サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

文字の大きさ
111 / 184
第四章 迷宮都市ラビリントス

第107話 テレサの進化

しおりを挟む

 
 「迷路型のダンジョンって思ったより簡単だな。罠がだるいと思ってたけど」

 「アシュラ、そこはダメです。嫌な予感がします」

 現在35階層。
 罠の対処をどうするかなと思ってたら、グレースのユニークスキルが大活躍だった。
 【シックスセンス】便利すぎぃ。
 本人はウェインとかテレサに比べて地味だと思ってるみたいだけど、グレースのレベルが上がる毎に感覚が鋭くなってる感じがあるんだよね。

 今みたいに、罠がありそうだったらすぐに止めてくれる。
 これに頼りすぎるのは良くないけど、楽な事には変わりない。

 「テレサ、あの辺に魔法」

 「堕ちるの」

 テレサが雑に雷をぶっ放し、罠を強制解除する。
 俺達に罠を解除出来る人間は居ないからね。
 こうやって進んで行くしかないんだ。

 「今回は二重の落とし穴か。階を進める毎に罠がいやらしくなっていくな」

 「高階層で私のユニークスキルが通用するか、不安ですね」

 「…テレサも罠がある場所がなんとなく分かるようになったの」

 「ん? おお! 罠探知のスキルが生えてるな。魔力探知を使って魔物探知も任せてたからかな? ついでに生えてきましたー的な」

 【シックスセンス】で罠を発見してるグレースには生えてないし、もしかしたらテレサには斥候の才能もあったのかもだな。
 体術は毎日訓練してるのに、最近やっと生えたぐらいだから、近接の才能は無いのかもしれんが。
 身体強化で走り回ってたら十分よ。
 高速で動く砲台なんて恐怖以外の何物でもないからな。

 「罠が面倒なだけで、魔物は弱いな。森で出てきた魔物と似た感じのしか出てこないし」

 「私達も随分強くなったものですね。今なら手合わせをした事のある、神聖王国の超越者にも遅れを取ることはなさそうです」

 それは良い事だ。俺もこの迷宮で、後一回か二回は進化したいな。
 必要経験値量が多過ぎて出来るかは微妙だけど。

 魔物って強くなる難易度が高いよな。どんどん必要経験値が多くなってきて時間がかかる。
 その分一回の進化での成長幅が大きいんだけど。
 それでも多いと思う。俺がこの迷宮都市に来なかったら、子爵級にすらなってないかもしれん。

 妲己やアシュラも言わずもがな。
 こいつらも俺とおんなじで必要量が多いからな。
 レア種のせいじゃないかと睨んでるんだが。
 こいつら以外にこの種の魔物見た事ないし。

 「迷宮から排出される魔物一覧とか見たら分かったりするのかな? もっとしっかり見とけば良かったぜ」

 そんな項目を見かけたんだよね。
 もしかしたら、妖狐とか餓鬼とか他にも似た様な魔物が居たかもしれん。
 面白そうなレア種なら眷属にもしたいしね。

 「かといって、今別にこれといって欲しい人材って居ないんだよな。あ、メイドか執事か」

 「ユニークスキル持ちに限定してるから見つからないんですよ」

 だって、今は枠余ってるけど、それでも人数制限があるんだよ?
 俺達には殺されなかったら、無限の時間があるといっても過言ではないんだ。
 焦って、どうでも良い奴を眷属にしたら絶対後悔すると思うんだよね。

 「ユニークスキル持ちのイケオジとか居ないのかね。THE・セバスチャン! みたいなさ」

 「何故セバスチャンなんです?」

 執事といったらセバスチャン。
 古事記にもそう書いてある。



 それからも階層を進めていき、二つ目の迷宮での初の進化者はテレサだった。

 「うーん? やっぱり100になるまでの必要経験値が多いだけなのかな? 今回、特に一線を超えた戦闘もしてないし」

 「どうでしょう? 経験値が溜まる前に、既にその戦闘をしていたら条件を満たすとか? 89階の魔物の群れではテレサは相当苦戦していましたし」

 そんな事言い始めたらキリがないじゃんね。
 光包まれてるテレサを俺達は影の中で見守る。
 40階のボスを倒したら進化したんだよね。

 「じゃあ、ウェインの進化はどうするんだって話なんだけど。生産職が超越者になる事例とか知ってる?」

 「私は知りませんね。上層部が秘密裏に囲ってるのかも知れませんが」

 壁を越えないといけないなら、ウェインには何をさせれば良いのやら。
 難しい生産物を作るとか? これで戦わないといけないとかなら、ウェインは絶望的なんだが。
 運動音痴だし、その条件は勘弁してほしいね。


 『名前  テレサ
  種族  ハイヒューム・ヴァンパイア・キャスター
  Lv  100
  【ユニークスキル】
  虹魔
  【スキル】
  家事Lv7
  身体剛化Lv1
  火炎魔法Lv3
  雷轟魔法Lv2
  魔力探知Lv9
  水魔法Lv8
  風魔法Lv5
  土魔法Lv7
  重力魔法Lv5
  闇魔法Lv2
  体術Lv2
  罠探知Lv2                                              』


 「調子はどう?」

 「……すごいの。テレサの体じゃないみたいなの」

 進化が終わったテレサに問いかけてみるけど、そうだよねって感想しか出てこない。
 魔力量の増え方が尋常じゃない。
 人間の進化は凄いね。進化回数が少ないからなんだろうけど。魔物の格が上がった時と同じくらいの上がり幅だ。
 そう考えると、人間より魔物方がやばいか。
 なんでこの世界は成り立ってるんだろうね。
 知能の差かしらん?

 で、キャスターの種族。
 魔法使い的な? グレースはナイトだったな。
 テレサの魔力量の上がり方はグレース以上だし、戦い方に関係あるっぽい? グレースはその分身体能力が上がった感じかな。
 ふむふむ。ここから更に進化するとしても、バロンとかになったりする訳じゃなさそうだな。
 職業的なのが上がったりすると予想します。

 「スキルを改めて見てみたけど、結構習熟に差があるな。火と雷は妲己に聞けるから上がりやすいんだろうけど。もうちょっと満遍なく練習してみたら? 特化するのも悪くないけど、せっかくユニークスキルのお陰で全部覚えれるんだしさ。使いこなすのは難しいけど、時間はあるんだし」

 「…わかったの」

 子供に対する要求じゃないけど、テレサはかなり大人びてるからな。
 俺が適当に書き殴ってる資料も暇があれば読んでるみたいだし。俺はなんとなくでしか書いてないけど、あれを魔法で応用出来る様になったら、テレサは更に一段上のステージにいけるだろう。

 …妲己は何故か理解してるっぽいんだよなぁ。
 グレースに文字を習ってるみたいだし。
 あいつの知能はどうなってるのやら。
 アシュラは勉強はあまり好きじゃなかったんだけど、最近ボードゲームで妲己に負け越し始めてから読むようになってるんだよ。

 それを見てもボードゲームの強さは変わらないと思うんだが? それ見て強くなるなら、俺は最強の筈なんだよね。元は俺が書いたんだし。
 まぁ、勉強に興味を持つ事は良い事だと、何も言わずにそのままにしてるけど。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...