異世界に転生したので裏社会から支配する

Jaja

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第2章 抗争

第15話 制圧

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 「えぇー。思ったより少ないな」

 「す、すいやせん」

 生き残った男一人に酒場を案内させて、残りの物資やら金やらを確認する。
 俺が手を出さなくても潰される寸前だったから仕方ないか。俺が煽った結果でもあるんだし。

 「小さいながらも商会とツテがあるのはいいな。金さえ払えば、食料は手に入れられるんだよね?」

 「後ろ暗い組織って事で結構ぼったくられてやすが…」

 そこは後日話し合いだよね。とにかく食料を安定して手に入れられるのは大きい。
 辺境で魔物が多いからか、魔物肉は比較的安めに仕入れられる。
 あれは野菜も好きなので、それもいずれは仕入れたいところだけど。

 「まっ、いいや。とりあえずの拠点は手に入った。ここからは拡大フェーズだ」

 酒場一つとはいえ、拠点は拠点。少なくとも、俺の隠れ家よりは居心地は良いはずだ。
 早速、周辺から傘下に収めていきたい。

 「まずはカタリーナを呼ぶか。職業が指揮官だし、人を差配するのはお手のものだろ。転がってる奴らを含めて、契約だけして迎えに行くか」

 俺はとりあえずへこへことしてる目の前の男から、スリープで寝ている下っ端共を全員契約で縛っていく。
 中には拒否する奴もいたけど、交渉するのも面倒なのでそのまま殺した。
 すると、後の奴は簡単に従ってくれる。

 「よし。じゃあ迎えに行ってくる。とりあえずここを片付けてといて」

 あ、レベル2も上がってるじゃん。やっぱり人殺しの効率が良過ぎる。
 自重しないと、大量殺人鬼になってしまうぞ。なるべく闇組織の人間以外は殺したくないなぁ。




 「ただいま。成功したよ」

 「お疲れ様です」

 カタリーナは既に隠れ家を出る準備は済ませていた。まぁ、持っていく物なんて、魔石とお金ぐらいだからね。
 地下水道通いで集めた極小の魔石と、ここ最近抗争を起こす為に殺し回ったお陰で、下っ端が持っていた少量のお金がある。

 「一応酒場を手に入れたからな。仕入れやらなんやらでお金を使う事も増えるだろ」

 「粗末ですが、武器も一応持って行っておきますね」

 短剣とか錆びた長剣とかな。下っ端が持ってたやつだけど。とりあえず俺はまだ使わない。短剣は一応持ってるけどさ。

 因みに、カタリーナは空間魔法を使えるようになっている。
 俺の周りにいた精霊の何体かはカタリーナの側にいるようになったらしい。
 俺は見えないから分からないけど。容量は俺より小さいみたいだけど、既にアイテムボックスを使いこなしている。

 「一応これ被っといて」

 「異臭がします」

 酒場に居た奴が持っていたフード付きローブだからな。洗濯なんてしてないだろうし。
 カタリーナは目立つから、せめて少しぐらいはカモフラージュしておかないと。
 酒場についたら、契約で縛ってる奴しかいないから大丈夫だけど、道中は警戒しておかないとな。

 「レイモンド様に教わった歩法は素晴らしいですね。足音が全然しません」

 「情報様々だなぁ」

 あの無理矢理叩き込まれる感覚は嫌だけど。普通に痛いし。でも有用だから辞められない。クスリみたいだな。

 「あ、それと俺の名前はあんまり出さないで。今は目立つと面倒になりそうだから。これからもっと組織が大きくなるまでは、コソコソと勢力を拡大していくぞ」

 レイモンドって名前を知ってるスラムの人間がいるかもしれない。
 今は亡きマザーの知り合いとかな。あの母がレイモンド君の事を色々話したりしてるとは思えないけど念の為。

 「かしこまりました。とりあえずボスとお呼びしますね」

 ボス! 良いね! マフィアっぽい! まだちんちくりんだけど、いずれはそれに似合う風貌になりたいもんだ。
 髭を生やしたダンディズムなボスを目指そう。


 「前に住んでた所とそう変わらないですね」

 「それは言っちゃいけない。一応2階建てなんだぞ」

 酒場に到着してカタリーナが放った一言。
 仕方ないじゃんか。小さい組織だったんだし。

 「これから周辺も収めていくからな。そのうち良い感じの物件も手に入るだろ」

 「せめて、まともなベッドで寝たいですね」

 それな。ふかふかのベッドで寝たい。この体になってから、地べたでしか寝てないからなぁ。


 「はい。ちゅーもーく」

 俺は酒場に入って、片付けをしていたみんなの作業を中断させる。
 現在の構成員は約10名。ここからが俺のスタートだな。スラムからの成り上がり。夢があるぜ。

 「今日からこの酒場を仕切る事になりましたー。気軽にボスと呼んでくださーい」

 周りを見てみると怯えた視線しかない。
 まぁ、ちんちくりんなのが逆に恐怖を煽ってるかもな。前世で小学生が平気で人を殺して、荒くれ者達を纏めてたら普通にビビる。

 「こっちの女性は俺の側近。とにかく、こいつの事を口外したらそれだけで殺すので。しっかりと守って下さいねー」

 俺がそう言うとカタリーナはフードを取って姿を見せる。
 一同はかなり驚いてるみたいだな。今、スラムで話題沸騰中のエルフが居るんだからさもありなん。

 「カタリーナです」

 そ、素っ気なーい。大丈夫かな? 仲良くやれとは言わないけど、これから俺が居ない間は差配してもらう事になるんだけど。

 「まっ、いっか。なんとか上手くやるだろ。無理なら配置替えだ」

 秘書的な立ち位置になってほしいけど、それが無理なら寡黙な護衛でも良いや。
 今はまだ外に出す訳にはいかないけど。

 「さて。ぐずぐずしてると他の組織が攻めてくるからな。さっさと配置を決めちゃおう」

 俺が潰したとはいえ、それはまだ他の組織にはバレていないはず。
 三つの戦線を抱えている事だし、いつ敵が攻めてきてもおかしくない。
 鑑定して、そのこれからの仕事について話さないと。
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