが舞えば、ただの人が舞うより結界に対する影響が大きい。強固にむずばれている結界が大きくほどけるんだ。それを狙って力を加える」
「そうすると結界は解ける?」
「そう。後は自然に土地に力が戻る」
言ってしまえば簡単だ。
「あっけないね」
率直な感想が漏れた。ナユタが肩をすくめるのを横目に、ニナギは右手に握っていた面を被った。
縦笛の音が流れ始めたのと同時に、辺りが水を打ったように静かになったのが分かったからだ。出番は近い。そこここに用意されたかがり火が燃える。炎に照らされた広場は、いつもと違って厳かな雰囲気に囲まれている。太陽が赤く染まる。
夕暮れ時だ。
沈む前の太陽が燃えている。
静寂に太鼓の音が落ちた。地に落ちて弾むようにまた一つ。流麗な縦笛が続いて、長く長く尾を引いた。
始まった。
自然とつられるように歩みを進めた。最初はすり足でゆっくりと進む。剣に結わえられた鈴が揺れて音を立てる。
舞の舞台は四角い空間だ。四方には火が焚かれ、周りを人が囲む。中心まで来ると、ニナギは剣を引き抜いた。鞘はつけたままだ。目線まで掲げて、地面と水平に構えた。太鼓が鳴る。剣を振るった。
足を滑らせ、更に横に薙ぐ。一つ一つの動作を丁寧に、かつ力を失わず。練習の時と同じように、呼吸に寄って体は自然と統制がとれていく。すると次第に周囲の視線が消え、水の中に沈むような感覚と共に、集中がやってきた。
集中は余計な感覚をそぎ落として、必要なものを自然と拾う。地に着いた足から、伝わってくる。空気に触れる肌から感じる。山を取り囲む大きな結界。その向こう側に横たわる。光の川。
その川がおそらく気脈。反対に傍には濃い水の気配。これは予想しなくても分かる。ナユタだ。
これだけわかりやすいのに、なぜ今まで気がつかなかったのかと思うほど、その存在感ははっきりとしている。ただ、力自体は弱い。これが数百年封印に閉じ込められていた代償なのだろう。かつて暴れ龍と恐れられた龍は確実に弱っていた。
思考の中にいながら、体は覚えている型をなぞっている。幕の掛かったような意識の中に、時折鈴の音が響く。
音は波紋のように広がって、ニナギに必要なことを教えてくれた。里の一点に違和感を感じる。結界の力が、集まっていた。安定していた力が、ニナギが舞うことによって、少しずつその力を弱めていくのがなんとなく分かる。絡まった糸がほどかれていくような感覚だ。僅かなほころびが、安定していた結界を突き崩していく。
安定を欠いた結界は、やがて内から壊れ始めた。
自分のどこにこんな力があったのだろうか。ニナギはただ、限られた里の中で、与えられた生の中で生きていただけなのに。ニナギ自身も知らなかった力が、里の結界を壊していく。
スオウが言っていた呪術師としての力と同じものと考えても良いのだろうか。それとも単純に霧開きの儀式を二回行ったから、結界まで壊れてしまうのか。知識のないニナギにはこれ以上は推測の域を出ない。
古い体制は時代が変わればまた、人の生活も因習も変わる。置いて行かれないように、呑まれてしまわないように変わっていくのもまた、生きていくために必要なことなのかも知れない。
面を挟んでナユタと目が合った。彼がまっすぐこちらを見つめて頷いたのが見えた。龍はニナギを通して結界の存在を感じている。つながりを利用して、人であるニナギにその役目を託している。変わっていこうとする原因が、龍であるなど考えなかったけれど、それも必然だったのかも知れない。
ニナギは剣を握る手にいっそう力を込めた。
代々使われてきた剣も、儀式の雰囲気を関しているのか、びりびりと振動しているような気がしたからだ。気を抜けば取り落としてしまいそうだ。
足を運び、手を運び、剣を振るう。素早く、しかし流れを断ち切らないように。
与えられた十一の型を正確になぞっていく。
最後だ。
結界はあと一つでも衝撃を与えれば完全に消えてしまうぐらい弱くなった。
両手で握っていた剣を、下から上に振り上げる。かがり火に照らされて装飾がきらきらと輝いた。ニナギはその切っ先を目で追って自然、天を向く。舞い始めてからうっすらと知覚できていた結界の名残のようなものが、薄曇りにすっと溶けて消えていった。
あらゆる音と匂いが戻ってくる。
いつの間にか、ナユタが近くに来ていた。
本来はこの後、龍宝珠に向かって剣を当てると儀式が終了するのだが、その代わりをナユタ自身が、龍自身が務めるらしい。
ニナギはナユタの方に向き直り、剣の鞘を払った。磨かれた刀身が光を宿す。かがり火の光が集まって小さな太陽のよう。ナユタが、その細い指で触れると、僅かに光が大きくなった。
そして鼻をくすぐる水の匂い。濃厚な澄んだ神気と共に、生命の歓喜する気配が大きく広がった。
向かい合うナユタが符を取り出すと、柄にくるくると巻き付ける。伏せ目がちにこちらを向いた目が、あの日、初めて龍の力に触れたときのように、蒼色に光を溢していた。
「ニナギ、手を」
柄を二人で持つと、ナユタの心臓の音が肌を通して聞こえた。
外から里を訪れる商人達は、皆が皆その言い伝えをおとぎ話のように語る。しかしそれはその土地の者にとっては紛れもなく事実であった。伝統を守り、語り、伝えてきた彼らにとって、一本の軸となって心に芯を通している。
大人の腕ほど長さがある装飾剣。柄の先には飾り紐が通され、揺れる度に鈴の音が凜と響く。何年も聞いてきた音だ。
里の伝統を受け継ぎ続けた剣が、今ニナギの腰にある。その重みは重ねた年月の重み。そして里の人々が抱く思いの重み。
儀式が始まる前に、巫女と族長は里の人々を一同に集めて話を始めた。一体何の話が始まるのかと、ざわざわ落ち着かない里人。ユハが口を開く前に、地が震えた。山がミシミシと悲鳴を上げているように、ニナギには聞こえた。
「龍の怒りだ!」
誰かが叫ぶ。不安は伝播し、うねりのように広がった。だがユハはそれを一瞥し、否定した。
「これは怒りにあらず! 地の震えは土地の苦悶。助けを呼ぶ声。我々はそれに答えなければならぬ」
落ち着きのなかった人々が、意味を理解しようと口をつぐんだ。
「長きに渡り、この土地は他とは切り離されていた。それは龍の力を削ぐためであったが、同時に土地の生気を絞り尽くしてしまった。故に決定を下す」
再び声が細波のように広がる。
「霧の結界を解き、里を開く!」
それを聞き一時は騒然となったが、巫女からこれまでの経緯と説明を聞き大方は収まった。説明にナユタの名前が挙がったとき、一部の男達が騒ぐこともあったが、それでも結局は聞き入れたみたいで、ひとまずはその反応に安心した。
「族長と巫女様、うまく押さえたみたいだな」
それを聞いていたシュウは、隣にいたニナギにそう耳打ちする。同意して頷いた。珍しく静かなニナギに配慮してか、従兄もそれ以上話さなかった。
少し離れたところにいるナユタと目が合ったけれど、そちらも寄ってくることはなかった。時間は刻一刻と近づく。日は西に傾き始め、夕方に差し掛かるのはもうすぐ。
風が吹く。秋の匂いをはらんだその風は少し肌寒い。
山は静かだ。実りの時期が近付いているとは思えないほど生命の息吹が感じられない。多分それが、土地が死ぬと言うことなんだと、今なら、自覚しているから分かる。
騒がしい山が恋しかった。
段々と色づいていく木々と、熟れていく果実。霧に閉ざされた後も大きな恵みを与えてくれる山は、里にとってなくてはならない。このまま見過ごすことは、故郷を手放すことと同じだ。
考えに没入していると、遠く方で、どんと太鼓の音がした。意識が現実に戻っていく。夢想していた山は美しかった。
気づけば音は案外近くで鳴っている。没頭してここから遠ざかっていたのはニナギの方だったようだ。
「儀式が始まるな」
いつの間にか隣にきていたナユタが、誰に語りかけるでもなく、そう言った。
「うん」
ニナギは返事をした。
「ナユタはどうするの?」
まさか見ているだけなんてことはないだろうとそう言の葉に乗せる。ナユタはそれを正確にくみ取ったようだ。
「僕とつながりのあるニナギが舞えば、ただの人が舞うより結界に対する影響が大きい。強固にむずばれている結界が大きくほどけるんだ。それを狙って力を加える」
「そうすると結界は解ける?」
「そう。後は自然に土地に力が戻る」
言ってしまえば簡単だ。
「あっけないね」
率直な感想が漏れた。ナユタが肩をすくめるのを横目に、ニナギは右手に握っていた面を被った。
縦笛の音が流れ始めたのと同時に、辺りが水を打ったように静かになったのが分かったからだ。出番は近い。そこここに用意されたかがり火が燃える。炎に照らされた広場は、いつもと違って厳かな雰囲気に囲まれている。太陽が赤く染まる。
夕暮れ時だ。
沈む前の太陽が燃えている。
静寂に太鼓の音が落ちた。地に落ちて弾むようにまた一つ。流麗な縦笛が続いて、長く長く尾を引いた。
始まった。
自然とつられるように歩みを進めた。最初はすり足でゆっくりと進む。剣に結わえられた鈴が揺れて音を立てる。
舞の舞台は四角い空間だ。四方には火が焚かれ、周りを人が囲む。中心まで来ると、ニナギは剣を引き抜いた。鞘はつけたままだ。目線まで掲げて、地面と水平に構えた。太鼓が鳴る。剣を振るった。
足を滑らせ、更に横に薙ぐ。一つ一つの動作を丁寧に、かつ力を失わず。練習の時と同じように、呼吸に寄って体は自然と統制がとれていく。すると次第に周囲の視線が消え、水の中に沈むような感覚と共に、集中がやってきた。
集中は余計な感覚をそぎ落として、必要なものを自然と拾う。地に着いた足から、伝わってくる。空気に触れる肌から感じる。山を取り囲む大きな結界。その向こう側に横たわる。光の川。
その川がおそらく気脈。反対に傍には濃い水の気配。これは予想しなくても分かる。ナユタだ。
これだけわかりやすいのに、なぜ今まで気がつかなかったのかと思うほど、その存在感ははっきりとしている。ただ、力自体は弱い。これが数百年封印に閉じ込められていた代償なのだろう。かつて暴れ龍と恐れられた龍は確実に弱っていた。
思考の中にいながら、体は覚えている型をなぞっている。幕の掛かったような意識の中に、時折鈴の音が響く。
音は波紋のように広がって、ニナギに必要なことを教えてくれた。里の一点に違和感を感じる。結界の力が、集まっていた。安定していた力が、ニナギが舞うことによって、少しずつその力を弱めていくのがなんとなく分かる。絡まった糸がほどかれていくような感覚だ。僅かなほころびが、安定していた結界を突き崩していく。
安定を欠いた結界は、やがて内から壊れ始めた。
自分のどこにこんな力があったのだろうか。ニナギはただ、限られた里の中で、与えられた生の中で生きていただけなのに。ニナギ自身も知らなかった力が、里の結界を壊していく。
スオウが言っていた呪術師としての力と同じものと考えても良いのだろうか。それとも単純に霧開きの儀式を二回行ったから、結界まで壊れてしまうのか。知識のないニナギにはこれ以上は推測の域を出ない。
古い体制は時代が変わればまた、人の生活も因習も変わる。置いて行かれないように、呑まれてしまわないように変わっていくのもまた、生きていくために必要なことなのかも知れない。
面を挟んでナユタと目が合った。彼がまっすぐこちらを見つめて頷いたのが見えた。龍はニナギを通して結界の存在を感じている。つながりを利用して、人であるニナギにその役目を託している。変わっていこうとする原因が、龍であるなど考えなかったけれど、それも必然だったのかも知れない。
ニナギは剣を握る手にいっそう力を込めた。
代々使われてきた剣も、儀式の雰囲気を関しているのか、びりびりと振動しているような気がしたからだ。気を抜けば取り落としてしまいそうだ。
足を運び、手を運び、剣を振るう。素早く、しかし流れを断ち切らないように。
与えられた十一の型を正確になぞっていく。
最後だ。
結界はあと一つでも衝撃を与えれば完全に消えてしまうぐらい弱くなった。
両手で握っていた剣を、下から上に振り上げる。かがり火に照らされて装飾がきらきらと輝いた。ニナギはその切っ先を目で追って自然、天を向く。舞い始めてからうっすらと知覚できていた結界の名残のようなものが、薄曇りにすっと溶けて消えていった。
あらゆる音と匂いが戻ってくる。
いつの間にか、ナユタが近くに来ていた。
本来はこの後、龍宝珠に向かって剣を当てると儀式が終了するのだが、その代わりをナユタ自身が、龍自身が務めるらしい。
ニナギはナユタの方に向き直り、剣の鞘を払った。磨かれた刀身が光を宿す。かがり火の光が集まって小さな太陽のよう。ナユタが、その細い指で触れると、僅かに光が大きくなった。
そして鼻をくすぐる水の匂い。濃厚な澄んだ神気と共に、生命の歓喜する気配が大きく広がった。
向かい合うナユタが符を取り出すと、柄にくるくると巻き付ける。伏せ目がちにこちらを向いた目が、あの日、初めて龍の力に触れたときのように、蒼色に光を溢していた。
「ニナギ、手を」
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