異世界に転生したので裏社会から支配する

Jaja

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第2章 抗争

第31話 佳境

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 周りの中堅組織の一つに喧嘩を売ってから五日。
 無事、幹部やらボスを生け捕りにする事に成功。

 「ちっ。結構被害出たな」

 「真正面からのぶつかり合いですからね」

 抗争に勝利はしたものの、こちらの死者の数は二桁超え。
 少し喋った事もある奴も死んでたので、ちょっとメンタルにダメージがある。

 「それ以上の数は確保出来たとはいえ、どうにかして被害は減らしたいもんだよな」

 「っすね」

 護衛の騎士の男は俺と一緒に修羅場を潜り抜けてるからか、素早さと攻撃力がCになっている。
 多分今なら俺より強いよね。

 「俺はまだD止まりなんだけどな。なんでなんだろ。大器晩成型とか早熟型とか人によって差があるのかな」

 レベルの上限値によって違うのかしらん。
 騎士の男は上限200だし。
 っていうか、俺みたいに999まである奴を見た事がない。
 カタリーナとか他の恩恵持ちの子供ですら、456が上限だし。

 「まっ、いいや。さっさと契約しちゃおう。この後にもう一つ攻めないといけないんだ」

 次は真正面からじゃなくて、少し小細工してから攻めよう。戦意を挫くか、ゲリラ戦を展開するか。
 ちょっと急いでるから、ゲリラ戦をしてる余裕はないんだけど。
 これだけ被害が出るなら、少し時間を掛けてもゆっくりやった方がいい気がする。

 「はいはい。抵抗しないよー。負けたんだから、素直に従ってよねー」

 俺が契約をして回ると、ボスや幹部連中は大人しいのに、下っ端が騒ぎ出す。
 こういう時は見せしめに一人を惨たらしく殺す事にしている。数が減って勿体無いんだけどね。
 我がクトゥルフはアットホームな職場になってるから。従ってみたら案外悪い所じゃないよ?



 「お疲れ様です」

 「レイモンドー!」

 「ぐっ!」

 いつもの様に酒場に戻ると、カタリーナや子供達が出迎えてくれた。
 ローザが思いっきり突っ込んできて、鳩尾に頭突きを喰らってしまったが。

 「ポーションはどうだったかな?」

 「おおー。あれのお陰で俺がフォローに回る回数は減ったな。それでも重傷は治せないから、何人かにヒールはしたけど」

 「みんな帰ってきてる? 使用感を聞いてみたい」

 「良いけど、ちゃんと護衛付きで行けよ。それと安全な縄張りからは出ない事」

 「分かった」

 騎士の男に目線で護衛をお願いすると、心得たとばかりに頷いて、エリザベスを抱き上げる。
 この子まだ6歳だからね。

 「このまま隣接してる所では最後の中堅組織も攻める予定ですか?」

 「うん。ここを落とすと、また周りに敵は出来るけど、小さいの数個だけだし。スラムの組織もだいぶ減ってきたな」

 「ボスがかなり吸収してますからね。そろそろレーヴァンかラブジーのどちらから接触があるかもしれませんね」

 ホルトはここ最近のスラムの情勢も、商会の勉強と併行して学んでるらしく、かなり賢くなっている。カタリーナも大助かりだろう。

 で、来るとしたらレーヴァンかなぁ。
 ラブジーは正直、それどころじゃないだろうし。
 いや、味方に引き入れる為に交渉に来る可能性があるか。ラブジーには味方しないけど。

 「ラブジーと揉めていた中堅組織がまもやくやられそうとの情報が入っています。いかが致しますか?」

 「うーん。縄張りは間に一つ組織を挟んでるから飛び地になるんだよねぇ。で、中堅組織が落ちるとその間の組織がラブジーとの最前線になる訳で。ここは残しておいて緩衝材にしたいところ」

 「って事は無視ですか?」

 迷う。人手と物資系だけ回収出来ないかな。
 ラブジーには物資を回したくないし。このまま干上がってくれたら万々歳だ。

 「いや、あそこの中堅組織の人手はダメだな。俺が罪を着せた事がバレちゃうか。って事は経験値の為に狩りに行って、物資だけを回収する感じで」

 「少数で向かうって事ですか?」

 「うん。やられそうって事は、人員も少ないんだろ? 俺と何人かで奇襲して一気に決めちゃおう」

 少し寄り道になっちゃうけど、ここは漁夫らせてもらおう。
 罪を着せられて、散々戦わされた挙句に経験値にされる皆さんには同情するが、ここは俺の将来の為の礎になってもらおう。

 「そうと決まれば夜明けごろに出発だ。ラブジーが仕留める前に行かないと」

 「戦闘員を選抜しておきます」

 さっき抗争から帰ってきたばっかりでハードルスケジュールになるけど、頑張ってもらおう。
 報酬は弾みますからね。



 「初っ端はフラッシュで怯ませるぞ。目を閉じとけよ。その後はスピード勝負。さっと殺って、さっと盗んで帰るぞ」

 「「「了解」」」

 我がクトゥルフの腕利き10人と俺で奇襲をかける。中堅組織は満身創痍で、一つのアジトに固まってるらしく、俺達からしたら好都合だ。

 「フラッシュ」

 「行くぞ!」

 アジトに踏み込んだ瞬間に目眩し。
 俺が魔法を使った瞬間、戦闘員がアジトに流れ込んでいく。

 「くそっ! ラブジーの奴らか!」

 「もう踏み込んできやがった!」

 「わははは! ラブジーを舐めるなよ! 屋敷から持っていった物を返してもらおうか!」

 なんか勘違いしてるみたいなので、それに乗っかる。ほんと、この組織は可哀想だよね。

 「レーザー」

 「うぐっ」

 「屋敷から盗んだもんを出しやがれ!」

 「俺達は知らねぇつってんだろ!」

 「この期に及んでまだ誤魔化すのか! その心意気や良し! 俺達が引導を渡してやる!」

 わははは。なんか楽しくなってきたぜ。
 俳優さんとかこんな気持ちなんだろうか。
 こんなガバガバな作戦でも上手くいってると気持ち良くなっちゃうね。

 「ボス。遊んでねぇで、さっさと片付けて下せぇ。いつ本物が来るか分かりやせんよ」

 「おっと。そうだったな。レーザー」

 指先から光魔法を射出して、さっさと仕留める。
 俺が遊んでる間に他のメンツは戦闘が終わってたみたいだ。

 「ボス。俺達で物資を集めてきやす」

 「お願いね。ネコババはポケットに入るだけの数にするんだよ」

 「うっす」

 今日はみんな働きすぎだからな。
 こういう役得があっても良いだろう。
 俺も疲れたし。早く帰って寝たいです。
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