18 / 129
第2章 抗争
第16話 拡大
しおりを挟むレッドなんちゃらとかいう組織を乗っ取った翌日。俺は早速職業を割り振っていた。
「君はそのまま酒場で頑張ってー。えーっと、農夫はどうしたもんか…。とりあえず一緒に酒場だな」
鑑定で職業を見て、最適そうな所に放り込む。
まぁまだ組織が小さすぎて、割り振れる所なんて酒場か鉄砲玉しか無いんだけどね。
「戦闘職が四人しかいないぞ。そんなもんなのかね」
「面白い職業も無しですか?」
ないなぁ。剣士とか槍士とか。スラムで何人か側近候補を探したいもんだ。
「とりあえず、今日から小さい組織を一つずつ潰していくぞ。せめてこの周辺は縄張りにして、安全を確保したい」
「私はどうしますか?」
カタリーナはなぁ。酒場待機しかないよね。
もっと大きい組織になったら、身元がバレても対抗出来るんだけど。
「もう少し我慢してくれ。人手が増えたからな。一気に拡大してやるぞ」
「かしこまりました」
「こんなもんか」
眼前には男が何人も倒れている。やった事は最初の組織を潰した時と一緒だ。
アジトを急襲して、何人かを殺して後は契約で縛る。自分の慣れ具合が怖い。
「ボス。これで全員みたいです」
「オッケー。じゃあさっさと契約しちゃうか」
勿論、反抗的な奴らもいた。そういう奴らは目の前で何人か殺してやると簡単に契約をしてくれとせがんでくる。
「これでとりあえずは落ち着くか」
「そうっすね」
組織を本格的に潰し回ってから一週間。
小さい組織ばかりだけど、合計で八個も吸収してしまった。
最初はこんな予定じゃなかったんだけど。
「俺が火種を蒔きすぎたかな」
レッドなんちゃらが抗争中だった組織を潰すと、その組織が別の所と揉めていて。
じゃあついでにその組織も吸収するかと、襲いに行けば、また別の組織と揉めていて。
結局落ち着くまでに八個も潰しちゃった訳だ。
「こんなに潰したのに構成員が五十人いるかいないかぐらいなんだよな」
「ボスが殺しすぎなんですわ」
素直に従ってくれないので。契約で縛るまでに大体一悶着あるからさ。仕方ないよね。
因みに、この俺についてきてる男。
職業は騎士である。能力値の上限は最高でBだったが、今までで一番使えそうだったので護衛として連れ回している。
カタリーナが何人か護衛を付けろってうるさいので。過保護エルフである。俺以外には塩対応だけど。
「ただいまー」
「おかえりなさいませ」
最初の拠点だった酒場に戻る。ここよりも立派な建物は潰した組織の中にあったんだけどね。
周りの縄張りは全部潰して味方にしたから安全なんだ。
「これでようやく落ち着くと思う」
「助かります。人数は増えてきましたが、質が悪すぎます。一旦ここで他の人員を少しは使えるレベルまで引き上げるべきでしょう」
それな。烏合の衆すぎて。
これから一大組織を築いていこうとしてるなら、最初が肝心だ。いつかは部門分けとかして、世界に展開していきたいね。この辺境伯領を足掛かりにするかは迷ってるけど。
「スパンダ帝国から出たいよな。あんまり評判が良い国じゃないみたいだし」
「せっかくここまで人員を増やしたのにですか?」
ここ最近、潰して回った組織の人間からカタリーナは情報を吸い出して簡単に纏めてくれてるんだけど、この国はまぁまぁ腐ってるみたいだ。
ラノベとかである悪役貴族がこの国の標準らしい。平民を人として見てないとか。貴族が率先して違法奴隷を持って来いと依頼してるとか。
まぁ、一方向からの情報だけじゃ正確性は微妙だけど。恨み辛みで適当に言ってるだけかもしれんし。
「いや、出て行くなら全員連れて行くぞ。ここに拠点を残しておいてもいいけど…」
「目が届かないのは不安ですか」
もっと優秀な人間がたくさんいるなら良いんだけどね。これだけ潰して使えそうなのは騎士の男一人だからな。
切り捨てるのもありだけど、せっかくここまで頭数増やしたし。
新天地に行くにしても、これだけ人員がいるなら最初から少しは楽を出来るだろう。
「その為に最低限使えるレベルに引き上げたい。何人か冒険者登録させて魔物狩りでもしてきてもらうか?」
「いえ。この実力なら遠からず死ぬ事になるかと」
あ、この領地は魔物の質が高いんだっけ。ビギナーが調子に乗って挑める感じじゃないんだった。
「職業と能力値が見えてもなぁ。いや、充分強いんだけど」
最初にカタリーナを味方にしたのが良くなかった。もう側近にするならカタリーナレベルが基準になってしまっている。
そんな人材そうそう居ないだろうに。
「うし。後の事は後で考えよう」
「私はこのままここで指揮を取りますね」
とりあえずはここで頑張ろう。
そのうちびっくりするような人材とも出会うだろう。こういうのは意識してたらいけない。
物欲センサーが反応してしまうからな。
「ボス。どこの組織が姉御を狙ってるか分かりました」
気合いを入れて頑張るぞと思ってたら、下っ端の一人が報告にきた。
カタリーナは何故か姉御と呼ばれている。カタリーナは姉御っぽくないんだけどさ。
俺の女という扱いになってるんだよね。手を出してないのに。精通してないのに。
22
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる