サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第四章 迷宮都市ラビリントス

第106話 地上へ

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 グレースと珍しく話し込んだ次の日。
 早速、転移機能を使って1階へ戻って来た。

 「ふむん。結構人が多いな。これは誰かの影に入って外に出た方が良さそうか」

 とりあえず、俺の扱いがどうなってるのか気になる。
 別に商会とかで姿を隠してた訳じゃないし、黒蝶の人間は全部始末した筈だけど、どこかで漏れててもおかしくない。

 「別にバレても良いんだけどな。出来れば残りの迷宮を攻略してからにしてほしい」

 メインディッシュの超越者との戦いは、しっかり俺達が強くなってからにしたい。
 苦戦とかしたくないし。舐めプしても勝てるぐらいには迷宮で強くなりたい。

 「まっ、流石に1年も経ってるし考え過ぎだと思うんだけど」

 残り少なくなってきた、煙草やら調味料やらを補充したい。
 最近料理作るのにハマってるんだよね。
 といっても、1週間に1回作るぐらいだけど。
 そして、それを食べないんだけど。
 俺以外のみんなが美味しそうに食べてくれる。

 前世知識を試してるだけなんだけどね。
 どうせ食べるなら日本食を食べたい。
 ってか、寿司。大好物なんだ。

 「でも、米も見つからないし、醤油もない。東の島国とかないのかね。異世界じゃ定番じゃんね」

 グレースは米の存在を知らないみたいだから無いのかもね。別の大陸的なのがある事は知ってるらしいけど、魔物だらけらしくて、人間が居るのかすら分からないみたいだし。

 「魔大陸ってやつかね。俺が腰を落ち着けるなら大陸移動した方がいいかもな」

 そしてこの大陸に宣戦布告すると。
 世界大戦みたいだ。夢があるね。



 「ん? んんんん? これは不味いパターンか?」

 無事地上に出て来て、物陰で影から出て来たんだけど。

 「俺の似顔絵が貼られてるんだが? 有名人かよ」

 指名手配犯みたいになっとる。
 見かけたら衛兵に連絡を。って書いてあるもん。
 何処から漏れたのかね? 始末し損ねたか? 

 「何処から漏れたのかだけ調べとくか。俺が知らない方法とかあったのかもだし」

 商会には行かない方がいいか。
 色々補充したかったけど仕方ない。

 「そう。これは仕方ないんだー」

 情報収集する前に必要な物は全てパクろう。
 指名手配みたいな事をされてなかったら、しっかり買ったのに。
 恨むなら指名手配した奴にしてくれたまえよー。



 「え? なにそれ? 禁忌?」

 「はい」

 商会で欲しい物を全部かっぱらって、影の中に戻り、指名手配されてんだけどーウケるーってみんなに報告したらグレースが物知り顔で説明してきた。
 いや、それ早く言ってよね。

 「言ってもやったでしょう?」

 「それはそう。面白そうだったし」

 どうやら魔物の血を飲ませて色々やるのは、宗教的にダメな事だったらしい。
 宗教上の理由ってやつ? 違うか。
 まっ、そりゃそうだよね。そういうのがあっても不思議じゃないか。

 「で? 神聖王国からお偉いさんが来て徹底的に調査したりするって? それだけじゃあ、何処から漏れたか分からないし、俺って断定する事は出来ないと思うんだけど?」

 「私も何処からかは分かりません。しかし、調べ上げた結果が指名手配かと。犯人が見つかれば、場合によっては超越者が来ますよ」

 うへー。思わず嫌な顔しちゃったよ。
 気軽に街も歩けないじゃん。

 「迷宮攻略するまでは大人しくしますか。後二つも攻略したら並大抵の奴には負けないだろ。それとは別に情報漏らした奴は殺すけど」

 「似顔絵を作れるという事は、顔を合わせた事がある筈です。黒蝶とは別の商会で色々買い物した時では?」

 「なんで買い物しただけで指名手配なんだよ」

 レト君に難しい事は分かりませんね。
 超越者に戦いを覗いてた事がバレたか?

 「とりあえず、衛兵の詰所にでも侵入してみるか。なにか情報があるだろう」




 「なるほどなぁ。冒険者ギルドと繋がってたか。知らなかったや」

 いや、もしかしたら何かの書類に書いてあったりしたのかも? ちょっと覚えてないですね。

 衛兵の詰所に侵入して、片っ端から書類を流し読みしてそれっぽいのを見つけた。
 ここに手掛かりがなかったら、領主の所に行かないとだから助かったな。

 「それにしても、よくこれだけの断片的な情報だけで俺を犯人と決めつけたな。ちょっと大雑把すぎると思うんだけど」

 「とりあえず疑わしいから話を聞こうって感じじゃないですか? 指名手配の紙に賞金も書かれてませんし、重要参考人レベルだと思いますよ」

 いやいや。こんな街中に大々的に怪しいですって書かれて、もし違った場合どうすんのさ。
 冤罪で罪がなくて解放されても、それからずっと街の人間から懐疑的に見られるんだぜ? 
 普通の人間なら訴えてもおかしくないだろ。
 異世界にそういう制度があるのかは知らんが。

 「今回の場合は犯人が当たってるから良いじゃないですか」

 「いや、そうなんだけどさ」

 異世界クオリティってやつ?
 日本とは感覚が違いますなぁ。怪しいだけでこんな事してたら叩かれまくるぞ。

 「とりあえず冒険者ギルドのギルドマスターは殺しとくか。降格してサブマスターになってるけど」

 後は放置だな。迷宮攻略してから考えよう。
 面倒事は先送りにする主義なんだ。

 俺はその日の夜にサブマスターを襲撃。
 影の中でしっかり玩具になってもらう。

 「今回はどんなアートにしますかね」

 俺を見てびっくりしつつも、怯えてるみたいだけど知らないね。
 情報をお漏らしした悪い子はお仕置きです。


 翌日、冒険者ギルドのサブマスターの執務室で美しい作品が見つかったらしい。
 考えるのが面倒だったから、いつも通り串刺しにしてテーブルの上に綺麗に臓器を並べておいただけなんだけどね。
 
 「さって、残りの迷宮をサクッと攻略して超越者に喧嘩売りますかね」

 そういえば、教会の人間は居なかったな。
 流石に1年以上も経ってたら、撤退してるか。
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