12 / 184
第一章 名も無き蝙蝠
第11話 ボスゴブリン
しおりを挟むあれから予想通り、帰ってこないゴブリン達を不審に思ってか、また少数の人員を派遣して来たので美味しく頂いた。
それを2回繰り返した後、とうとうボスが重い腰をあげた。もうちょっと数を減らしたかったけど仕方ないか。
取り巻きは残り15体程。
全員がこっちに向かってくるなら消音結界はいらないな。
いや、杖持ちには個別で結界使おう。これで詠唱が出来なくて、魔法を使えなかったら儲け物だ。
余裕がある時に詠唱無しで魔法が使えるのか実験しておけばよかったな。
そんな事を考えてたらいよいよ接敵。
先手必勝! サウンドボム!×3
一発で死なないのは分かってんだ。
とりあえずこれで取り巻きを倒しておきたい。
ここまでの数の複数に使った事は無かったから不安だったけど、しっかり効果はあったみたいだな。
【音魔法】が強すぎる。これだけで覇権とれんじゃないの?
取り巻きの生き残りをソニックニードルで仕留めていきながらそんな事を考えていたのがフラグになったのか。
「ギャギャギャ!!」
「え、こわ。無傷じゃん」
ボスは無傷でピンピンしていた。
えー、無傷は困る。とても困る。
多少なりとも効いてくれないと攻略法がわかんないじゃんね。
どうしたもんかと、とりあえずソニックニードルをぶつけてみる。
微動だにせず。ばけもんかよ。訳がわからん。
なんで効かないんだろう?
下っ端には有効だから何か訳があると思うんだけど。
そのままボスを観察しようとしてると、大剣を振り回しながら走ってきた。
「って、はや!」
俺は慌てて天井に避難するがお構い無しに飛び上がって大剣を振りかざしてきた。
「届くのかよ!! フィジカルすげーな!」
俺は避けつつもボスの背中に貼り付く。
からの! 【吸血】!
おお! 出来た! いや、うまーい!
脳が蕩ける。新しい扉を開きそう。
俺が血を堪能してると、ボスは壁に背中をぶつけようとしてたので背中から離れる。
そして、ソニックニードル!!
うーん、やっぱりこれは効いてないな。
【吸血】は効いたのに。
ちまちま削っていくしかないのかね。
それからは持久戦。
ちょこまかと飛び回りつつ偶に【吸血】。結構血を吸ってるので出血多量で死んだりしてくれるのを待ってるんだが、未だ衰えず。
【音魔法】は相変わらず不発。
何回も撃って分かったのはなんか弾かれてるっぽい。あれか? 身体強化的なやつか?
魔力を体に巡らせて身体能力を上げてるみたいなやつ。
俺も体に張り巡らせてるつもりだけど、やり方が違うのか、能力がないと使えないのか。
意識の問題かな?
まぁそれは、終わってから確かめるとして今どうするか。
体に巡らせてる魔力で俺の【音魔法】を弾いてるなら納得いくんだよね。
ボスの魔力を超える出力が足りてないんだろう。
それならばと、俺は今まで『針』のイメージで使ってたのを『矢』にする気持ちで使ってみる。
結果は、成功。ボスは確かにふらついた。
チャンス! と、ここで畳み掛けたい所だったんだがかなり魔力を使ったので連発できない。
逃げつつ、魔力を回復させてぶち込んでいこう。
「終わったー」
ふひー。疲れた。
合計で3時間ぐらい戦ってたんじゃないかな。
しかも、これで器がまた貯まった。
意識を内側に向けたら進化が始まるんじゃないですかね。
だが、その前に。
あちこちに散らばってるゴブリン達の魔石と血を回収しなければ!
下っ端達は、【吸血】で味わわずに、血だけを回収。今日はメインのボスがいるからね。
下っ端達の血と魔石を回収し、全てを血肉に変える。
おおー。最大魔力量がかなり増えたな。
これはこれで操作するのが難しくなるんだが。
そして! メインディッシュのボスゴブリン。
結局こいつの名前はなんなんだろうね。
ゴブリンも俺が呼んでるだけだから今更か。
まずは魔石を抉り出すが流石に大きい。
これ食べれるか? って思ったけどあっさり食べれた。
人間の拳ぐらいはあったと思うんだが不思議だね。
そして、先に味見をしてしまっている血。
いただきます。
「あーうまい。うまい。うまい」
これはあれだ。天然水から、高級ジュースにランクアップしてる。
やっぱり血の美味しさは強さ依存かな。
それなら尚更、どんどん強くならないとな。
俺は改めて決意して、ボスの血を楽しむのであった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる