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第5章 甲子園へ
第108話 冬休み
しおりを挟む「体が重い。足が上がらない。全身バキバキ。起き上がるのもきつい」
冬休みが始まった。
野球部は休みの次の日から三十日まで合宿だ。
クリスマスイブとクリスマスは早めに練習終わるみたいだけど。
「合宿があるなら最初からデートは無理だったじゃん。ご飯行けるぐらいか。それでもハッピーなんだけど」
って事で、昨日の夜にご飯どうですかと渚ちゃんに連絡はしました。
返事はまだない。
俺の家に来た時にすっかり忘れてたのが悔やまれる。
ウルはしっかり神奈とご飯に行く約束をしてやがるらしい。
くそったれめ。すっかり兄離れしちゃって。
「いたたたた。筋肉痛がたまらんな。日によって筋トレする部位が違うから、全身満遍なく筋肉痛だぞ」
回復が追い付いてないと言いますか、回復したら即座に痛め付けてるから、一生筋肉痛なんだよな。
冬休みに入る前から、練習の強度を上げてたけど、休みになって更にキツくなってる。
「おはろー!!」
「はいはい、おはろー」
その中で一際元気なのがウルだ。
こいつもかなりきつい練習してる筈なのに、ピンピンしてる。
てか、体調不良以外で元気じゃない姿を見た事ないな。
体力無尽蔵かよ。
「お、おはよう」
「……ぉはよぅ」
そして、ウルとは正反対に死にそうなのが、キャプテンと金子だ。
キャプテンは復帰明けで筋肉を戻す所からだし、金子は体力不足克服の為にかなりきついトレーニングメニューらしい。
勿論、無茶なトレーニングではなく、母さんが監修した限界ギリギリのメニューだ。
「寝た気がしないんだよ。目を閉じた瞬間に朝になってる感じ」
「お疲れ様です」
地獄の合宿は始まったばかりなのにな。
まだ1週間以上もある。
死人が出たりしないだろうか。
「ふぐぉぉぉお!」
どの筋トレが一番きついか。
人によって答えは違うんだろうが、俺は脚トレがかなりきつい。
なんだろうな。
上半身の筋トレとは全然違うんだよね。
「ふははは! 生まれたての子鹿の様だな!」
「うるせぇ! お前も足ぷるぷるさせてるくせに!」
レオンと並んで、一緒になってやってるが煽り散らかしてくる。
俺と大差ない有様なくせによぉ。
こいつもこの冬はフォームを固めたりと、やる事が多いからな。
是非くたばってほしい。
「この後はバイク運動か。嫌になるな」
足腰も鍛えれるし、スタミナUPも出来る素晴らしい練習なんだが。
心拍数を計ったりと、色々面倒だけど、運動強度の調整次第ではダイエットが出来たり。
なんか5つのゾーンに分かれてと、難しい事を母さんは言っていたが、この練習は最近になってやっと野球界では注目してされ始めてきたらしい。
自転車界隈ではもっと昔からやってきた練習らしいが、こんな効率良く出来るのに何故もっと早くから取り入れなかったのか。
ほんと、上の年代の指導者は古臭いトレーニングが好きなんだなと実感するね。
新しいものに対する拒絶反応が凄い。
その点、母さんは大学時代に自転車トレーニングに興味を持ち、父さんに勧めたらしい。
どうも、打者より投手の方が効果は実感しやすいらしいけど。
まっ、その恩恵を俺が肖れてるから良いんだけどさ。
嬉しそうに毛細血管の拡張が~とか、酸素を効率良く吸収出来る体に~とか鼻息荒く、目をギンギンにしながら母さんに説明されたけど、専門用語が多過ぎて良く分からなかった。
俺は言われた通りに心拍数をチェックしながら、練習あるのみ。
最大心拍数の80%~90%を維持するのは、正直筋トレよりきつい。
でも、これが瞬発力向上や筋肉量が上がる練習らしいんだ。
投手には瞬発力は不可欠だしな。
自身のレベルアップの為にも頑張らないと。
応援ありがとうございます!
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