サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第五章 魔王討伐

第156話 決着

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 「テレサ!」

 「とんでけーなの」

 魔王対魔王の戦い。
 もうちょっと楽に運べるかと思ってたのに。
 舐めすぎてた感があるな。

 「魔法の使い方うめぇ!」

 「クカカカカ!」

 今も特大の【暗黒魔法】をテレサに対処してもらう。マジで戦い方がお上手。
 本当に少しずつだけど、差は埋まってきてる。
 果たして、テレサの魔力中毒までに倒し切れるか。

 「妲己に【再生魔法】をかけてもらえば、解決する問題なんだけど。あれはずっと飲んでると味覚が馬鹿になるからな」

 現に既に三本目の魔力回復ポーションを飲んでいるテレサは顔が死んでいる。
 早く決着をつけたいけど、焦ってはダメだ。
 一つのミスが命取りになりかねん。

 「アノ 童女ガ 厄介ダノォ」

 そう言って矛先を俺からテレサに変えようとするエンペラー・リッチ。
 魔法をテレサに向けて連射してるのを、ブラッド・チェーンに弾かせる。
 それは流石に許せませんよーつって。

 「クカカカカ! 隙ガ 出来タノォ!」

 「いった! ふぐぐぐ!」

 庇いに行くのを読まれていたのか、あっさり方向転換して、俺に魔法をぶっ放してくる。
 ふむん。駆け引きでは俺はまだまだか。まぁ、確実に勝てそうな相手としか戦ってこなかった弊害ってやつですかねぇ。

 「オ主ハ スグニ 再生スルノ。不死身カ?」

 「死にそうになった事がないから分からんね!」

 「デハ 我ガ 試シテヤロウ」

 強者。圧倒的強者ムーブ。なんか魔王の貫禄的なのが滲み出てるんだよね。俺と何が違うんだろうか。

 「でかいでかいでかい!」

 「アノ 童女ハ 複数ノ魔法ヲ 消セルノカ?」

 「お前、魔力無限かよ」

 テレサの必殺技クラスの魔法をポンポンと撃ってくるんじゃありませんよ。
 魔力が切れる気配も見せないし。
 しかーし! うちのテレサちゃんを舐めてもらっては困りますよ!

 「消セルノカ。優秀ナ 事ダ」

 「災害の魔女を舐めてもらっては困るぜ!」

 ちょっときつそうだけど。今も死にそうな顔して魔力回復ポーションを飲んでるけど。
 因みに後から気付いたけど、現在人間の国々は大混乱らしい。
 テレサが適当に飛ばしてるからね。かなりの被害が出てるんじゃなかろうか。




 「よしよし! 掴めてきたぞ!」

 戦い始めて1時間は経ったと思う。
 やっと格闘戦が互角になってきた。ここまで俺の集中力が続いてるのには自分の事ながら驚く。

 「クカカカカ! コレハ 勝テヌカモ 知レヌノ!」

 「その割には楽しそうだな!」

 悪いけど、こっからは俺のターンだぜ!
 更に適応していけば、圧倒出来るのは時間の問題だからな。

 「我ノ 下僕モ ミナ ヤラレテ シマッタカ。優秀ナ 下僕ヲ 持ッテオルナ」

 「自慢の眷属達ですぅ!」

 喋りながらも戦う事をやめない。段々と骨に傷を付けれるようにもなってきた。
 この戦いで【音魔法】と【鬼魔纏鎧】の練度は爆上がりしてると思う。
 全然吸血鬼関係ないよね。あ、【再生】もだからギリギリセーフか。

 「シカシ 我ニ 苦戦シテル ヨウデハ オ主ニ 先ハ 無イゾ!」

 「え? 何? アドバイス? 急に良い奴ムーブするのやめてくれる? 物語じゃないんだから」

 倒しにくくなっちゃうじゃんね。いや、経験値が凄そうだから、俺の中では殺す気持ちが9割ぐらいあるんだけど。
 残りの1割は眷属にしてやろうか迷ってるぐらいかな。異能持ちだし。ユニークスキルみたいなもんでしょ? コレクションにしたい気持ちもあるんだよね。

 「話ヲ 聞キタイト 言ッタノハ オ主 デアロウ」

 「俺が完膚なきまでに叩きのめしてからな!」

 まだ互角から少し上回ったというレベル。
 もっともっと俺が高みの存在になれるための糧になってもらいますよ!

 「クカカカカ! 良カロウ! 心行クマデ 付キ合ッテヤル!」

 「とりあえずその余裕そうな面をぶっ飛ばしてやんよ!」

 だからその良い奴みたいなムーブはやめて頂きたい。少年ジャン○じゃないんだから。
 ライバルが実は…みたいな展開とか求めてない。

 そこから更に30分。
 既に俺の眷属達は残敵掃討も終わってるのか、少し離れた所で観戦している。
 ちょっと前からテレサの補助もいらなくなったから、テレサも一緒だ。
 死にそうな顔をして妲己に埋もれている。ちょっと今回は酷使しすぎたかな。
 戦い終わってから反省します。

 「クカ…クカカ。ソロソロ 限界ダノゥ」

 「はぁはぁ。俺も中々にきつい。こんなしんどくて楽しい戦いは初めてだ」

 エンペラー・リッチはボロボロだ。
 骨とか所々無い場所もあるし。

 俺もまあまあボロボロ。服なんて自動修復が仕事出来ないぐらいだ。せっかく新調したてなのに。
 またウェインに作ってもらわないと。

 「…モウ 我ノ 負ケデ 良カロウ。クカカカカ。負ケナンテ イツ以来カノ」

 「あー! 疲れた!」

 エンペラー・リッチが両手を挙げて降参のポーズ。それを見た瞬間、俺はその場に座り込んだ。
 気を抜いた。そう言ってもいい。
 戦いの場から一瞬目を切った。
 その瞬間。

 「こ、これは!?」

 「チッ! 忌々シイ! モウ 来ヨッタカ!」

 信じられない程の圧力。エンペラー・リッチの覇気なんてのと比べ物にならない。
 空から全長50mは超えているだろう、巨大生物が降り立った。
 解析するまでもない。見ただけで理解してしまう。

 「竜王」

 世界最強生物がやってきた。
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