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第四章 迷宮都市ラビリントス
第116話 パラディン
しおりを挟む「まさかグレースに先を越されるとはな」
妲己の進化から約3ヶ月。
単調な魔物のまとめ狩りには、正直飽き飽きしてるんだけど、進化の為にとなんとか気持ちを奮い立たせ、会社員がノルマをこなすように、1日を終わらせていた。
そんな中、今日もだるいなと思いながら、一発目の魔物ウェーブを仕留め終わった時だった。
グレースが光に包まれて倒れた。
「確かに昨日、199になったって言ってたけどさ。ここから、また経験値をしこたま溜めないとなんて憂鬱な気持ちだったんだけど、あっさり進化したなぁ」
グレースの進化を言い訳に、これ幸いと始まったばかりの魔物狩りを即座に終了。
思えば、魔力がなくなるまでとはいえ、3ヶ月毎日狩りをしてたんだから、進化した日ぐらいは休みでも良いはずだ。
毎日馬鹿みたいに魔石を食べてるから、魔力量は増えてその分時間が延びてる。
感覚的には、休憩を挟みつつだけど、朝から始めて17時ぐらいまではやってるんじゃないだろうか。
これじゃあ、ホワイトサラリーマンみたいじゃんね。
因みに、魔石を食べてるのは純粋な魔物組だけだ。グレース達、半魔物には食べさせていない。
人種に魔石を食べさせるのは禁忌みたいで、前に実験した時もよろしくない結果だったしね。
半分魔物とはいえ、ちょっとどうなるか予想がつかないからね。我慢してもらってます。
俺は血の肴に良く食べている。
味は全くしないんだけど、ポリポリと食感が良いんだよね。調味料をかけて食べた事もあるけど、本当にその調味料の味しかしなかった。
ちょびっと塩をつけるぐらいならありかなというレベル。
『名前 グレース・ミュラー (眷属)
人種 ハイヒューム・ヴァンパイア・パラディン
Lv 200
【ユニークスキル】
シックスセンス
【スキル】
剣豪術lv9
盾豪術Lv5
総合武術Lv7
軟体Lv9
身体剛化Lv9
身体操作Lv1
軍団指揮Lv1
水冷魔法Lv1
火炎魔法Lv5
吸血Lv8
教導Lv3
性技LvMAX
速筆Lv7
回復魔法Lv5
按摩Lv6
魔纏鎧Lv1 』
「スキルが多いな。メモするのも一苦労だ」
「ありがとうございます」
進化が終わったグレースは見違えるほど強くなっていた。
すんなり進化したし、強さもそんなに変わらないのでは? と、思ってたんだけど全然そんな事ない。1回目の進化と遜色ないレベルで強くなっててびっくり。
種族名の後ろについてる職業みたいなのも、ナイトからパラディンに変化してるし。
ナイトからパラディンってのは、まぁ、王道なのかな?
俺の勝手な偏見的にはパラディンはもう少し大きめの盾を持ってるイメージなんだけどね。
グレースのは盾だけど、バックラーだしさ。
そこんとこはどうなんだろうね。
それに魔王の眷属なのに聖騎士ってのもどうなんだろうか。暗黒騎士とかの方がそれっぽいんだけど。まっ、俺の勝手なイメージだし、どうでもいいけどさ。
スキルも色々上位化してるのもあって、進化ってやっぱりワクワクするもんなんだなと改めて思った。
【魔纏鎧】もずっと練習してたお陰か、進化を機に覚えてるし、最高の結果なんじゃないだろうか。
「これさぁ。神聖王国ぐらい最古の大国ならLv500とか普通に居そうじゃない? 二回目の進化がこんなにあっさり出来るなら、居ると思うんだけど。不老になったら時間気にしなくて良いんだし、俺達みたいに安全マージン取りながらひたすら狩りをしてたら、全然ありえると話なんだけど」
「そうですね…。私もこんなに早く進化出来るとは思っていませんでしたので…」
何処かでまた壁とかあるのかな?
バトルジャンキーとかが超越者になったら、ひたすらLv上げしてそうなんだよね。
今の所、俺以外にステータスを見れる人間が居ないらしいから、目標も無しにLv上げをするのはしんどいだろうけど。ジャンキーにはそんな事関係ないもんね。
「迷宮から出たら、魔王らしく街中で暴れて超越者を送ってもらおうかなって、安易に考えてたけど、ちょっと保留かなぁ」
「そうですね。それをするならしっかり情報を集めてからの方が良いかもしれません」
だよね。正直、Lv500とか出て来たら勝てる自信が今の所ない。
仮にそういう人類が居るとして、それでも討伐されてない他の魔王連中ってやばすぎでは?
エンペラー・リッチさんもお預けにした方が?
次の目標にしようと思ってるんだけど。
「それに、私達はまだ本格的に超越者という強者と戦った事がありません。万が一何かが起こった時の為に、レト様か妲己には浮いた存在で居てもらった方がいいかもしれませんね」
確かに。言われてみれば、思いもよらない事が起きるかもしれないもんね。
安全策でいくべき?
「いやいや、言いくるめられる所だった。一対一で戦ってもらおうとは思ってるけど、みんなが同時に戦う訳じゃないし? 俺達が見てる中で戦う予定なんだけど?」
「……そうでしたね」
危ない。良い感じに誤魔化される所だった。
もし眷属達が負けそうになったら、介入してみんなでボコボコのボコにする予定だから。
卑怯と言うなかれ。こっちは負けたくないのだ。
まぁ、でも情報が分かるまでは安易に超越者を呼び寄せるのはやめておこうかな。
さっきも言ったけど、負けたくないし。
不確定要素は無くしておいた方が良いだろう。
………気分屋レト君が出てこない事を祈る。
なんか突発的にやってしまうかもしれん。
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