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第四章 迷宮都市ラビリントス
第103話 攻略報酬
しおりを挟む「宝箱からは何が出るんだろうねー。開けたい人はいますかー?」
なんと珍しく俺とウェイン以外のみんなが挙手している。
グレースもなのか。いつもは見守る側なのに。
妲己なんて【超念力】を使って、尻尾を全部ピンと立たせている。可愛い。開けさせてあげたい。
「でも今回は妲己はほとんど戦ってないしなぁ。我慢してほしいなぁ」
チラッと見ながら、お願いしてみるとシュンとしながら弱々と尻尾を下げた。
良い子だ! 後でブラッシングしてやろう!
「じゃあ後は全員で仲良く開けるか、じゃんけんしてくれ」
因みに異世界にじゃんけんが無かった。
びっくりである。こういう場面になったら、どうやって公平に決めるんだよ。
じゃんけんが公平かは俺達の中で議論の余地があるけどね。
グレースが強すぎるんだよ。【シックスセンス】のお陰なんだろうが、ほぼ負けない。
ギリギリの反射神経で変えても対応してくるからな。
「……みんなで開けるの。じゃんけんはだめなの」
テレサは余程開けたいのか、普段あんまり自己主張しないのに、いの一番にじゃんけん拒否。
まぁ、グレースが余裕そうな顔してるもんね。
妹分の可愛いお願いで結局みんなで開ける事になった。やさしいせかい。やさいせいかつ。
「むむ? なんだそれ。誰か見てるのか?」
宝箱からに入ってたのは、なんともご都合主義というか、俺達にぴったりなものばかりだった。
俺には禍々しく、長さが1mもないものだが、伸縮自在の鎖鎌である。
赤黒いと言ったらいいのか。なんか呪われてそうな、一応は武器扱いである。
名前はブラッドチェーン。
効果は吸血と不壊ってあるんだけど【血液魔法】で事足りるんだよなぁ。
とりあえず使ってみるけどさ。
「鎖鎌かー。まぁロマン武器だよな。使い方がいまいち分からんから練習してみるか」
グレースはバックラー。
腕に付けるタイプの盾で、これまで使ってたやつよりも断然性能が良い。効果も付与されてるし。
全体的に真っ白だが所々に金で装飾されている、いかにも騎士が使ってそうな盾だ。
名前はイージス。大層な盾を手に入れたもんだ。
効果は結界展開と反射。中々良いんじゃないでしょうかね。でも、不壊はついてないのがどうなのかなって感じ。
妲己は扇子である。
黒と金が主体で、広げると神々しい狐が描かれている。
正直これが一番意味分からない。
最初は妲己のじゃないと思ったぐらいだし。
でも消去法的にはそうなるんだよね。
まさかの人化フラグでしょうか? 迷宮さんからネタバレを食らった気分である。
名前は金狐扇。妲己のだって思うしかないじゃんかよ。
効果は幻術と不壊。とりあえず妲己に渡したけど、どうやって使うのかな? 【超念力】で使用する事は出来るだろうけど、それならそのまま【超念力】で仕留めた方が早いんだよぁ。
やっぱり人化フラグにしか思えません。
人化ねぇ。俺は狐で居てくれた方が嬉しいんだけども。いや、偶に人化するなら良いけどさ。
なんか人化してほしいキャラとそうじゃないキャラって居るじゃん? まぁ、俺が決める事じゃないんだけどさ。
気を取り直して、次はアシュラ。
金棒だろうなと思ってたし、その通りだった。
真っ赤な色をして、柄の所は鬼が描かれている。
名前は撃覇棒。かっこいい。羨ましい。
効果は衝撃と不壊。
殴り付けた時に、衝撃で吹き飛ばす事が出来るんだろう。使ってないからまだ分からんが。
衝撃を飛ばせたりしたら、アシュラにも遠距離攻撃手段が増えますなぁ。
テレサは杖。身長と同じぐらいの大きさで、見た目はなんかぼろっちくて頼りない感じなんだけど、効果は凄い。
名前はユグドラシル。世界樹で出来てるんだろうか。ってか、この世界にあるんだろうか。
エルフとかが守ってそう。気になります。
効果は吸収と貯蓄。
空気中に漂ってる魔力を杖に貯蓄して使う事が出来る。勿論容量に限界はあるけど。
それでも、魔力切れの心配も緩和されて魔法職には嬉しい効果だろう。
ウェインは手袋。
なんかぴったりサイズの軍手みたいで、実際つけてみても、つけてるとは思わないぐらい違和感がないものらしい。
名前は技巧の手袋。
効果は生産品質アップと器用度の上昇。
なんかこいつのだけゲームみたいだな。
生産ってのはそういうもんなかもだけどさ。
「で、みんなそれぞれ良い物が手に入りました。それはとても良い事なんだけど」
「ですね。少し浮かれてましたが、気味が悪いです」
俺達に合わせたドロップ品を用意出来るってどういう事なのって話よ。
攻略報酬って安易に考えていいのかしらん?
何も疑問に思ってなかったけど、俺達魔物だよ?
グレースとかは半分魔物だから、まぁ良いとしても俺と妲己とアシュラの分もしっかり用意されてるんだよなぁ。
従魔がいる世界だし、不思議じゃないのか?
「どうせ考えても分からんし、意味ない事なんだろうけど気になりますねぇ」
「私が知る限り、迷宮の最終階層まで到達した人は居ませんからね。何があっても予想でしか考えられませんが」
「神様的なサムシングの介入とか、メッセージを貰った事もある上位存在が何かしたとか色々あるけど」
ってか、ここ最終階層で良いんだよな?
俺達は攻略おめでとう、うぇーい。状態なんだけど?
目の前にある扉を開けたら帰らせてくれますよね? 正直、ここからが本番だよとか言われたら、心が折れるかもしれません。面倒です、はい。
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