サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第四章 迷宮都市ラビリントス

第122話 超越者達

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 地上に戻ってから1週間ぐらい経過した。
 その間に必要な物資をパクったりして、ちょっとばかし騒ぎになったが、そこは気にしない。
 なんだか、数年前にもいくつかの商会から商品が丸々無くなる事があったらしい。怖いねぇ。

 「さて、情報はしっかり集まったな」

 「全員が迷宮の外に居たのは都合が良いですね」

 最後の迷宮でも結局見かけなかったもんな。
 しかもS級冒険者で有名だからか、居場所もすぐに分かったのは嬉しい。
 豪邸みたいな屋敷に住んでたり、高級宿に宿泊していたりと、これぞS級って感じの生活をしていた。

 「パーティメンバーも居ましたが、どうなさいますか?」

 「うーん、どうしようか。S級と組んでるだけあって、99で止まってる奴らもチラホラと居たんだよなぁ」

 「ソロで活動してるのは、デスターだけでしたね」

 迷うなぁ。超越者になるまでは見逃して、美味しくなってから頂くか、ここで仕留めておくか。
 でも超越者共を殺したら、ここに戻ってくる事はないだろうし。
 迷宮も無くなる予定だからね。

 「パーティメンバーは俺が貰おうかな。とりあえずは、みんなに超越者と一対一で戦って欲しいし」

 「かしこまりました」

 眷属達がピンチになるまで、今回俺の出番はない予定だからね。
 パーティメンバーで我慢するとしよう。

 「獣人のデスターがアシュラね」

 「ゴギャ!」

 脳筋同士のやり合いになるだろう。
 レベルも若干上がっていたが、驚くような成長はない。俺達のレベル上げスピードが異常なのかもしれないが。
 魂視で見たら、ほぼ白色にちょっと黒が混じった感じの魂だった。

 「で、人間の魔女みたいな奴。アグネスはテレサが」

 「頑張るの」

 以前見かけたアグネスは同じ魔法使い同士のテレサに任せる。
 アグネスは完全後衛系で、タンクをパーティメンバーに任せてるようだから、一対一は楽勝なんじゃないかと思っている。
 テレサは移動砲台で体術の練習もしてるしね。
 こちらの魂は灰色。なんか危ない事でもやってるんだろうな。興味ないから好きにしたらって感じだけど。

 「新しく見つけた超越者の一人、人間の男で暗殺者みたい奴、カラミスはグレースが」

 「お任せ下さい」

 スキル構成が、モロに対人想定だったんだよね。
 暗殺術とかあったし。人を殺しまくって超越者になったのかな? 羨ましい。
 まぁ、不意打ちやらはグレースの【シックスセンス】でなんとか出来るだろうと思って、こいつに当てた訳だが。スキルを見れるのは偉大だね。
 こちらも魂は灰色。暗殺術とかあるぐらいだし、薄暗い仕事でも受けてるんじゃなかろうか。

 「で、最後の妲己の相手は珍しい竜人族の男、マスカード。初めて見た時はテンション上がったね」

 「キュンキュン!」

 人間と獣人しか見た事無かったから。
 エルフとドワーフに未だに会った事無いんだよね。特に差別とかありそうな雰囲気もないのにね。
 獣人達は和気藹々としてるし。

 「この、カスタードやらマスタードと間違えそうな名前の奴だけど、この都市で一番強いんだよね」

 「レベルが200目前でしたからね」

 二本の角に、鱗のある尻尾が特徴の竜人族だけど、物理と魔法で不得意がない、人間の上位互換みたいな種族だ。
 そんな種族が進化までしてて、レベルも196。
 グレースも竜人族の存在は知っていたが、見たのは初めてらしく、かなり驚いていたな。

 個体数が少ないらしい。竜人族の里とかあるのかね。竜を信仰してたりはしないらしいんだけど。
 そんな所があるなら、いつか行ってみたいなとは思う。経験値の宝庫じゃんね。
 ……迷宮の方が効率が良いか。

 「俺達がこける可能性があるとすれば、このマスカードなんだよな。だから妲己を当てるんだけど」

 スキルとかレベルを見る限りは、グレースでも勝てそうなんだけどね。
 肉体スペックとかは、レベルだけじゃ分からないし、竜人族がどれ程の奴らなのか分かってない。
 万全を期して妲己ちゃんの投入である。

 この竜人の魂は真っ白。恐ろしい事に黒や灰色が見当たらなかった。
 まだ魂視で見た人間のサンプル数が少ないから、はっきりとは言えないけど、白は善、黒は悪で間違いないと思う。
 って事は、マスカードは滅茶苦茶善人って事だ。

 「俺的には、真っ白で穢れなき人間もどこか狂ってないと無理だと思うんだよね」

 「確固たる信念があるとかですかね?」

 知りませんね。機会があれば聞いてみたいとは思うけど。弱者救済とか寒気を感じそうな事言われたら萎えるかも。いや、俺も子供は好きだし弱者救済してるのかな? スタンピードとか禁忌の巻き添えで死んだり、親を殺したりしてるだろうから、なんとも言えないね。子供好きとも言えないかもしれん。




 「後は、どこで戦うかだな。迷宮の中が都合良いんだけど」

 「街中は目立ちますしね。街から出すにも理由がありませんし」

 街中で戦っても良いんだけどね。
 目立って被害を出せば、教会が超越者を送り込んでくるから。
 俺からしたら、願ったり叶ったりなんだけど、情報も無い相手といきなり戦うのは避けたい。
 えげつないレベルの奴らが送られてくる可能性もあるわけだし。

 「いや、そんな直ぐには送られてこないか? ちょっとぐらいは猶予あるよな? 街中でも良くない? 魔王バレもしていいしさ」

 「街中で暴れると、他の滞在してる超越者達も寄ってくるかもしれませんよ? 一対一で戦いたいなら、最後の一人の時にしないと」

 あ、そっか。それはちょっと困るね。
 今回は邪魔されたくないし。
 最後の一人なら邪魔は入らないかもだけど。
 モブ共は適当に片付ければいいしね。
 レト君、雑魚専の能力はいっぱい持ってるので。

 「って事は、超越者達が迷宮に入るまで待たないといけない訳か」

 「レト様が影で無理矢理攫ってくる事も出来ますけどね」

 あれ、結構疲れるんだよねぇ。
 支配になってから、魔力消費は無くなったけど、抵抗されると普通に体力を使う。
 万が一負けそうになったら、みんなでタコ殴りする予定だから、無駄な体力を使うのは控えたい。
 正直、負けるとは微塵も思ってないけどさ。
 予想外な事が起きる可能性もあるし。

 「んじゃ、誰かしらが動くまでは休暇かな。体が鈍らないように、適時運動はしておくように」

 超越者の影にタグ付けはしてあるからな。
 迷宮に向かえばすぐに分かる。
 それまでは英気を養うとしよう。
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