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第2章 抗争
第20話 縄張り
しおりを挟む「大混乱っすよ。特にボスのキレ具合が半端ないっす」
「そりゃそうだよな」
ラブジーの屋敷を荒らした翌日。
ぎゅうぎゅう詰めの隠れ家で、動向を探ってると潜入させていた詐欺師の男が帰ってきた。
空間魔法なんて知られてないからな。何もかも無くなってる屋敷なんて想像してなかっただろう。
これで結構な人数が盗みに来たんだと勘違いしてくれると助かる。
「縄張りに帰るなら今っすよ。レーヴァンの縄張りを荒らし回って来て、死傷者も何人か出たらしいっすけど、半日ぐらい休んでから次は屋敷に盗みに入ったと偽装した組織を襲いに行くらしいっす」
「ふむん。なら急いで戻ろう。眠たいし。何ルートかに別れて尾行に気をつけながら帰るぞ」
「俺はどうしますか? 潜入を続けた方がいいっすかね?」
「いや、一緒に戻るぞ。もうラブジーに用は無いし。これから襲撃に行くんだろ? お前も連れて行かれて死なれたら困る」
ラブジーはこれから滅茶苦茶大変な事になるだろう。物資も金も武器もない。
それなのに、レーヴァンと中堅組織との戦線を抱え込まないといけない。
大きい組織だからすぐに壊滅とはいかないだろうけど、最早衰退していくのは時間の問題だ。
その隙を上手く突いて、あの屋敷を手に入れたい。それまでに俺達の組織をもう少し大きくしておかないとな。
詐欺師の男…サギ男も一緒に連れ帰る。
こいつは今回一番活躍してくれたと言っても過言ではない。優秀って事が良くわかった。潜入させる時とかにかなり役に立つ。
こいつはアジト内でなるべく目立たないように隠しておいて、色んな所に潜入してもらうのが良さそうだ。とりあえず帰ったら、しっかりと褒美を用意しておこう。
サギ男だけじゃなくて、今回襲撃に参加した奴にもあげるけど。信賞必罰は大事です。
こうして俺達は縄張りに帰還した。
一応、隠れ家に何人か置いておくけど。ラブジーの動向を遠目からでも確認はしておいてほしいし。
「ふぃー。今回も疲れたなぁ」
「お疲れ様です」
縄張りの酒場に帰って来てからも忙しかった。
空き巣の成功を報告して、襲撃組には褒美としてお金やらお酒を進呈。
待機組は羨ましそうにしてたけど、君達にも活躍の機会はまだまだあるから頑張って欲しい。
「連れ帰って来た女性達はどう?」
「怯えはありましたけどね。ラブジーで働いてたという事もあって順応するのが早いです。明日から早速働いてもらいます。後で名前と職業と能力値を記載した資料を用意しておいて下さい。私が割り振っておきます」
カタリーナは現在、俺が持ち帰ってきた資料をまとめてくれている。
いつもなら文字の読み書き練習ついでに俺も手伝うんだけど、今日はお休みだ。
「縄張りに異変はなかった?」
「いつも通りですね。ピリピリしてるのは変わりありませんが」
とうとう二大巨頭が動いたからなぁ。無理矢理動かしたんだけど。レーヴァンもやられっぱなしじゃいられないだろうし。
ここからどれだけどさくさに紛れて縄張りを増やしていけるかが重要になりそう。
「縄張りも増やしたいけど、もう俺達の周りは中堅組織しか残ってないんだよな」
「小さい組織は今襲いに行っても縄張りが飛び地になってしまいますからね」
それな。今の俺達に飛び地を管理出来るほどの余裕はない。人数と優秀な人材が足りてなさすぎる。
カタリーナがなんとか上手く差配してくれてるけど、中堅組織に狙われたらまぁまぁやばい状況なんだよね。
「なんとか注意を俺達から逸らさないと。近くの組織には手を出さないようにしてるけど、それも時間の問題なんだよな」
「私達が居る所だけ静か過ぎるのも怪しいですからね。塩梅が難しいところです」
俺達の縄張りは現在、食堂が一つ、酒場が二つ、宿屋が二つある。後はその施設周辺の空き地を支配してる感じだ。これだけ見ると結構広そうに思えるけど、この領地はスラムが広過ぎる。
小さい組織と中堅組織の間ぐらいの規模なんだよね。
比較的表通りと近い事もあって、金のない低ランク冒険者達が利用するから実入りは悪くない。
宿屋なんて安めに設定してるから、結構満室な時があるくらいだ。
俺が拠点にしている酒場はほとんど誰も来ないけど。常に俺の組織の人間が屯してるからね。
「賭場とか作りたいけどまだ早いよな」
「情報ではこれだけ広いスラムに一つしかありませんからね。レーヴァンが仕切ってるみたいですし、利権を奪ってしまうと抗争の火種になるかと。それに問題を起こした時に対応する用心棒の役割が出来る人間がいません」
俺達の組織、戦闘員弱いもんね。今回の襲撃でレベルが上がった奴もいるけど。
それでも元が弱いからなぁ。俺が動かなくても、指示だけで組織を潰せるぐらい強くなるには、かなりの時間がかかりそう。
早く楽をしたいんだけど。まぁ、今の俺は弱いからね。戦いに参加すればその分強くなるから良いんだけど。
「いつまでもこんなちんちくりん頼りのワンマンチームは良くないよな」
「私達の縄張りに空き地が増えてきましたし、スラムの孤児を回収しに行きますか? 教育するなら早い方がいいですし、優秀な人材が居るかもしれませんよ」
「それはそうだけど。守りきれるかね? 最初は俺達の保護が必要だろ? 今の俺達にそこまで余裕は無いんだけど」
いつかは回収するから早い方が良いのは確かなんだけど。一回保護したら守りきらないと、俺のメンタル的にきつい事になっちゃうからなぁ。
でも先延ばしし過ぎるのも良くないし、俺も覚悟を決めるべきですかね。
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