サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第五章 魔王討伐

第147話 ヴェガの進化

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 「ヴェガと妲己は一緒に行動しろ!」

 魔王がいる『腐死の森』に着いて1週間が経過した。魔王と思った以上に実力差があったので、撤退して地力をもっと上げてから来ようか迷ってたんだけど、相手は撤退を許してくれなかった。

 ハイバックを倒した次の日。名持ちの幹部らしきのがまた襲ってきたのだ。
 幹部らしき魔物が連れてる群れはどれも一筋縄ではいかない強さを持っており、俺が幹部を相手にすると、他の眷属が戦うんだがそれが中々手強い。

 「キュンキューン!」

 「ゴギャギャー!」

 妲己とアシュラは問題なく戦えている。幹部を任せても問題ないくらいだ。
 しかし、グレース、テレサ、ヴェガは所々で苦戦していた。今は二人がフォローしてくれているのでなんとかなっているが、怪我をする事もある。

 「おらっ!」

 「ムゥ! やりオるナ!」

 この幹部で何体目だったかな。もうこの1週間で五体は倒してるはず。
 単体にしては経験値が美味しいし、戦闘技術を簒奪してるから強くはなれている。
 けど、こうも当たり前のように俺とか妲己が戦わないといけない相手が出てくるとしんどい。

 「キリがないの」

 「ハァァ!」

 グレースとテレサは二人一組で群れに当たっている。単体では効率が悪かったし、たまに勝てない相手もいたからな。


 「よしっ! 終了!」

 今日も今日とてお疲れさん。なんとか幹部と魔物ウェーブを倒し切り一息つく。
 毎日疲労感でいっぱいだ。

 「流石魔王の縄張り。舐めすぎてたな」

 「でももうすぐです」

 それな。グレースとテレサがもう少しでレベル300になる。ここに来て猛烈に経験値を稼いでるからな。
 俺の器はまだまだだけど。妲己とアシュラはどうなんだろ。二人がここから進化するのかも分からないけど。

 「二人の進化で楽になってほしいな。強くなれるのは良いけど、毎回ギリギリだからな」

 何故か魔王陣営は幹部を小出しにして、俺達の元に派遣してくる。
 これが複数で来られたりすると、一気に窮地に陥る。俺も三体ぐらいまでなら相手出来るけど、それ以上はちょっと自信がない。

 「なんで一気に来ないのかね。俺達が強くなっていくだけだぞ」

 「強くなったところで気にしないレベルの強者なのかもしれませんね」

 ほへー。同じ魔王なのに、俺と強さが全然違うじゃん。まぁ、生まれて五年そこらの魔王と古くから存在する魔王じゃ格が違って当然かね。
 その差を埋める為に迷宮に行って強くなってきたつもりだったんだけど。
 まだまだ全然足りなかったか。

 「ん?」

 最近は戦闘で疲れすぎて影の中に入ると、各々はすぐに就寝する。
 あの性欲魔人グレースが、おせっせする前に寝るんだからその疲労はお察し。
 今日もさっさと風呂に入って横になろうと思ったら、ヴェガが光輝いた。

 「おお! 進化じゃん!」

 かなり長かった。本当に進化しないんじゃないかと心配してたんだ。
 ここで進化してくれるのはかなりありがたい。


 『キメラ (眷属)
  名前  ヴェガ
  【魔物能力】
  超再生
  捕食
  槍術
  戦闘学習
  毒生成       』


 「オブジェクション!!!」

 異議あり! 異議ありですよ!!

 「どうしたんです?」

 寝ようとしてたグレースだけど、ヴェガが進化したって事で一緒に見ていた。
 俺が解析で見て叫び声を上げたのを怪訝そうな顔で見てくる。

 「能力が!! 二つも! 二つも増えてる!!」

 上位存在!! 出て来いこの野郎!! 贔屓だ贔屓だ!

 当のヴェガ本人は進化した身体を確かめている。
 身長は3mぐらいから変わってないけど、全体的に筋肉モリモリになって異形化が増したように思う。顔が美形だからより一層不気味なんだよね。

 「いや、ヴェガが強くなったのは嬉しい。これは素直に喜ぶべき事なんだよ。でもなんで能力が二つ増えてるの?」

 「進化の回数が少ないとかじゃないですか?」

 え? そんな帳尻合わせある? 確かにヴェガは進化が遅かったしありえるかもだけど。
 上位存在が気を遣ってくれたのかしらん? それなら先程の心の中の暴言は謝罪しますけど。

 「それで。ヴェガは進化したけど喋れそう?」

 コクンと頷くヴェガ。
 おお。喋れるのか。

 「………」

 「………」

 いや、なんか喋ってよ。なんか照れ照れしてる。
 いざ喋るとなると恥ずかしいらしい。動きはワタワタしてコミカルなのに。

 何故か俺じゃなくて、グレースに近寄り耳打ちをする。
 俺の圧倒的感覚能力でも聞き取れなかった。
 次耳打ちしようとしたら【音魔法】を使おう。

 「なんだって?」

 「キャラ付けの為にこのまま無口キャラの方がおいしいんじゃないかって言ってます」
 
 なんだよ、キャラ付けって。そんな無理にするもんじゃないだろ。
 それに、意思疎通はしっかり出来た方が何かと便利だぞ。
 どうしても喋りたくないなら強要はしないけどさ。

 「どんな声だった?」

 とりあえず今は喋る気がなさそうなので、声を聞いたグレースに気になる事を聞いてみる。
 あの巨人異形美形からどんな声が出てるのか、レト君は気になってますよ。

 しかし、それはヴェガに阻止された。
 なんか口に手を当ててしーっってやってる。顔を真っ赤にしてる事からどうやら俺が聞いてはいけないらしい。
 乙女かよ。まぁ、いいや。そのうち喋るだろ。気長に待つ事にします。

 「それにしてもヴェガが進化したから、明日も襲撃があれば楽になるな」

 「一回の進化でかなり強くなりましたね」

 俺達の戦いがもっと安定すれば、こっちから逆侵攻するんだけど。
 なんで俺達が攻めに来たのに、襲撃をかけられてるんだか。
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