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第3章 勢力増強
第53話 中層へ
しおりを挟む「うーん。面白くないなぁ」
抗争が終わってからは穏やかな日常が続いている。それは良い事だ。この間にうちの組織はどんどん強くなるんだから。
でもなぁ。
「毎日同じ事の繰り返し。俺が思い描いてたマフィアのボスはこんなんじゃないんだけど」
「ボス。手が止まってますよ」
羽ペンを鼻と唇で挟み文句を垂れてるとカタリーナに怒られた。
だって飽きたもん。ちょっとぐらい休憩しても良いじゃんか。
「書類処理して鍛錬して寝て起きての繰り返し。偶に外に行って魔物を狩るのが唯一の楽しみってなんなんだろうね」
「書類仕事が出来る人が育つまでの辛抱です」
「そう言ってもう半年ぐらい経ってるんだけど?」
詐欺男が賭場に向かってから三ヶ月が経過した。
ホルトの進言通り、中堅商会を夜中に襲撃して表向きは俺達の商会と関係ない組織として、情報収集を頑張って貰っている。
その商会からは仕入れもしてないし、下っ端も近寄らせてないからバレてない筈だ。
情報を貰う時は別の商人経由で貰っている。
「俺の現代知識のお陰でだいぶ簡略化されてるはずなんだけどな」
「ボスは簡単に文字を覚えましたけど、普通は時間がかかるものですからね。最初から文字を覚えてくれていたらもっと早かったんですが」
日本語よりは簡単だったから。
法則さえ分かればすぐに覚えられたよね。
一つの文字に馬鹿みたいに意味を詰め込んだりしてないしさ。
「予定ではもっとレベルが上がってる予定だったんだ」
「積極的に外に出てる組はレベル50を超え始めましたからね。もう少しで追いつかれそうです」
それな。ボスが部下より弱いってのは避けたい。
いや、今のところ将来的にはローザが最強になるっぽいけど。素早さEXって。魔法当たる気がしないんだが。
「もう少し外に出る機会を増やしたい」
「なら書類処理を頑張って下さい。ぐちぐち言ってても減りませんよ」
その通りですね。すみません。頑張ります。
「今月は三人か。人前ではなるべく使うなよ。どこにスパイやらが隠れてるか分からんからな。じゃあ精進するように」
月に一回、戦闘部門と情報部門を集めて鑑定で能力チェックをしている。
能力値がCを超えていたら魔法を教えるためだ。
今月は新たに三人Cを超えた奴が増えた。
着実に戦力増強が出来てるなと思います。
「よし。じゃあ行くか」
戦闘部門からの報告で浅層は問題なく対処出来るようになってきたので、上位陣がもう少し奥に進む許可を貰いにきた。
浅層最強のベア系も一人で処理出来るぐらいにはエリートになったらしい。
しかし、冒険者の情報では中層は格が違うらしい。ベア系の魔物クラスが群れで襲いかかってくるとか。
って事で今日は様子見も兼ねて、俺は回復役として随行する。カタリーナもね。
「ってか、ベア系をソロで処理出来るって普通に強くない? 俺も対処出来るようになったの最近なんだけど」
「私がソロを諦めたのはベアの処理が面倒だったからですからね。魔法耐性も備えてますし、本当に厄介でした」
上位陣はそろそろレーヴァンの幹部とタメ張れるのでは? こいつら、狩った魔物の七割が自分のお金になるからって休日返上で稼ぎまくってるらしいからな。モチベーションになってくれてるなら良いけどさ。休日はしっかり休んでもらわないと。
その辺の指導もしていかないとな。
「戦闘部門の給料を見直すべきですね。内政をしてる部署との格差が激しいです」
「でも戦闘部門が頑張ってる結果だから良い事なんじゃない?」
「文官仕事はボーナスとかがないですからね。戦闘部門なら抗争に出る事や魔物を狩る事で臨時収入を得られますが、文官はそういうのがありません」
「うーん。命の危険もある訳だし…。じゃあ戦闘部門の月給を少し減らして、文官の月給を上げようか。戦闘部門は稼ぎたければより一層頑張るだろ」
「それでよろしいかと」
「じゃあ帰ったらみんなにその情報を回しといてよ。でも戦闘部門はくれぐれも無理しないように言っといてね。お金に目が眩んで無茶な戦闘を繰り返して人員が減るのは避けたい」
「かしこまりました」
物語でも文官と軍官はよく仲が悪く書かれてるもんなぁ。俺達の組織はそういう事にならないように、今のうちにから試行錯誤していかないと。
カタリーナと組織の事を考えつつ、地下水道を抜けると外の川沿いへ。
「じゃあまずは肩慣らしで何回か戦ってから奥に進んでみようか。今日はあくまでも様子見だからね」
一緒に着いてきていた、戦闘部門の上位陣が戦っていくのを眺める。
普通に戦い方が洗練されてて驚く。
なんて言うか、スラムの抗争はなんかチャンバラみたいな感じだったのに、ちゃんと戦いになってると言いますか。
「職業補正が大きいのかな。やっぱり鑑定さんは異世界ではチートスキルなんよ」
「複職で職業の情報を得られるのも大きいと思いますけどね」
俺の恩恵は両方ともチートだったという事で。
恩恵二つ持ちってそういえば普通にありえる事なのかな? 転生特典だったり?
神様からアクションがないからそういう情報が一切分かりませぬ。
まぁ、使えるものはなんでも使う主義なんで、ありがたく使わせてもらいますけどね。
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
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