サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

文字の大きさ
167 / 184
第六章 ゆるり旅

第163話 どうしようか

しおりを挟む

 
 「はいはーい。そろそろ注目ー」

 パンパンと手を叩き、無理矢理こちらに注意を向けさせる。
 アギャインが眷属になってから既に一週間。
 ウェイン達の話が途切れる事なく、ひたすら何かを話し合っていた。
 初めは楽しそうにしてたし、邪魔しちゃ悪いなって思ってたけど、全然話が終わる気配が見えない。

 俺達は麻雀やらで時間を潰してたけど、ひたすら負け続ける妲己ちゃんがもう灰になってしまって再起不能だ。
 今はグレースがブラッシングし続けて、テンションの回復を図ってる真っ最中。
 良い加減次の行動を起こしたいと思って、無理矢理話を中断させてもらった。

 「良イ所 ダッタンジャガノ」

 「もう一週間経ってんだよ。そろそろ動きたい訳」

 「一週間? そういえばお腹が空いたんだぞ?」

 「テレサもなの」

 「……」

 「ゴギャギャ」

 そう言ってお腹を抑えて俺をチラッと見る眷属一行。いや、アギャインは食べないらしいが。
 あざとく上目遣いなんてしちゃって。そうお願いすれば俺が簡単に了承すると知ってやがるな?
 誰に教わったんだ。妲己か? あいつは上目遣いの天才だからな。いらん事を教えおって。復活したらもう一回叩き潰してやろう。

 「分かった分かった。とりあえず簡単な物を作るから」

 俺の料理は何故か人気なんだ。
 前世のうろ覚え知識で適当に作ってるだけなんだが。俺よりスキルを覚えてるウェインのほうがよっぽど美味しそうに作ってくれると思うんだけどな。

 「ん? いや、アシュラは毎日食べてたじゃん」

 当たり前の様に混ざってたアシュラをスルーしそうになった。
 みんなと同じくお腹が空いてて当然みたいな顔で料理を待っている。

 「まっ、いっか。一人増えようが大して手間は変わらん」

 こいつらは食う量が半端ないので、かなりの作業にはなるんだけど。
 良いように使われた気もするけど、これも行動指針を決めるため。
 俺は慣れた手付きで食材を捌いていった。




 「よし。じゃあ改めて。これからの事について決めるぞ」

 ハンバーガーを大量生産して大量消費。
 お食事の時間が終わって一息つけたので、ようやく眷族会議が開催される。
 因みに、妲己は未だに意気消沈中。
 グレースに抱き抱えられながらの参加だ。

 「まず、定住出来る場所を探したい」

 「ココデ 良インジャ ナイノカ?」

 「海が無ぇ」

 国を作るかどうかはまだ迷ってるけど、どっちにしてもとりあえず海は欲しい。
 国を作ると、海の有る無しでだいぶ戦略は変わってくるし、作らなくても海の魔物の血は美味しいんだ。雑魚魔物ですら美味しいんだから、出来れば近くに欲しいところ。

 「で、定住出来る場所を見つけたら、ウェインにはこれでもかってぐらい立派なお城を作ってもらいたい」

 THE・魔王城ってのを作りたい。
 これも国を作る作らない関係なく欲しい。
 魔王が住んでるんだぞってのを分からせたい。
 そして恐れられたい。いつかアギャインを超える魔王っぷりを身に付けたい。

 「一人でやるならかなり時間がかかるんだぞ」

 「いや、そこは俺達も手伝うし。それに人手のアテはあるだろ?」

 俺はチラッとアギャインを見る。
 そのアギャインは妲己のサイズ変更の足環に興味津々そうだった。

 「ムッ? 成程。我ノ アンデッドカ」

 「いぐざくとりー」

 アギャインの【最上位アンデッド生成】。
 これ、俺の【眷属化】なんかより、よっぽど優れた能力なんだよね。
 何も無い所から魔力のみでアンデッドを作ることが出来る。素体さえあればノーコストで異能の【死霊術】でも手駒を作れる。
 しかも、絶対命令権付きで。
 さすが『群』の魔王って感じ。

 でも【最上位アンデッド生成】には難点もあって、この能力で作ったアンデッドは進化しない。
 【死霊術】で作ったアンデッドならするらしいけど。

 「フム。下級ノ 雑用ニ使ウ 程度ノ アンデッドナラ ホボ無限ニ 生ミ出セルゾ。使イ終ワッタ後ノ 処理ハ 面倒ダガ 殺シテシマエバ 多少ノ 経験値ニモ ナルダロウ」

 「おお。アギャインで永久機関出来るじゃん」

 アギャインが使ってた裏技的なのがあって、【最上位アンデッド生成】でアンデッドを作る。殺す。【死霊術】で復活させる。殺す。ってのを繰り返して、一時は経験値を稼いでたらしい。
 流石魔王。惚れ惚れする鬼畜っぷり。
 俺は自分の眷属を殺すような事はしないけど。

 「シカシ 繰リ返シヤルト 段々 得ラレル 経験値ガ   少ナク ナッテイクノジャ」

 まぁ、それでも破格な能力だよね。
 時間が出来たら是非眷属一同でやらせてもらおう。

 「って事で、人手に関してはアギャインに一任する。ウェインと相談して都合の良さそうなアンデッドを生み出してくれ」

 「ウム」

 「分かったんだぞ!」

 後はどこに住むかだな。こればっかりは地図がないとなぁ。

 「とりあえず適当に飛んであらゆる国の王都を見学しようか。どこの国よりも立派なお城を作ってもらう為には、ちゃんとお城を見ないといけないしな」

 異世界ぶらり旅といきますか。
 道中での休憩中に、紙に前世のお城の絵も描いておこう。
 図書館で世界のお城みたいな図鑑を読んでたからな。結構ハマった記憶がある。
 なんか見てて面白かったんだよね。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...