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第一部 一章、旅の始まり
11、エドワーズの発明品
しおりを挟むある晴れた日の午後。
ローレンの家から少し離れた場所にある森の広場に、俺は今現在同居している、他の住人全員を呼び出していた。
「ホッホッホッ!今日は久方ぶりの発表会じゃのう」
「うん。私、今からエドワーズに何を見せて貰えるのか、昨日からとっても楽しみにしていたの」
子供のようにはしゃいでいる(片方は本当に子供だよ!)リーゼとローレンの二人を横目で見ながら、俺は自らの足元に並べられていた数々の道具に関する、お披露目前の最終チェックをおこなっていた。
俺が一から考案して完成させてみせた、いくつもの発明品。
「己が持つ、戦闘手段の幅を増やす」という目的のためだけに作られたそれらは、この世界の言葉で表すと『魔装具』や『魔導具』といった類いのものである。
年に数回。こうしてリーゼたちを集めて発表会を開くのが、俺たち三人の中で一種の催し事のようなものとなっていたのだ。
「それにしても、今日はいつもより随分と量が多いんじゃな?」
「最近のエドワーズは、ずっと自分の部屋にこもってばかりいたから。
……それも当然の事だと思う」
「よしっ!これで準備の方は大体終わったかな。
――リーゼ。ちょっとこっちにまで来て、手伝ってくれ」
薄い金属のプレートを片腕に取り付けた俺は、広場の中央付近の場所にまで、リーゼのことを手招きしながら呼び寄せる。
「エドワーズ、私は何をすればいい?」
「この辺りの位置から移動した俺に向かって、魔法を使ってみて欲しいんだ」
「魔法を?それって……何でもいいの?」
「ああ。広範囲の危ないものじゃなければ、別に何でも良いぞ。
魔導具のテスト自体は事前に済ませてあるから、遠慮なく好きな魔法を撃ってこい」
俺は、リーゼの立っている位置から十メートルほど歩いて距離を置くと、自らの手を左右に大きく振ってオーケーの合図を送る。
それに対して頷いたリーゼが、自らの指先を弾くような仕草をすると……糸を編むようにして高密度の魔力が収束していき、術式を通じて透明感のある巨大な氷塊が生成された。
更には、後から掛け合わされた複合魔法による影響で、その全体が平たくて分厚い盾のような形へと形状変化していく。
【氷の衝撃】――簡単に説明するなら、投擲用のシールドバッシュだ。
見た目の通りに、盾としての役割も期待できるだろう。
まさに攻防一体型の制圧魔法。しかし今回に限り、その威力の方はというと、
(えぇ……そいつはいくらなんでも、ちょっと過剰火力過ぎやしないかね?)
残念なことに、どうやらリーゼにとってその魔法は「広範囲の危ないもの」には該当しないらしい。
あれを正面からまともに受けてしまったら、間違いなくその場でペシャンコだ。ミンチである。
しかし……リーゼのキラキラと輝く青い瞳の奥からは、俺に対する絶対の信頼感を感じ取れるのも事実。
「いいぞリーゼ。魔法、いつでも撃ってこい!」
弟子の期待には何でも応えるべし。かつて俺の師匠がそうだったように、だ。
リーゼは一切迷うことなく、手元に作り出しておいた複合魔法【氷の衝撃】を、俺が立っている直線方向に向かって発動させた。
印象としては、巨大な氷の壁がこちら側を目指して高速で迫ってくる。そんな感じの絵面である。
「――よっ!」
軽い掛け声と共に、俺は自らの片足を一歩踏み出す。
身体の重心を前へ傾け、冷静に魔力の流れを感知する。
左腕に取り付けておいた魔装具の術式を展開させ、残された僅かな時間で最後の微調整をおこなった。そして、
(三、二、一………ここだ)
ヴォォンッ!!――リーゼの使用した魔法が、前方に突き出しておいた俺の腕へ衝突する直前。その軌道全体が不自然に、大きく右側へ向かって逸れていってしまう。
術者のコントロールを失った氷塊は、すぐに離れた場所にある地面へと激突し、陶器が割れるようにしてバラバラに砕け散ってしまった。
「な、なんじゃあ?今のは……?」
「嘘……途中まではしっかりと、自分で制御できていた筈なのに……」
驚いた様子で声を上げた見学者の二人は、共に「理解不能」といった顔つきをして、こちらを見てくる。
「これは『反射の籠手』っていう、俺オリジナルの魔装具だ。
相手の魔力を用いた攻撃手段に干渉し、その軌道を変更、或いは無力化することができる」
それだけを聞くと、非常に強力な魔装具に思えるが、もちろん欠点もある。
まず連続使用ができない。一度の戦闘で使えるのは一回きり。
何故なら拳銃の弾を詰め替えるようにして、魔装具本体の再整備をおこなう必要があるからだ。
もう一つ。この魔装具の扱い方自体が、単純に難しいということ。
仕組みとしては、磁石の反発作用のようなものだ。
対象が魔装具に触れる直前で、俺が使用可能な全魔力を一点集中させる。
薄い紙を重ね合わせてから、何回も折り返し折り返す。それを己が持つ魔力を利用して、実践してみせた形だ。
中級の複合魔法ですら弾ける程に、強固な盾。
術式には魔力を分散させる効果も付属してあるため、純粋な魔法による攻撃手段に対してはめっぽう強い。
反対に物理的なものに関しては……大体八割から九割減といったところだろう。便利なものだが、決して万能な道具ではない。
使用方法も限られているため、現時点では完全に俺専用の魔装具だ。
「それにしても凄いのう!仕組みについては理解できるが、それを実際にやってみせるとなると……ワシには到底無理なことじゃな」
「私の魔法が、あんなに簡単に消されるなんて。……ちょっと自信なくすかも」
「いやいや、リーゼ。その歳で中級の複合魔法が使えているだけでも、十分凄いことだからな?」
リーゼの魔術師としての成長速度は、はっきり言ってしまうとかなり異常な部類に入る。物覚えが早いというだけではない。センスもある。優れた魔法の使い手としての才能が。
この歳で既に『戦場級魔術師』なのだ。素晴らしい将来性である。
しかし、まさかこの俺自身が、自分の弟子を持つことになるとはね。人生何が起きるのか、案外分からないものである。
「エドワーズ。ここに置いてある、この四角い箱のような物体は、どういった機能を持つ魔導具なんじゃ?」
「ああ、それはですね」
ローレンが真っ先に興味を示した物は、『音声記録箱』という黒いサイコロみたいな形をしている魔導具だ。
エルフ語で意味は記録と蓄積。携帯に内蔵されているボイスレコーダーと、ほぼ同じような機能を持っていると思っていい。使い方はとっても簡単で、試しにローレンに教えてみたら、大喜びで自分の声を延々と録音し始めた。
「聞こえるかのう、リーゼ?ローレンじゃ。
聞こえたら返事を返しておくれー」
喋り終えたローレンが、魔導具の表面部分に触れながら、動力源となる自らの魔力を流し込む。
《聞こえるかのう、リーゼ?ローレンじゃ。
聞こえたら返事を返しておくれー》
「オッホー!これはたまげた。
本当にこの小さな箱の中から、ワシとまったく同じ声が聞こえてきたわい」
「すごーい!まるでおじいちゃんが、この場所に二人いるみたい」
大好評である。
なんとなく思いつきで作ってみたものだが、意外なところで使い道が出てきそうだな。
他にもいくつもの便利な発明品が存在するが、中でも特に戦闘面で役立ちそうな、俺とっておきの自信作をまとめて紹介しておこう。
『幻影の首飾り』――煙のような薄い輪郭の幻影を、空中に投影して作り出すことができる魔導具。「高さと幅が二メートル以内のもの」という制限付き。
幻影本体の操作可能範囲は、最長でも使用者が視認可能な距離に限定される。単身での挟撃戦術に利用可能。
『魔導風船人形』――通常時は飴玉と同サイズ。内側を自らの魔力を利用して満たすことで、巨大な囮人形へと姿を変える。
起爆時には、内部に仕込まれた煙幕用術式が作動する。別名、『ジニファーちゃん1号』。
『避魔針』――魔力を吸い寄せる効果を持つ。使いきりタイプの針型魔導具。
吸収量には上限があるため要注意。蓄積された魔力は起爆剤となり、周囲に爆発による衝撃と炎を生む。
『熱包丁』――台所に置かれていた調理用の包丁を、魔装具として改造した物。よく切れる。とにかくよく切れる。一応、分類は魔剣扱い(魔包丁?)。
魔力を込めると、刃の部分が高温の熱を帯びる仕様。他にも隠された機能がある。火傷に注意。
『魔鋼糸』――丈夫で軽い、魔物の素材から作られた糸。
ゴムのような伸縮性があり、魔力に反応して素早く伸び縮みする。非常に細い。普段は反射の籠手本体の隙間部分に収納されている。
『永久貯蔵魔石』――希少鉱石。一定量の自分の魔力を、魔石の内部に貯蔵しておくことができる。
通常の魔石の場合、それは使いきった瞬間に跡形もなく消失してしまう。これにはそのようなことはない。半永久的に使用可能。
一回のチャージにかかる時間は二十分ほど。現在は指輪型の魔装具として加工済み。
この中で最も注目してほしいものが、永久貯蔵魔石と呼ばれている希少鉱石である。
『蜜蜂の酒場』の店主、ラッセルでさえこれを仕入れるのに五年もかかった。採掘される機会が非常に少なく、市場では常に高値で取引きされる。
俺が抱えている懸念事項の一つに、【魔力抑制の呪い】というものがある。
これを回避するための手段として、あらかじめ魔石内に自らの魔力を限界値まで溜め込んでおくのだ。
呪いの発動条件は、「己の体内に残存する魔力を、一度にその場で大量消費すること」。つまり、魔石内に貯蔵しておいた自分の魔力を使う分には、呪いの影響をまったく受けることがないのだ。
永久貯蔵魔石の最大魔力蓄積量は、数字で表すと約八十から九十前後という数値になる。
これは中級魔法で四発から五発。上級魔法となると、ギリギリ一発撃てるかどうかだ。
そしてその上級クラスの魔法と同じく、魔石内にチャージしておいた全魔力を一括消費することで、一度きりの最後の奥の手――【虹の魔法】の力の一部を再現することが可能となる。
とはいえ、その威力自体は全盛期の頃の一割にも満たない。
油断は禁物。しかし、それが非常に強力な手札の一つであることは確かである。
――ボカンッ!ボンッ!プスプスプスプス……。
「……!何事だ?」
音のした方向に視線を向けてみると、三角の形をした魔導具『簡易型結界装置』から、モクモクと灰色の煙が漏れ出ているのが見えた。
状況から考えると、どうやらリーゼかローレンの二人の内どちらかが、装置の本体をいじくり回して壊したらしい。
「フウー……触っていたら、急に大きな音が出るもんじゃから、ビックリしたわい」
「ごめんエドワーズ。これ、多分壊しちゃったかも?」
なるほど。原因はあんたの方か、爺さん。
ちょっと目を離していると、すぐにこれだ。好奇心が強いのは結構なことだが、怪我だけはしないように気をつけて貰いたい。
「エドワーズ、この白い球はどういう風に使えばいいの?」
近くに置かれていた、皮製のバックパックの中身を物色していたリーゼが、小さくて白いガラス玉のようなものを一つ取り出して見せてくる。
「使い方は『音声記録箱』とほとんど同じだ。手のひらの上にのせてから、それに向かって自分の魔力を送り続けるだけでいい」
俺は、リーゼから受け取った小型の魔導具に、空気を吹き入れるようなイメージで自らの魔力を送り込む。
「わっ!凄い。なんか、どんどん大きくなってる……」
目の前でみるみる膨れ上がっていくトラップ型魔導具『魔導風船人形』。使用者による魔力操作が可能で、遠隔の自爆機能まで付いている優れものだ。
「あれ、何?女の人の絵?」
人形を一目見たリーゼが、怪訝そうな顔つきをしてそう呟く。
俺が描いたヘタクソな絵。真っ白な囮人形では面白味がない。そう思ってわざわざ描いた、渾身の力作なのだが。
どうやらリーゼには不評だったようである。
「『魔導風船人形』ジニファーちゃんだ。内部には魔力探知を妨害できる特別な煙幕が仕込んであって、コントロール次第では十数メートルのっ――!?」
ドシュッ――説明途中の俺の目の前で浮遊していた魔導風船人形を、高速で飛翔する何かが真っ直ぐに突き抜けていく。
恐る恐る隣を見てみると、無表情のリーゼが自らの片腕を上げている状態でその場にいた。
派手な爆発音が森の中に鳴り響く。青白い煙によって視界は遮られてしまい、完全に何も見えない。煙が晴れたあとに残されていたものは、無惨にも爆散してしまった魔導具の残骸だけだった。
「う、嘘だろう?ジニファー!?」
「……本当に爆発しちゃった」
そりゃあ、そんなもの撃ったら爆発するに決まってるじゃん。リーゼさんよぉ!
【氷の魔矢】によって破壊されてしまったバラバラの魔導具の残骸を、俺はオイオイ泣きながら一つ一つ拾い集めていく。
「今のは、絶対にエドワーズが悪い」
「えっ、そこで俺のせいにしちゃう?今のはどう考えても、悪いのはリーゼの方だろ!」
「(………ギロリッ!)」
リーゼが鋭い目つきで俺のことを睨んでくる。
おっかない。人形に巨乳の女の子の絵を描いたことが、そんなに気に食わなかったのだろうか?
俺は未だに薄い膨らみしかない、リーゼの小さな胸元部分に視線を移す。
――なるほどね。つまり、そういうことだったのか!
「リーゼはまだまだ成長途中なんだから大丈夫さ!
なーに。あと数年もすれば、きっと今よりは胸も大きくなって――」
「……バカッ!エドワーズは全然、オンナゴコロが分かってない。
今日の夜は、エドワーズの分だけごはん抜きにしておくから」
ヤバい。フォローしたつもりが、逆に怒らせてしまったみたいだ。
リーゼは冷たい表情を浮かべながら、一度も振り返ることなく足早に、建物がある方向を目指して広場から出ていってしまう。
「まぁ、なんじゃ……そう落ち込むことはない。
ワシもリーゼがなんで怒っているのか、さーぱっり分からんしのぉ!」
一連の出来事を眺めていたローレンが声をかけてきたが、まったく励ましの言葉になっていない。
つーかこれって……。
まさか本当に、俺の分だけ今日の晩飯抜きなのかい?
*****
「あーそれね。完全にあんたの方が悪いわ、エドワーズ」
「もー!だから今日のあの子は、あんなに機嫌が悪かったのね」
場所はベシュリンの街にある『蜜蜂の酒場』。
発表会の翌日。昨日起きた出来事を、店で暇をしていたステラとミラの二人に話してみたのだ。
その反応は……まぁ予想通りというべきか。
双方とも「俺の方にのみ非がある」という意見で結論づけたらしい。
リーゼは今、店の奥にある厨房の中で、エルメダから新しい料理の作り方を教わっているところだ。
サーシャは当番制の買い出しに出掛けているため、店にはいない。他の同僚である女の子たちによって引きずられていく彼女の様子は、さながら動かぬ屍のようだった。
今日は店を訪れに来る冒険者たちの数がかなり少ない。ほとんど定休日みたいなものだ。
どうやら隣街の近くにある森の中で、Eランクの魔物の姿が複数体目撃されたらしい。放置しておくと、せっかく育てた農作物や畑にまで被害が及ぶため、できるだけ早期の討伐が望まれるのだ。
「で?結局そのあとリーゼは怒らせたままで、あんただけ一晩中、ひもじい思いをしてたんだ?カワイソ~」
「いや、それがさ。別にそんなことはなくて、普通に用意してくれていたんだよね」
俺がありのままの真実を話すと、それを聞いたステラとミラの二人が、揃って大きなため息をつく。
「えっ何?なんか俺、不味いこと言った?」
「あちゃー。やっぱそうなる?そうなっちゃうかー。
だよねぇ……ま、そんなことだろうと思ったわ!!」
「ほんと、あの子らしい行動よね。
ねぇ?エドワーズ。あとでもう一度昨日のことについて、リーゼにしっかりと謝っておきなさい。分かったわね?」
「……うん、分かったよ。ミラ姉さん」
「にしてもリーゼってば、相変わらずエドワーズに対してだけは激甘じゃん!
あたしなら最低でも一週間は、ごはん作ってあげないけどねー」
「(それは餓死するレベルだろ……)」
確かにステラの言う通り、リーゼは俺に対してかなり甘いところがある。
これまでも何度か怒らせてしまうような出来事があったが、どれも数日以内には許してもらえた。
毎日おいしい料理を俺のために用意して、掃除や洗濯の面倒まで見てくれる。こちらから手伝いを申し出ることもあったが、俺はそのことごとくを全て断られてしまっていた。
――これは全部、私のやりたい事だから。エドワーズは何もしなくていい。
取り付く島もないとは、きっとこのことだろう。
そんな感じで、俺は今絶賛ヒモ生活をまっしぐら。日夜魔法の研究作業に明け暮れているだけの、なんの役にも立たない居候である。
「それにしてもさ。ムネムネムネムネムネムネムネ……って。
本当に世の中の男はどいつもこいつも、みんなそればっかりだよね」
「仕方がないでしょう?私たちもそれを武器の一つとして、こうして商売させて貰っているのだから」
呪詛のように言葉を吐き続けているステラとは違い、経営的な考え方をすることができるミラは、やはり大人だ。
可愛い制服。美味しい料理。客を引き寄せることができる要素は、可能な限り多く取り入れていくべきだ。それが直接、店の宣伝活動や売り上げの向上に繋がってくる。
「ステラ。あなたは普段から、もっと自分自身を磨きなさい。
せっかく綺麗な顔とお肌をしているのだから。日々おこなう努力が、私たち女の魅力を更に高めてくれるのよ?」
「ワッ、マッズ!あたし、もしかして自分で墓穴掘っちゃった?
んー……できればなんだけどさ。ミラ姉が知り得る限りで、一番楽な女の磨き方っていうものを、是非ともご教授頂きたいと思いまーす」
ステラの奴め。また適当なことばかり言って、この場をやり過ごすつもりだろうが……。
そんなアホからの要望に応えるべく、ミラは真剣な様子で考え込みながら、自らが話す内容を確認するようにして口を開く。
「そうねえ……だったらまずは、朝早くに起きて簡単な運動をするでしょ?で、そのあとでバランスの良い食事を取る。
朝のお化粧をする前に、お肌のケアとチェックを忘れたらダメよ?
皮膚についた油は撫でるように綺麗に落として、それから――」
「あ、無理。それ絶対に無理ムリムリ、マジで無理だわ。
ごめんミラ姉。あたし一生、容姿だけが取り柄の可愛い妹分のままで結構ですッ!」
「(ああ……やっぱりこいつは、正真正銘のダメ人間なんだなぁ)」
自分からミラに対して、教えを乞おうとした瞬間にこれである。
流石は『蜜蜂の酒場』の給料泥棒代表枠。ちゃっかり自分のことを可愛いと思っているところが、また図々しい。
……まぁ顔だけ見れば、確かにその通りではあるんだけどさ。
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