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第3章 勢力増強
第65話 14歳
しおりを挟む娼婦やら男娼って職業があるのには驚いた。
一応男娼を取得してみて情報は得たけど、初めてその職業持ちを見た時は本人に伝えるべきかかなり迷った。
いくら異世界で慣れてきたとはいえ、配下の人間に体を売ってみないかとは、とてもじゃないけど言えない。
って事でカタリーナに相談してみた。
「ボスの世界ではどうだったか知りませんが、この世界で娼婦と男娼はそこまで忌避されてる職業ではありませんよ。勿論、店舗に所属せずに、道端で売ってるようなのは、また話が違いますが」
との事らしい。
俺の母親は大分苦労してたみたいなんだけど。
店舗に所属してなかったのかな。
とりあえずカタリーナの事を信じて、その職業持ちを集めてみた。不思議とその職業持ちは容姿とスタイルが整ってるんだよなぁ。
そんな所にも職業の影響は出るんだろうか。情報には無かったんだけど。……俺も隙を見て取得しておきたい。今もそれなりに整ってる顔だけど、それ以上になれるならそれに越した事は無い。
で、話してみた結果。反応は悪くなかった。
むしろ、高給取りになれる可能性があると分かり喜んでるくらいだ。
なので、非道な扱いはしないし、させない事を約束して縄張り内に娼館を建てる事になった。
前世の風俗知識が火を吹くぜ。現代では普通レベルだった風俗が異世界では高級娼館に様変わり。
かなりの利益を期待してる施設になります。
そんな事はさておき。ホルトとの話し合いから暫くして、スラムの俺達の縄張りを表通りと遜色ない場所にしよう大作戦はホルト主導の元に始動した。
あの子もまだ10歳なんだけどね…。本人が働きたがってるし、優秀だからいいかと好きな様にやらせてみてるけど、遊んだりしたくないんだろうか。
「てい! てい! てーい!」
ローザを見てみろ。いつも遊んでるぞ。
いや、ローザはこれは仕事なのか。
体を動かす系は真面目にやってるしな。
「やっと出来るようになったよ! 一度慣れたら簡単だね!」
「戦闘学習すげぇ」
身体強化に手こずっていたローザだが、あれから毎日の様に手を繋いで過ごしてたら、いつの間にか俺と遜色ないレベルの身体強化が出来るようになっていた。才能とは残酷である。
俺はこの練度になるまで苦労したのに。
「調子に乗って中層に挑んだりするなよ」
「分かってるよ! 約束を破ったらカタリーナに外出禁止を一週間って言われてるからね! 絶対に破らない!」
外でアクティブに動きたいローザからすると、この罰はかなり効果的らしい。
勉強もなんとか逃げ出さずになったとか。授業中は寝てるらしいけど。
まぁ、一歩前進だよね。
それから月日が流れて。
「レイモンド14歳。いえーい」
段々とあったかくなってきて、気付いたら年齢が14歳になっていた。
身長も170cm近くなってるんじゃないかな。前世基準だと大きい方なんだけど、異世界は食事情が悪いくせに体が大きい人が多い。
だから平均よりちょい大きいぐらいなんだよね。
「じゃあ行ってくる」
「お気を付けて。万が一の時は…」
「転移を使ってでも脱出してくるよ。賭場からうちの縄張りまでぐらいの距離ならなんとか跳べるようになったからね」
レイモンド君。いよいよ賭場に潜入するのである。詐欺男に先導してもらう予定だけど、何があるか分からない。
順調だって言ってたけど、もしかしたら泳がされてるだけかもしれないしね。
「アンジーが拝めるといいけど」
☆★☆★☆★
「んん?」
賭場の関係者以外立ち入り禁止の一室にて。
部下と賭け事に乗じていたアンジーは首を傾げる。
「どうかしやしたか?」
「ちょっとなんか…嫌な感じねぇ」
何か胸騒ぎがする。そんな感じだった。
アンジーはその原因を探る為に、賭場で遊んでる客にバレない様に見て回る。
実力者にはバレてしまう程度の隠密行動だったが、幸い気付かれた様子はない。
そして一通り見回り、元の部屋に戻ってくる。
「6番卓で遊んでる客を調べて」
「了解っす」
気になったのは一人の男性客。
身なりは商家の坊ちゃんという感じで、勝ったり負けたりを繰り返し愛想良く楽しんでいる。
部下から見ると特に普通の優良客だったのだが、レーヴァンのボスは違うらしい。
部下はまたいつもの勘かと深く聞きはせずに言われた事を遂行する。
このボスが致命的なミスをした事は一度もないのだ。
それから三日。
男の情報が出揃った。
「表の商会の妾の子らしいっす。ここで賭け事をやって、お金が無くなればその商会に金をせびりに行ってるみたいっすね。その他は特に怪しい行動はありません。一応泊まってる宿も調べてあります」
「そう。これからはあの客が来たら注視しておいて。なんだか変だわ。危険は無いと思うのだけれど」
「了解っす」
それから暫く。
男は二日に一回ぐらいのペースで遊びに来ては、勝った負けたを繰り返す。
そしてお金が無くなれば商会へ。
そんな日々が続いて、流石のアンジーも勘違いだったのかと思い始めた頃だった。
「全員。動ける人間は戦闘準備をしておきなさい」
「姉御?」
「今日は特大に嫌な予感がするわ。対応を間違えばかなり被害が出そう。いつでも出れる様に準備しておきなさい」
「りょ、了解っす」
ある日。ボスが急に立ち上がり、まるで戦場にいるような雰囲気を醸し出す。
いつもは妖艶とした表情を崩さないのに、かなり真剣な表情で部下に矢継ぎ早に指示を出す。
そしてやってきたのはいつもの商家の坊ちゃん。
いつもと少し違うのは、おどおどとした雰囲気の一人の若い男性を連れてる事だろう。
「ブ、ブリムリーさん。ここ、ほんとに大丈夫なんすか?」
「あははは。俺に任せておけ。これでも結構常連なんだよ?」
身なりからして新人冒険者。大方商家の坊ちゃんが悪い遊びを教えにきた。そんな感じだろうと思ってたのだが。
「姉御!?」
滅多に人前に出ないアンジーが、おもむろにその二人組に近付いた。
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