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第五章 魔王討伐
第150話 ウェイン二度目の進化
しおりを挟む「マジでここ最近人類の味方になるような事しかしてないな」
「脅威が減っていってるのは確かですね」
中層攻略も佳境を迎えている。魔王からの音沙汰がなさ過ぎてちょっと怖い。
なんで好き放題させてくれるんだろ。
「半年かかって、やっと中層が終わりそうな感じか。どれだけ広い森なんだよ。魔物も多すぎるし」
「ダンジョンなんかよりはるかに効率が良いですね」
『腐死の森』からアンデッドがどんどんと減っていく。人類は大喜びだろう。勝手に俺がどんどん討伐していくんだから。
「なんかムカついてきたな。魔王討伐が終わったら、国を5.6個滅ぼすか」
「気分で滅ぼされる国々はとばっちりですね」
これで魔王討伐ととんとんになるだろ。
本当に魔王討伐をやろうと思ったら、それ以上の被害が出るかもしれないし。
優しい提案だと思いますね。
「勝手に魔王を討伐して、勝手に対価を要求される訳ですか」
そういう事になるね。礼はいらないよ。どういたしまして。
「それにしても、ここまで倒したのに進化したのは、魔物討伐に関係ないウェインだけか」
俺はブラッド・チェーンを振り回しながら、この半年を振り返る。
かなり経験値を稼いだから、魔物組が進化するかなと最近はずっとワクワクしてたんだけど。
誰もしない。俺はまだかかるしね。
「妲己やアシュラはこれ以上進化するんですかね?」
「知らぬ。妲己の天狐なんて、それ以上の存在を俺は知らないし。温羅なんて聞いた事もなかった」
妖狐や鬼なんて詳しく調べた事ないし。
これで終わりってのもありえるんだよな。
「一つ希望があるとすれば、妲己は尻尾が八本しか無いって事だな。前世では狐は九本って相場は決まってるんだ」
この異世界がそうとは限らないけど。でも可能性は高いと思っている。
「次で最終進化とかだから、必要経験値がかなり多いとか? 上位存在に聞いてみたいね」
あれから全く音沙汰のない上位存在。
俺は好きにしたら良いって言われてるけど、なんか目的はありそうなんだよね。
「まぁ、良いや。考えても分からんもんは分からん。今は魔王討伐に集中させてもらおう」
このままあっさり討伐までいきたい。
ワンパンでやられたりしてくれないかな。
「レト様ー! 出来たんだぞー!」
「え? 何が?」
狩りが終わって、いつものように影で休憩中。
進化してから、ますます生産にのめり込んでいるウェインが走ってやってきた。
こいつが今、なんの研究してるか知らない。理解出来ない事が多いんだよね。
だから好きにさせてたんだけど。俺、何か作って欲しいとか言ったかな。
常日頃から適当ぶっこいてるから、自分の発言を覚えていない。困ったちゃんですね全く。
『名前 ウェイン (眷属)
人種 ハイヒューム・ヴァンパイア・アーククラフター
Lv 200
【ユニークスキル】
創意工夫
【スキル】
身体強化Lv9
超級調合Lv2
超級錬金Lv4
超級裁縫Lv1
上級革工Lv7
上級木工Lv7
上級細工Lv9
上級料理Lv5
伐採Lv8
上級採取Lv8
上級採掘Lv3
超級付与Lv2
上級石工Lv6
上級彫金Lv2
建築Lv3
芸術Lv9
上級解体Lv2
植物学Lv9
鉱物学Lv9
生物学Lv8
魔物学Lv5 』
「じゃじゃーん!」
「お? おお!」
ウェインが魔法鞄から出してきたのは、俺の服だった。そういえばお願いしてたな。
「デザインはほぼ今のと変わらないんだぞ。レト様にはこだわりがあったみたいだし…」
初めての街で仕立ててもらった思い出の服だからな。あの店主は元気にしてるだろうか。
あそこの職人衆も腕が良かったけど、今のウェインには敵わない。
ちょこちょことグレースやテレサにお願いされて今でも作ってるみたいだしな。
因みに俺もグレース用に何度か作ってもらった事がある。
主に夜の戦と時に着てもらういやらしい服だが。
ナース服やミニスカポリスってなんであんなに興奮するんだろうな。不思議で仕方ない。
「糸はアラクネクイーンや金属糸を使ってるんだぞ! 今の素材で出来る限界まで頑張ったぞ!」
迷宮で出て来たアラクネさんか。ちょっと昔すぎてどこの迷宮で出たか思い出せないな。
戦った記憶もあんまりないや。
「見た目はそのままに防御力は格段にアップしてるんだぞ!」
よしよし。これはありがたいな。ちょっと気にしてたんだよね。俺、防具とかつけないからさ。
出来れば見た目を損なう事なく、防御力をアップさせたかったんだ。
「テレサ達の分も作ったから、これで魔王討伐を頑張って欲しいんだぞ!」
これは魔王討伐に追い風が吹きましたな。
俺達は武器は良いものを使ってるけど、防具は結構おざなりにしてたから。
グレースにも秘書っぽいスーツの性能アップ版を。盾とか装着するからちょっと見た目がファンタジーし過ぎてるけど。
テレサはローブだな。魔法少女みたいに三角帽子も被っている。どこぞの超越者に感化されたか。
アシュラとヴェガは鎧とかではなく、甚平みたいな姿だな。アシュラは鬼だからか、よく似合っている。ヴェガはあんまりだな…。見た目のせいか、これじゃない感がある。
鎧とかは鍛治施設がないとちょっとなぁ。今はそれで勘弁してもらおう。
「キュン!」
妲己は服とか着ないから何も無しだと思ってたら、ウェインはスカーフみたいなのを首に巻いてあげていた。
妲己が滅茶苦茶嬉しそうにしていてとても可愛い。妲己自身も自分には無いと思ってたんだろうな。ウェインの優しさかね。
「よーし! かなりやる気が出てきたぞ!」
この調子で中層から深層へ突っ走ってやろう。
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