サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第四章 迷宮都市ラビリントス

第104話 予想外の

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 「あの扉を開けたらゴールでありますように」

 「流石の私もそろそろ一旦地上に戻りたいですね。戻ったからといって、特に何もないんですが」

 気持ちはわかる。なんか一旦地上に戻りたいよね。なんだろうな、この気持ちは。

 そういえば、あのクリーチャー騒動はどう終結したんだろうか。
 一年以上経ってるし、流石にもう忘れてる頃かな? 大騒動とかになってたら、それはそれで見物なんだけど。


 
 扉を開けて先に進むと、階段があった。
 嫌な予感をひしひしと感じる。勘弁してくれ。

 「マジで言ってんの? なんか攻略報酬もそれっぽかったし、終わりでいいじゃんかよ」

 グレースだけは影から出て来てて、俺と一緒に着いてきてるんだが、無言である。
 顰めっ面をしてるので、同じ気持ちなんだろう。

 そして、嫌々ながら階段を登る。
 着いた先にあったのは小さな部屋だった。
 部屋の真ん中に大きな球体が浮いている。

 「んんんん? どういう事だこれ? いや、そういう事なのか?」

 「? どういう事か知ってるんですか?」

 いや、ラノベ知識と照らし合わせてるだけなんだけどさ。
 いくつかのパターンがあるよね。

 「あの球体は多分ダンジョンコアとかそういうのだろ。で、俺が見てたラノベ…物語では、あれに触るとダンジョンマスターになれたり、崩壊したり、意味のわからんスキルを覚えたりと。もっとあるけど一番ありがちなのはダンジョンマスターになる事かなぁ」

 「ダンジョンマスターとは?」

 「うーん。これにも色々種類があってなんとも言えないんだけど。まぁ、迷宮を好き勝手に出来るようになるんだよね。階層を増やしたり、いじったり。多分何かしらの制限はあるんだろうけど」

 「それは…。かなり良い事なのでは?」

 良い事なんだろうけど。制限が気になるよね。
 ダンジョンから出られないパターンとかもあるしさ。ちょっとぐらいならダンジョンマスターをやっても面白いだろうけど、ずっとは飽きる。

 「まっ、とりあえず触らないと話にならんか。グレースは影に入っといて。万が一崩壊するとかなら、ダッシュで逃げないとだし」

 「かしこまりました。お気をつけて」

 さーて、どのパターンなんだ? これが実は地上への転送装置とかなら笑えるんだけど。
 俺はビビりながらゆっくりと球体に触る。

 すると目の前にホログラムの様なものが出て来て、思わず後ずさる。

 「んお!? こうきたか」

 てっきりアナウンスがあったり、頭の中にダイレクトに情報を叩き込んでくるタイプだと思ってたけど、こっちのほうが分かりやすくて助かるな。


 『ダンジョン・コア
  所有者  無し
  階層数  101
  出現魔物 自動排出
  DE  202.352.896
 
  ダンジョン・コアを取得しますか?
  ダンジョンを消滅させますか?
  ダンジョン・コアを移動しますか?』

 ふむん。これだけじゃわからんな。
 いや、大体は分かるけど、もう少し詳細が欲しい。とりあえずグレース呼ぶか。

 「これ見える?」

 「はい。…なるほど。こんな風になるのですね」

 影から出てきたグレースに見てもらって、どうするか相談する。
 興味深そうにぐるぐると球体の周りを歩いてみたり、ホログラムに触ってみようとしてみたりと、今の所役に立ちそうにないけど。

 「どうする? まぁ、消滅は無しだろ。取得と移動の違いを知りたいな」

 「取得した後に移動は出来ないんですか?」

 「分からん。だから迷ってる」

 このまま、ダンジョン・コアを持って行って好きな所に設置出来るなら当たり前の様に持っていく。
 この街のダンジョンが無くなるだろうが、正直知ったこっちゃない。
 いつか国を作ろうと思った時に役立つだろう。
 当然、残り二つも攻略したら持っていく。
 迷宮都市崩壊のお知らせ。

 「取得してここで何かしないといけないとかになったら嫌なんだよな。早く地上に戻りたい」

 「では、移動で良いのでは?」

 「ダンジョン・コアを移動させたら、恐らくこの迷宮は無くなるだろ? で、騒ぎになる。後二つ迷宮攻略しないといけないのに、面倒事はごめんだ。攻略が終わってからにしてほしい」

 「じゃあどうするんですか?」

 「それを相談したいからお前を呼んだんだ」

 なんか急にポンコツっぽくなってない?
 なんか余程、ホログラムが刺さったみたいで浮かれてるんだよね。
 ウェインになんか作ってもらえよ。
 きっと良い感じにしてくれるさ、知らんけど。

 「うーん、放置は勿体無い。貧乏性の俺がこんなの見過ごせる訳がない。迷う。迷うぞー」

 「取得した後に放棄とかも出来ないんですかね?」

 「出来るかもだけどなぁ。取り返しがつかない事はしたくないなぁ」

 久々に優柔不断なレト君が顔を出しやがったな。
 うむむむむ。困ったぞぅ。

 「転移の双釘刺しておいて、一旦別の迷宮攻略しに行くか? いや、向こう攻略し終わった後もおんなじ様に悩むんなら今決めておきたいな」

 「もう取得してしまいましょう。取得したら詳しい事も分かるかもしれませんよ。なにせ所有者になるんですから」

 いや、取扱説明書があるタイプと自分で試行錯誤してやっていくタイプがありましてね?
 ………迷っても仕方ないか。
 俺はやるぞー!

 「迷宮を取得する」

 何かあるかと身構えたが、特に何もなく。
 所有者の欄には俺の名前が書かれていた。
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