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第四章 迷宮都市ラビリントス
第114話 最後の迷宮へ
しおりを挟む「地上は特に変わりなかったな」
「超越者が居たじゃないですか」
ああ。いたね。この前の獣人じゃない、初めましての人間だった。
遠目からコソッと見ただけだけど、現状でも勝てそうだった。
現在、迷宮から地上に戻って来て、影の中で休憩中。軽く情報収集してたら、冒険者ギルドの近くで人間の女の超越者を見つけた。
ユニークスキルも無かったし、結構なお歳を召してたから興味はない。超越者になるのが遅かった人なのかな? 上位種族になると、大幅に寿命が伸びてほぼ不老らしいし。
スキル構成は魔法使いっぽかったな。所謂、魔女って奴だ。三角帽子は被ってなかったけど。
テレサと魔法戦をして、戦わせたら面白そうだな。
なんとか、あのおばさんが戦ってる所を見たかったけど、どうやら長く迷宮に潜ってて、最近戻ってきたらしく、当分休養するみたいなんだよね。
魔法使いの戦い方ってのを勉強したかったんだけど。まぁ、仕方ないか。
喧嘩を売るのを我慢してスルーした俺を褒めてほしい。
メインディッシュだからと、自分を納得させたけど、そういえば頭数足りてないんだよなぁ。
やっぱり教会から超越者を派遣してもらった方が良いだろうか。
それとも、みんな初めて超越者と戦うんだし、余裕を持って戦った方がいいのか。
でも、一人仲間外れは可哀想だよねぇ。
そしてその仲間外れは俺か妲己っぽいし。
臨機応変に対応出来るってなると、そうなるんだよな。
「最後の迷宮でしっかり研鑽したら、テレサでも余裕を持って戦えそうだったな。やっぱり高階層で、魔物を集めてレベリング出来たのが大きいな」
「その時テレサは進化出来てませんでしたけどね。でも、あそこで大量の経験値を獲得出来たからこそ、進化が早まったとも言えるのでしょうか」
二個目の迷宮はレベリングするどころじゃなかったからね。まともに戦える場所が無かったし。
次の迷宮でレトーズブートキャンプを開催出来たら良いんだけど。
「グレース達に先があるのかは分からないけど、せめて俺達魔物組は、後一回は進化したいね」
「レト様の予想だったLv150で更に進化は外れましたしね」
「一回進化したら、その後楽になるパターンで50刻みで進化してくれるかなと思ったんだけど。そんな甘くはないみたいだな。次は200で進化するかどうか」
グレースは最近Lv150になったんだけど、残念ながら進化は無かった。
やっぱり100毎なのか、もう進化しないのか。
「人間種が二度目の進化をするとは聞いた事ないですけどね」
ナイトとかキャスターとか職業っぽいのがあったし、上位職に進化すると思うんだよなぁ。
俺がラノベ脳すぎるのかな?
神聖王国にも顔を出して超越者がどんなもんか見てみるべきだな。
もしかしたらLv200超えの猛者も居るかもだし。
「まっ、そういうことは置いといて。何も無さそうだし、そこらの商会から必要物資をパクって迷宮に行こうぜ」
「もう盗むのが当たり前になってますね」
仕方ない。指名手配されてるからね。
お金の使い道がありませんな。
「お城型の迷宮ってこういう事か」
最後の迷宮に入って、辺りを見回してみると、そこは城下町だった。
廃れて荒らされた街に、ボロボロのお城。
アンデッドとか出て来そうだな。実際、目の前にスケルトン居るし。
「てっきりお城の中で戦うと思ってたけど、街からお城を目指す感じなのかな?」
「どうもそうみたいですね。魔物はアンデッドが主体で人型の魔物も多く出てくる感じです」
アンデッドか。エンペラーリッチと戦う良い予行演習になるな。
適当に選んだけど、ここを最後にして正解だったっぽいね。
「序盤は飛ばすか。練習にもならんし、周りに結構人が居るから妲己とかは出し辛い」
「かしこまりました。では、私も陰の中に戻りますね」
正直、もうバレても良いかとグレースを迷宮に入ってから出してたんだけど、逆戻り。
空を飛んでショートカットさせてもらおう。
「すげぇ。本当に首が無いのに動いてんじゃん。ファンタジーって感じ」
「デュラハンですか。以前だったら、心して戦わないと危険だったんですが、今ならかなり簡単に勝てますね」
49階まで飛ばしてやって来た。
ここまで3日くらい掛かったかな?
45階辺りから人がほとんど居なくなったので、本格的に戦っている。
で、初めて首無し騎士さんを見つけてテンションが爆上がり。
ここまで、スケルトンやら、ゾンビやら、グールやらと臭い相手ばっかりだったからな。
ほとんど飛ばしたとはいえ、臭いだけはどうにもならん。
「この辺もそろそろ相手にならなくなってきたな。成長を実感出来てなによりだ」
「もう少し飛ばしますか? 階層にもよりますが、一つ目の迷宮でやったように、89階で魔物を集めてまとめて倒した方が効率が良いと思うのですが」
「そうしようか。この辺でグダグダやっても面白くないしな」
かなり端折り気味だけど一個目の迷宮で、もう楽しみ尽くした感もあるしな。
二個目の迷宮は全く面白くなかったけど。
ここからはお遊びは程々に進化を目指して効率重視でいこう。
俺は侯爵になるのかな? 妲己は天狐だろう。
アシュラはちょっと何になるか分からんが。
進化ってやっぱりワクワクするよねぇ。
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