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第四章 迷宮都市ラビリントス
第132話 妲己VSマスカード
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『名前 マスカード・ドラゴニア
人種 ハイ・ドラゴニュート
Lv 199
【スキル】
身体剛化Lv7
総合武術LvLv7
剣豪術Lv2
槍豪術Lv1
火炎魔法Lv4
土岩魔法Lv2
水冷魔法Lv4
風塵魔法Lv1
集団指揮Lv4
気功術Lv5
魔纏鎧Lv6
教術Lv7 』
グレースとカラミスの戦いが始まって少しした頃。
マスカードは一目みて理解してしまった。
(カラミスと実力差がありすぎる。これは向こうへ救援にいった方が良さそうだ)
前に迷宮都市に来ていて見かけた時は、そこまで驚異とは思えなかった。
大国の騎士団長といってもこんなものかと少し落胆したものだ。
しかし、ここで再会して改めて見てみると自分と同格ほどに成長している。
そんなに年月が経っていないのに、どうやってここまで成長したのか考える。
「いかんな。考えるよりも先にカラミスの救援に向かわねば。人質もいつまで無事かわかったものではない」
「キュン」
そして、マスカードが動こうとした時だった。
目の前にいた狐の魔物が一声あげると、体が全く動かなくなったのだ。
「む!? これは…」
魔法で抑えつけられているのか、全く動く事が出来ない。
身体剛化のスキル使ってようやく身動きが取れるぐらいだ。
「我を抑えてるのはお前か」
「キュン」
狐の魔物は返事をするように声をあげて、こちらを見ている。
その目は興味を無くしていて、虫をみるような目だった。
「初めは楽しそうな顔をしていたと思うのだが。まさかこの程度で格付けが済んだとでも?」
マスカードは本能で理解した。
舐められていると。
それは誇り高い竜人には看過できる事でなかった。
そして魔纏鎧を発動しようとした時だった。
「カ、カラミス!」
向こうで戦ってた戦況が一気に動き、あっという間に組み伏せられてしまっていた。
それはマスカードから見ても驚異的なスピードだった。
「我がこんな事をしてる場合ではないな! 一気に決めさせてもらうぞ!!」
「キュンキューン!!」
全ての強化系スキルを使い、謎の拘束から抜け出そうとした時。
マスカードは意識を失った。
☆★☆★☆★
「うわ。やりやがった。お遊び無しじゃん」
グレースの方はあっさり決着がついて、お楽しみの妲己対竜人だと、ワクワクしながは視線を向けた瞬間。
竜人は膝をついて動かなくなった。
「あれはずっこいよな。必殺技だもん」
「オジキ! オジキー!!」
暗殺者の人間は竜人に全幅の信頼をおいていたんだろう。
全く動かない竜人を見て驚き、そして半狂乱になり叫び散らかしている。
「グレース」
「直ぐに」
うるさいんだ。もうお前のターンは終わったんだからさっさと退場してほしい。
グレースは名前を呼んだだけで理解したのか、首を斬りとばしてあっさり死んだ。
「超越者の血。気になりますね」
そう言って首を斬り飛ばした時に、噴き出てきていた血を文字通り浴びるように飲むグレース。
恍惚とした表情がえっちぃですな。余程美味しいんだろうか。グレースはむさぼり尽くす様に血を飲んでいる。一応キメラの素材に使うかもだから、少しは残しておいて欲しいんだけど。
俺も魔物の血が大好きだから人の事は言えないね。グレースは人間の血が好みみたいで、魔物の血はあまり飲まないからな。超越者の血はさそかしご馳走なんだろう。
「血まみれの女に性的興奮を覚えるって、俺もまぁまぁ極まってるな」
いや、吸血鬼としては正常なのかな? 人間だった記憶があるせいで、何が正解なのか分かりませんな。俺がルールという事にしておこう。
「こっちも処理するかな。妲己のほうも一瞬だったから、遊ぶ暇もなかったぜ」
影でアイアンメイデンを作ってちょびっとだけ遊んだけど。
中の様子が見れないのは難点だったな。
死体も汚くなっちゃったし。要改良ってとこか。
「やり切ったみたいな顔しちゃって」
死体処理をして一息ついた頃。
ウェインは早速パーティーメンバーの方で実験を試してみるらしく、隅っこの方で何かよく分からない事をしている。
手伝う事はないそうなので、影の中でとりあえずの祝杯をあげている所だ。
因みに、妲己の必殺技。
俺は勝手に幻想世界って技名をつけてるけど、あれは中々にやばい代物だ。
【虚影魔法】と【空間把握】、扇子の【幻術】の合わせ技で、妲己が作り出した夢みたいな世界に引き摺り込む凶悪極まりない技だ。
俺も初めて使われた時は、あっさりハマった。
体感は夢なんかじゃない。もう一つの世界みたいなもんだった。
前世の胸糞悪い経験をこれでもかと煮詰めたような世界で目が覚めた時はそれほど時間が経ってないにも関わらず、少し動けなかったぐらいだ。
今の所、対抗手段が魔力差で押し返すしかないんだよな。強いて言えば発動に時間がかかるから、そもそも発動させないように立ち回るぐらい。
初めて使われた時は、模擬戦前に準備してたみたいで予想外すぎてあっさり負けちゃいました。
今回もグレースとカラミスの戦いを見てる間に準備していたんだろう。【超念力】も使ってたと思うが、器用にこなしたもんだ。
妲己は頑張りましたみたいな顔してるんだけど。あんなに尻尾振って楽しみにしてたのに、一瞬で終わらせて良かったのかね。満足そうにしてるから、良いんだろうけどさ。
まぁ、どう戦ってほしいとか指定はなかったからね。一瞬でケリをつけるのも悪くないんだけどさ。
もう少し竜人がどれくらいやるのか見てみたかったってのが本音です。
開幕【超念力】で抑えつけられてるところを見ると面白い展開にはなりそうになかったけど。
「それにしても、超越者は余裕っぽいな」
「ですね。あのレベルなら何人いても敵ではないです」
廃人一歩手前だったマスカードの首を折り、超越者との戦いは終わった。
そういえば、マスカードの魂が真っ白だったのはなんでなんだろうね。見た感じそこらの超越者と変わらなかったけど。
俺は戦ってないからなんとも言えないけど、戦っても負けはなさそうだね。
それでもフェニックスみたいに、五十人以上を相手に出来るかって言われたら首を横に振るけど。
まだそこまでの自信はない。
「楽しみにしてたから消化不良感があるよな」
「テレサは楽しかったの」
そうね。テレサは色んな魔法の使い方を見れたもんね。あれは俺も勉強になった。
「だからさ、グレース。良いよね?」
「レト様が良いのであれば」
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どうせ俺が迷宮を持っていくんだから、遅かれ早かれこの都市は廃れる。
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「ウェインのキメラ実験にも使えるしさ」
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一石二鳥の頭の良い作戦だ。
「決して頭が良い作戦ではありませんが」
俺が良いと思えば良いのです。
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