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第四章 迷宮都市ラビリントス
第121話 迷宮攻略終了
しおりを挟む「終わったな」
「はい。お疲れ様でした」
手刀を振り下ろして、首を切ったグリフォンを見る。ダンジョン特有の段々と消えていく現象を見ながら一息吐く。
進化した後の慣らしの為に、今回の最後のボスは俺一人でやらせてもらった。
【鬼魔纏鎧】の試運転も上手くいき、悪くない結果になったと思う。
脳筋スタイルも身に付いてきたな。もう少し魔法も絡めていけるように頑張っていきたい。
「そういえば、ボスの魂は白かったな。相変わらず、この魂視は良く分からん」
「どういう基準なんでしょうね」
俺の魂が二つある問題や魂の色について、色々考察してみたいけど、情報が少な過ぎるから、早々に諦めた。
地上に戻ってから、サンプルを増やそうと思ってます。
「まっ、魂が二つあるのは、俺が転生者だからだろ。蝙蝠の魂と前世人間だった頃の魂。ラノベじゃありがち設定だもんな」
「魂が二つあると、なにかあるんでしょうか?」
知りませぬ。ラノベでは、二つの魂が喧嘩したり仲良くなったりするんだけど。今の所、特に何かあった訳でもないし。
残機が2個あるとか? 一回死んでも大丈夫的な。試す気にはなれないけど。
因みに、グレースの魂は灰色だった。
俺の眷属になるまでは、白かったんじゃないかなと思う。徐々に黒くなっていく感じなのかな。
他の眷属達も灰色。若干、黒が見えるぐらいだった。
妲己やアシュラは魔物だから、人を殺す事を悪だと思ってないだろうし、ウェインやテレサは、最初の復讐でネジが飛んだんじゃなかろうか。
それで人を殺す事になんの疑問も無くなって、悪だと思っていないから、灰色なんだと推察している。
子供だからってのもあるかもだけど、眷属になったから成長が遅いだけで、この二人は年齢的には中学生ぐらいだ。
善悪の判断もつくんじゃないのかとも思うんだけどね。
………無理か。ほとんど人と関わってないし、会ったとしても実験材料としてだからな。
魔物と対して変わらん価値観かも知れない。
「それもこれも俺が悪いんだけど。もう少し社交性とやらを身に付けて貰うべきかな? 主人の俺が皆無なのに果たして…」
「諦めましょう」
そうしましょう。どうせ会った人間の大半は殺すんだし。
「今回の報酬も普通だな。いや、魔法書の被り無しは嬉しいんだけどさ」
「最初が特別だったんでしょうかね?」
分からぬ。この世界は分からん事だらけだ。
グ○グル先生が恋しい。
前世では、検索したら大体の事は分かったのにさ。誤情報もあったけど。
「やっと手に入ったの。この魔法書はレト様の能力一覧表を見てからずっと欲しかったの」
「俺もだ。最後の最後に手に入るとは、ご都合主義ここにありって感じだけどな」
最後に手に入った魔法書は【空間魔法】。
使いこなせば、転移とかも出来るだろう。
空間斬とかさ。ロマンしかないよね。楽しみ。
「さて、これからの事についてだが」
第ほにゃらら回眷属会議。
今回の議題は、迷宮から出た後についてだ。
「この迷宮も取得したし、後は超越者と戦って強者との経験を積んで、迷宮をパクっておさらばする訳だけど」
「まずは情報収集からですね」
「うむ」
このお城型迷宮でも、超越者と出くわしたりしなかった。四人居る筈なのに、まだ二人しか知らない訳だ。
「出来れば同じ様な戦闘スタイルの相手と戦って、しっかりと糧にしたいんだけど」
「とりあえず獣人のデスターはアシュラ。人間の魔法使いの女はテレサでしょうか?」
「その予定だな。後の二人がどういう感じなのかにもよるけど」
人間の魔女みたいな奴、名前なんだっけな。
ちょっと忘れちゃったや。
「とりあえず地上に戻ったら情報収集。レベルとスキルが分かったら良いだろう」
「やっぱりレト様の【魔眼】はズルいですよね。ある程度とはいえ、戦う前から情報を得られるなんて」
なんたって異能ですからね。君達のユニークスキルと一緒よ。何故かレベルがあるけど。
「万が一負けそうになったら、眷属総出で袋叩きにするからそのつもりで」
残りの二人はどんな感じなのかなぁ。
妲己とグレースは特に相性を気にしなくて良いから、どんなタイプでも構わないんだけど。
「どうにかして後一人、超越者が出てこないかな。仲間外れのレト君可哀想」
「魔王ってバラさなければ、教会の方から来てくれますよ。レト様が被害を出したのも軽微ですし、竜王に把握されてないと思うのですが」
うーん。そうしようかなぁ。
でも、そろそろ俺も魔王って認識されたい欲求がちらほらと…。
いや、もう少し魔王らしい貫禄をつけないとダメか? ………一生無理かもしれんな。
ってかスタンピードとか、都市で禁忌を犯したのに被害は軽微扱いなのかね?
まぁ、そんなに人的被害はなかったしな。
「都市一つ滅ぼすぐらいの被害はセーフかな? 教会の人間に来させるには、バレないといけない訳だし」
「それは微妙ですね…」
指名手配犯が街中を歩いてれば、拘束ぐらいされるだろう。そして、俺は反抗する訳だ。
騒ぎもどんどん大きくなって、そのままなし崩し的に、都市を滅ぼしてる未来が鮮明に見える。
「我慢か。それともやっちゃうか」
「超越者と戦える経験は貴重ですからね」
うーん。魔王との前哨戦には丁度良いと思ったんだけどなぁ。
諦めて、俺は魔王という獲物を貰うかね。
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