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第四章 迷宮都市ラビリントス
第108話 ちょっとした問題
しおりを挟むズドーン!!!!
「魔法に関しては妲己と良い勝負しそうだな」
進化した体に慣れる為にも、テレサメインで階層を進めていく。
グレースも慣れるのに苦労してたみたいだしね。
案の定、テレサも苦労してるらしく、魔法の威力が過剰である。
中々安定した出力を出せないらしい。
「魔力が多過ぎて制御出来ないの。魔力操作の練習をしなくちゃなの」
ユニークスキルのお陰で制御力も上がってる筈なのになぁ。毎日練習してるし、賢者の腕輪もあるのに。
まっ、練習相手には困らないしゆっくりと慣れていってくれたまえよ。
「俺たちには問題があると思うんだ」
第ほにゃらら回眷属会議。
今日の議題はちょっとした問題について。
「問題ですか?」
「ああ。大問題だ」
「私は特に何も感じてませんが…」
いかん。いかんよ。グレースもだし、他のみんなも分かってなさげ。
ここは主人として、しっかり言わせて貰わねば。
「俺達さ、魔物と戦い過ぎて対人戦を疎かにし過ぎてると思うんだ」
そう。迷宮に籠りすぎた弊害と言いましょうか。
魔物相手ばかりで、みんな大好きな殺人戦…じゃなかった、対人戦が全然出来ていないんだ。
「そうですか? 模擬戦をしたりしてますが?」
「身内ばっかりだと、どうしてもパターン化されたりして、それは危ないと思うんだ。慣れ過ぎて同じ様な事しかしないようになってると俺は思う」
「なるほど…。言われてみれば確かにそうですね」
みんなも確かにって感じで納得してくれてる。
ウェインは関係ないと分かったのか、話を聞くのを放棄して、手元で何かをガチャガチャと使ってるけど。
「そこでだ! 都合良く、近くに冒険者が居るから喧嘩売りませんかって話なんだけど」
俺がもう理由が出来たとばかりに、満面の笑みでそう言った途端、みんな呆れた顔をして俺の方を見てきた。
「な、なんだね? みんなしてそんな目で見て」
途中までは良い感じに進んだのに。
少し結論を急ぎすぎたか?
……でも仕方ないと思うんだよ。久々に地上に戻ったのに殺したのは一人だけ。そんなんで俺が満足出来るとお思いか? いや、出来ない。
「そんな言い訳せずとも、ちょっと殺したくなったから殺しませんかで良いじゃないですか」
言い訳じゃないやい! 実際対人練習は必要だと思ってたじゃんか!
そりゃ、冒険者を探知した瞬間からソワソワしてたけども!
「それに見た感じ、練習相手になるほどの強さだとは思いませんが? 今更、A級と戦った所で身になるとは思えません」
正論。正論はずるいよ。
大人はみんな正論から目を逸らして生きているんだ。こういう時だけ正論で殴ってくるのは悪い例だよ。赴くままに生きてたって良いじゃない。
だって俺だもの。やりたい時にやる。
はい、決定ー!!
「反対はしませんよ。止めてもやるんですし。レト様って偶に男らしくなくなりますよね」
痛恨の一撃。レト君は言葉の刃により大ダメージ。言って良い事と悪い事があるだろうよ。
「言い訳せずにスパッと言ってくれたら良いんです。殺しますよと。採掘は時間がかかりすぎるので反対しましたが、今回は時間も掛かりませんし。それに人で遊ぶのはレト様の生き甲斐でしょう。それを反対するなんてしませんよ。何も言わずにやるのは困りますが一言言って下されば問題ありません」
お説教を受けちゃいました。反省致します。
……よくよく考えたら、殺したくなったから、殺しますってやばい発想だな。
まぁ、発作みたいなもんだな。気にしたら負けだ。よし! じゃあ気を取り直して!
「殺すぞー!!」
「「「……」」」 「キュン!!」
そこはノってきてくれないのね。
妲己ちゃんは可愛い。ありがとうね。
「ふんふんふふふーん」
ご機嫌に鼻歌を歌いながら、冒険者の元に歩いていく。探知されてるっぽいけど、気にせず向かう。
「止まれ!!」
男1女3のハーレムパーティである。
ハーレム撲滅委員会会長の俺としては、このパーティは許してはならない。
尚、俺は良いものとする。
現状グレースに手を出してるけど、万が一美人さんなんかが眷属になると手を出してしまうかもしれない。恋愛とかに発展したりはしないと思うからハーレムではないと強弁しておく。
「止まれと言ってるだろう!!」
あっと。このハーレムをどう仕留めようか考えてたら無視してしまってたらしい。
うーん、普通にイケメン。
女性陣も粒揃いで、お熱い限りである。
「あっ」
結局無視しつつずんずんと進んで行ってたら、女の一人に魔法で攻撃されて、反射的に俺も魔法を撃ってしまった。
そして俺の魔法に反応出来る訳なく、あっさり死んだ。
「えーっと、ごめんね?」
「き、きさまぁ!!」
えー。謝ったけどこれに関しては俺、悪くなくない? ちょっと近付いただけで魔法を撃ってくるなんて野蛮だと思うんですよ。
「勿体無い事したな。4人しか居ないから、長く楽しもうと思ってたのに」
男は剣で切り掛かってくるが、俺はそれを指で剣先をつまむ。
これぞ、強者ムーブ。いつかやってみたいと思ってました。
「くっ! このっ! 離せ!」
「ハーレム撲滅委員会会長として、お前を断罪する!!」
撲滅パーンチ!! 男は吹き飛んだ。
「グレースの言う通りだな。対人戦の練習になんてなりゃしねぇ」
強くなり過ぎると、練習相手にも困る訳か。
眷属を増やして多様性を持たせねば。
「あ、あなた! 指名手配されてる人でしょ!! 貼り紙の似顔絵にそっくりだわ! なんでこんなところに…!! どうしてこんな事するのよ!」
吹き飛ばした男を影で縛りながら、こちらに引き寄せてると、一人の女性がキーキーと喚いていた。
「俺がしたいから以外に何か理由ある? 暇潰しみたいなもんだよ。人を殺すのが生き甲斐なんだ」
先に攻撃したのはそちらの方では?
俺は無視して近付いただけじゃんね。
俺はそう言いながら、気絶してる男を無理矢理起こす。
影で縛り、固定して目の前で女を殺す。
「や、やめて…。きゃーっ!!」
「お、おい! やめろ! やめてくれ!」
女の頭を掴み【音魔法】で爆散させる。
うーん。俺がこれやられたらトラウマになりそうだな。やられないようにもっと強くならねば。
「さーて、可愛い子ちゃんは後一人~」
「た、たのむ! なんでも! なんでもするから! 許してくれ!」
「許すもなにも、特に何かされた訳じゃないし。あ、いや魔法を撃たれたか。じゃあ許しませーん」
最後の一人の女性の血をどんどんと抜いていく。
叫び声を上げる暇もなく、絶命。
「長く楽しむつもりが、簡単に殺しちゃったな」
「な、なぜだ…。どうしてこんな…」
「全てはハーレムが悪い」
知らんけど。強いて言うなら欲求不満の俺に見つかってしまったのがよくなかったんじゃないでしょうか。
「まぁ、でもお前のその顔を見れて大分欲求は解消されたな。人が絶望してる表情ってどうしてこんなに甘美なんでしょう。ほら、飲めよ」
茫然自失の男にさっき抜いた新鮮な血を無理矢理飲ませる。特に意味はない。
「くはっ! くははははは!!」
あー、たーのしっ。
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