サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第四章 迷宮都市ラビリントス

第134話 続・実験

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 「今までの実験結果から計算すると、超越者を弄るなら最低でもグリフォンクラスの魔石が必要になるんだぞ」

 「最低クラスでグリフォンか」

 俺は肉体はあんまり関係無いんじゃないかと思ってたんだけどな。
 魂の強さ的なのが重要だと思ってた。
 上位に進化したぐらいだし、超越者の肉体はまた別物なのかね。

 「現時点でグリフォンより強い魔物に会った事はないよなぁ。冒険者ギルドとか大商会、領主の家とかに置いてあったりしないかな?」

 「盗みに行きますか?」

 ふーむ。そうするか。どうせこの都市は無くなるんだから、今のうちに盗んで有効活用させてもらうとしよう。

 「魔石を複数使うとかどう?」

 「なるほど! 試してみるんだぞ!」

 魔石を合成するとかさ。ラノベでそんなのを見た事あるんだよね。
 具体的にどうするって言われたら、分かりませんって答えるしか無いんだけど。
 ウェインが上手い事やってくれる事を祈ります。

 「100階のボスも倒して魔石取らないとな。こういう時に所有者権限でなんとか出来ないのは不便だよな」

 「素材とか魔道具を出し放題なら、迷宮に住みたいぐらいですよ」

 そうだよね。経験値も稼げるしさ。
 人気迷宮にしたら、人間はこっちから行かなくても来てくれるし。

 「まっ、良いや。とりあえずサクッと盗んで来るからウェインは魔石の活用について考えておいてくれ」

 「了解なんだぞ!」




 「ちょっぴりざわついてるな」

 「まだ3日ですからね。もう少ししたら慌て始めますよ」

 しっかり盗んできました。【影支配】は泥棒に最適な能力ですな。
 
 冒険者ギルドで盗みを働いてたら、ギルド内は結構ソワソワしてるというか。
 S級冒険者達が戻らないから、少し緊迫した状態になっている。
 まだ3日だからそこまでだけど。でも何故か冒険者の数や一般人が減ってるのもあって、何かしらの対策をしようとはしてるっぽいね。
 ご愁傷様です。頑張ってください。

 「で、やっぱり魔石はグリフォン以上は無さそうだな。仕方なく、その他色々な物を盗んできました。これもすぐに騒ぎになると思う」

 日用品は勿論、お金やら魔道具やら。
 素材もあるだけ盗んであげた。
 俺達が有効活用するからね。

 「異変を感じて逃げ出される前に、終わらせたいですね」

 「そこはウェイン君次第だな」

 さて、三つの迷宮に行ってグリフォンを狩ろう。
 必要になるかは分からないけど、ウェインが魔石をいじくり回してる間は暇だからさ。



 「出来たぞー!!」

 「早いな」

 グリフォンも狩り終わり、中堅の商会からも盗みを働いていたら、ウェインが合成魔石を完成させたらしい。

 「魔石を複数使ったキメラには失敗したけど、合成は上手い事いったんだぞ! これなら高品質のキメラが出来る筈なんだぞ!」

 ほう。それは楽しみだ。とうとう超越者の肉体を使う時が来たという事だな。

 「魔物素材も今ある最高級を使うんだぞ! 楽しみだから早くやるんだぞ!」

 そう言って、ウェインは早速凍らせて保存していた、超越者の肉体を丁寧にバラしていく。
 その後に肉体を順番通りに混ぜていったり、骨を砕いたりと忙しそうにしていた。

 「この骨とかさ。お城型の迷宮に出てきたスケルトンキングのとかだめなの?」

 「少し混ぜてるんだぞ!」

 あ、左様ですか。口を挟んですみません。
 大人しくイカサマ麻雀しておきますね。


 「いよいよなんだぞ!」

 3時間程で下準備は完成。
 ウェインの目はもう完全にイっちゃってる。
 クスリをやってハイになってる奴みたいだ。

 「いよいよって所で口を挟んで申し訳ないんだけどさ」

 途中で思いついて、言おうか迷ったんだけど。
 モヤモヤが抑え切れない。

 「? なんだぞ?」

 「これ、俺の体を素材にしたらどうなるのかなって」

 俺だって魔物だし? どこかしらは有用な素材だと思うんですよ。
 心臓を捧げよとか言われたら、駆逐してやらないといけなくなるけど、腕一本とかならね? 痛いの我慢するよ? 妲己にすぐ再生してもらうし。
 面白いキメラの為なら安いもんだ。腕の一本くらい…。

 「そういう事はもっと早く言って欲しかったんだぞ」

 すみません。さっき思いついて気になっちゃって。

 「いや血液だけなら--翼を取り付けるのも--どうせならアシュラの角とか--魔道具なんかも混ぜたり--」

 あーあ。またスイッチ押しちゃった。
 巻き添えでアシュラも入ってたけど大丈夫でしょうかね。

 「失敗するかもしれないけど試してみたいんだぞ! ちょっと混ぜた魔物素材を抽出するから少し待って欲しいんだぞ!」

 そこから話し合いの結果、俺の血液と片翼。
 アシュラの角一本と妲己の毛を追加で入れる事になった。
 グレースの剣を使って、躊躇なく翼を切り落としたウェインに少しビビったのは内緒。
 俺の事、ちゃんと主人と思ってるんだろうか。

 「たのむぞー。成功してほしいんだぞー」

 「失敗しても、またそのうち超越者を狩ればいいだろ。いつになるかは分からないけど」

 ウェインはイっちゃった顔のまま、錬金術を発動。今までの実験キメラとは比べ物にならないぐらいの光に包まれて、気持ち悪くうねうね動いている。

 「おいおい。予想以上にでかいな。アシュラと同じぐらいか?」

 段々とシルエットが分かってきたけど、その大きさに驚く。今までは大きくても2mぐらいだったから。

 「レト様!」

 「おお! 解析出来るぞ! 成功したじゃん!」

 「やったんだぞー!!」

 へたり込みながらも喜びを露わにして、バンザイしてるウェイン。
 俺はそれよりも、解析結果とその姿にテンションが上がっていた。

 「ロマンの塊だな。こいつは。今までの気持ち悪い見た目とは違う。見ててワクワクするぜ」

 見た目は大きさ3mぐらい。髪の毛は真っ黒な長髪で、おでこにはアシュラよりは小さいけど立派な角が2本。顔は中性的な見た目をしている。美男とも美女とも取れそうな顔だな。
 体はメインは人間っぽい。でも、背中には蝙蝠の翼にグリフォンの羽毛がついている。
 腕はムカデ素材のせいか装甲みたい。
 足は獣人の特性が出てるのか、鋭い爪と狼の体毛。尻尾はトカゲの尻尾と狐の尻尾が生えている。

 「これぞキメラ。色んなMIXし過ぎてなんか忙しい見た目だ」

 「冒涜的な見た目ですね…。教会が見たらなんと言うやら…」

 お披露目はすぐだぞ! 都市破壊で早速投入するからな!
 生まれたてとはいえ解析で能力を見た感じ、すぐに実戦投入できそうだ。
 超越者素材って素敵。もっと欲しくなっちゃうな。
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