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第五章 魔王討伐
第148話 アーク
しおりを挟む「逆侵攻じゃー!!」
「キュンキューン!」
あれから更に一ヶ月ぐらいが経った。幹部の襲撃が控えめになったので、森を荒らし回って経験値を乱獲している。
「なんて優しい魔王なんだ。俺が心配してた事が起こらないとはな」
絶対魔王が怒って襲撃してくると思ってたんだけど。何故か俺に経験値を献上してくれている。
まさか、エンペラー・リッチはボーナスキャラだったのではと勘違いしてしまうね。
そして、テレサとグレースが進化した。レベルが300になって相変わらず格みたいなのが上昇。幹部にもなんとか渡り合えるぐらいにはなった。
職業の頭にアークがついてる。上位って事なのかな? それで何が変わったかは分からんけど。
『名前 グレース・ミュラー (眷属)
人種 ハイヒューム・ヴァンパイア・アークパラディン
Lv 300
【ユニークスキル】
シックスセンス
【スキル】
剣聖術Lv3
盾豪術Lv8
総合武術LvMAX
軟体LvMAX
身体金剛化Lv3
身体操作Lv6
軍団指揮Lv4
水冷魔法Lv3
火炎魔法Lv8
吸血LvMAX
教導Lv6
性技LvMAX
速筆Lv7
再生魔法Lv1
按摩LvMAX
魔纏鎧Lv8 』
「スキルレベルがMAXになってるのが増えたな」
「普段からの積み重ねです」
なんか誇らしげな顔をしてらっしゃいますけどね。MAXになってる大抵のスキルはピンク色のスキルなんですよ。戦闘スキルより上がり幅が大きいんだよね。
グレースの前世は淫魔かなんかだったのか?
「それでも妲己には勝てませんね」
さっき模擬戦でボロクソにやられてたな。あの子は進化せずともどんどん強くなっていく。【虚影魔法】をいかにして封じるかが重要なんだよ。
【超念力】もかなり厄介だけどね。
『名前 テレサ (眷属)
種族 ハイヒューム・ヴァンパイア・アークウィザード
Lv 300
【ユニークスキル】
虹魔
【スキル】
家事LvMAX
身体剛化Lv7
火炎魔法LvMAX
雷轟魔法Lv9
魔力完知Lv5
水冷魔法Lv7
風塵魔法Lv6
土岩魔法Lv7
星力魔法Lv2
暗黒魔法Lv4
体術Lv8
罠探知Lv8
速読Lv9
杖術Lv5
氷魔法Lv9
回復魔法Lv7
光魔法Lv7
空間魔法Lv6 』
「テレサの魔法スキルを見てると、頭が痛くなってくるな」
俺なら絶対使いこなせない。魔法が多すぎる。満遍なく練習するようにしてるらしいけど、晦冥球の一件から【闇魔法】が上位になった【暗黒魔法】や【重力魔法】が上位になった【星力魔法】の研究や練習に力を入れている。
「進化のお陰で魔力操作能力が上がったの。晦冥球が少し楽に撃てるようになったの」
あれを連発する日も近いか。大丈夫か、異世界。壊れてくれるなよ。ある意味俺より危険な奴が誕生してしまったかもしれませんな。
俺は広範囲を破壊するのはちょびっと向いてないし。殺すだけなら簡単なんだけど。
「なんか一対一でも使える魔法を開発しようぜ。これから強い奴と戦うんだしさ」
「そう言われると思って、ちょっと【光魔法】の研究をしてるところなの。アンデッドにも有効だし、後でお披露目するの」
優秀ですねぇ。俺に見つからなかったら、さぞ歴史に名を残す偉人になってた事でしょう。
出会った頃は兄妹共にハードモードだったけど、今の二人を見ているとそんなの関係なく跳ね除けて、成長していったんじゃないかなと思う。
「いや、魔王の側近として悪名は残せるかもな」
「災害の魔女。気に入ったの。積極的に広めていくの」
いや、これは俺に見つからなかったとしても、やばい実験とかして悪名を残してたのでは?
今の恍惚とした表情をしているテレサを見ているとそう思えてきちゃうよね。
俺の眷属になったからこうなったのか、元からそういう気質だったのか。
今では分からない謎ですな。
さてさて。二人が進化して前置きが長くなってしまったけど、俺達は今日から逆侵攻する。
いや、逆じゃないか。普通に侵攻。
グレースとテレサが進化した事で、幹部とも渡り合えるようになり、ここからが本番って感じだ。
「ヴェガもかなり戦えるようになったしな」
「………(ふりふり)」
照れ照れしてる。なんか進化してからやたらと照れるようになったんだよね。
相変わらず俺には喋ってくれないし。他の眷属には耳打ちで喋ってるんだぜ。
いつも盗み聞きしようとしてるのに、すんでのところでバレてしまう。
「浅い場所のアンデッドはほぼ壊滅。とうとう中層に挑めるぞ」
「ここからは未知ですよね」
「俺の蝙蝠ちゃんが悉く撃墜させられてるからね」
魔王の座標とか分かればな。テレサの必殺技が火を吹くのに。
【空間魔法】で魔王の居場所に直接晦冥球をぶち込むっていう鬼畜技なんだけど。
将来人工衛星でも作って、座標が完璧に分かるようにでもなればテレサの天下になりそう。
それまでに俺も何か世界から恐れられる技を開発しておかなければ。
眷属におんぶにだっこな魔王なんて嫌だ。
「今もそうか」
「? 何か言いましたか?」
「いや、所詮俺はなんちゃって魔王だったんだなと思い知らされただけ」
「はぁ」
グレースはいつもの病気かとでも納得したんだろう。怪訝そうな顔をしながらも、ウェインの所に向かった。
また玩具を増やす気かね。君の性欲も結構病気レベルなのでは? いや、病気じゃなくて依存症か。
最近は疲れ果てて、落ち着いてきたと思ってたのに、進化してから更に増してるように思える。
夜の戦いだけは負ける訳にはいかん。
「【感覚狂乱】の練習もしっかりしておこう」
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