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第4章 雌伏の時
第93話 温泉
しおりを挟む「いいか! 貴様ら! 此度のミッションは今までのどの仕事よりも重大なモノになる! 全身全霊で事に当たれ!!」
「「「いえす! ボス!!」」」
「よし! 掘れ!!」
「「「うおおおおおっ!!」」」
俺は目の前の部下達を叱咤激励する。
カタリーナが呆れた目で見てくるけど、気にしない。魂が日本人の俺からしたら重要な事なのだ。
「土魔法に適性がないのがこんなに歯痒いとはな…」
「ノーム。お願いします」
今、俺達がやってるのは温泉堀りだ。
カタリーナに調べてもらったところ、岩山付近に湯脈があるらしい。土の精霊が優秀すぎる。
温泉が出るなら掘らねばなるまいと、壁作りの人員以外のほとんどをここに投入。
生産部と商業部の奴らが引いてくれた図面通りにどんどん作業していく。目指すは温泉宿。
俺専用のでかい浴場も作ってもらう予定だし、楽しみで仕方ない。
鉱石の抽出が終わったし、早く岩山を居住区にしたいんだけどね。欲望を我慢出来ませんでした。
でも、優先する価値はあると証明してみせますぜ。温泉は命の洗濯ですからな。
「うはははは! 素晴らしい!」
「趣のある建物ですね」
前世の旅館をイメージして作ってもらったからね。一ヶ月の工期で良くやってくれました。
職業補正と魔法が優秀すぎる。重機が要らないんだもん。この辺は現代より凄いよね。
旅館をイメージして作ったものの、ここに寝泊まりするスペースはない。
某作品みたいに、温泉商売する気もないしね。
この秘密基地にはクトゥルフの人員以外入れる予定はないし。
休憩というか、軽く寝転べるスペースは用意してるけど。あれだ。見た目旅館の銭湯だと思ってくれれば良い。男女別と俺専用の三つに別れてるけどね。
「者共! 今日は休暇だ! 存分に英気を養ってくれたまえ!!」
こんな素晴らしい温泉が出来たのに、働いてる場合じゃあるまいて。
今日は全ての作業を中止してどんちゃん騒ぎだ。
壁がまだ完成してないから、魔物が入ってこないか見回る人員は必要だけど、それ以外は飲めや食えやのお祭りだ。
見回りの人員には後で別に休暇と褒賞を用意しておかないとな。
「あー」
そして俺はみんながどんちゃん騒ぎをしてる間にスススっと抜け出して、一人で俺専用の温泉に入っていた。
「気持ちいいー」
露天風呂と内風呂の二つを用意してあるけど、こうなってくると欲が出てくるな。
殺風景なのが頂けない。これは後で要相談だ。
俺はボケーっとしながら半身浴してると、ガラガラガラと扉が開く音が聞こえる。
むむむ? ここは俺専用だぞ? ローザ辺りがイタズラしに来たかと、そちらを見てみると…。
「失礼します」
「お邪魔するわねぇ」
タオルすら纏わず堂々と裸でカタリーナとアンジーが入ってきたのだ。
これにはクトゥルフのボスたる俺ちゃんは大慌てである。勿論、顔には出さない。
素晴らしい女体を見てレイモンドのレイモンドが元気になったから、すぐさま逃げる事も出来ない。
「ゆ、ゆっくりして行ってくれ」
なるべくいつも通りを心掛けたけどダメだな。
声が裏返った。仕方ない。だって俺、今世は童貞だもの。しかも目の前にいる女性達は前世で俺が関わる事がなかったような美人だ。
いくらカタリーナに胸がないとはいえ、美人なのである。アンジーは素晴らしい身体をしてるしさ。
耐性のないレイモンド君なんてイチコロである。
「いい湯ですね」
「気持ちいいわぁ」
二人は俺を挟むようにして入浴。
広いスペースなんだから、こんなに近付く必要はないと思うんだけど。てか、マジで限界なんだけど。幸い、レイモンドのレイモンドがレイモンドしてるのは、お湯が白みがかってるからバレてないけども。理性の方が限界である。
その後の展開はご想像にお任せする。
でもまぁ、男娼の職業能力が非常に役に立ったとだけは言っておこう。至福の時間を過ごさせて頂きました。
「仕事にはメリハリが大事! 昨日あれだけどんちゃん騒ぎしたんだ。今日からは急ピッチで、それでいて丁寧に岩山の方も着手していくぞ!」
大人になった俺は絶好調である。
壁作りと並行して岩山の大改造をしていく。
本当は壁作りを優先したかったんだけどね。結構手が空いてる人が居たので。
「この居住区が完成したらどうしますか?」
「とりあえず隣国に行くかな。そこから、裏社会支配のやり直しだ」
岩山大改造の風景を見ていたホルトが今後の展望を聞いてきた。
とりあえずは隣国に行って商会を作る。所謂フロント企業ってやつだな。
「ボスが商会長になるんですよね?」
「形だけな。実務は部下とかお前にぶん投げる。俺は頭使うより、体を動かしてる方が良い」
多少口出しはするけどね。
この前、適当に考え過ぎて反省しました。
今までが上手くいってたからって、諸々が雑過ぎたよね。今度から思慮深く行動します。
努力目標ね。達成出来るとは言ってない。
「まぁ、秘密基地から出るにしてももうちょっと先かな。エリザベスにお願いしてる魔道具作りが難航してるらしいし」
「僕は原理しか聞いてませんが…。もし本当にあんな魔道具が作れるなら、この世界は一変してしまいますよ」
良いじゃん。裏社会を支配しようとしてる俺達にはピッタリじゃん。
目指せ。孤児0の世界。大人は知らん。大人なんだから自分でなんとかしてくれ。
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