異世界に転生したので裏社会から支配する

Jaja

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第5章 クトゥルフ再始動

第99話 馬車旅

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 「ちょっと。いくらなんでもズルすぎるよ」

 「そうは言ってもねぇ…。なんか分かっちゃうんだもの。わざと負けるのも違うでしょ?」

 「それはそうだけどさ…。なんか納得いかないよね」

 馬車旅はすこぶる順調。
 今はみんなでトランプのババ抜きをやっている。
 しかし、すぐにこの遊びの欠陥に気付いてしまった。あのね。アンジーが強すぎるの。毎回毎回ジョーカーを避けやがって。都合良く超直感が発動しやがるんだよ。なんか俺が恩恵の存在を教えてから、その勘の鋭さは増してるような感じがする。

 「ダメだな。択当て系はアンジーが有利すぎる」

 かと言ってブラックジャックやポーカーもダメなのが困るところ。
 ブラックジャックは絶対にバーストしないし、ポーカーはブラフなんて全く通用しない。
 イカサマするしかないじゃんね。あんまり詳しくないんだけど。

 「アンジーがカジノの支配人とかやったら良さそうだな」

 「そうねぇ。でも最近は強くなるのが楽しいからパスかしらね。限界まで強くなったつもりだったけど、ボスの鑑定のお陰でまだまだ強くなれるって分かった事だし。それに私が怠けてたらローザにあっという間に追い抜かれちゃうわ。あの子の誇れる師匠でありたいのよ」

 おお。なんかアンジーが大人だ。
 いや、元から大人だし、俺が暴走しそうな時はしっかり抑えてくれる良い人なんだけど。
 まさかそんな風に思ってたなんて。なら、これからも戦闘部の方で頑張ってもらいますね。

 カジノは詐欺師の職業持ちとか、そっち方面に向いてそうな奴を秘密基地で育成中だし。
 俺の知ってるイカサマも教えたりしてるしね。
 早くカジノ経営もしたいもんです。

 「おっと」

 ガタガタっと馬車が揺れる。
 この馬車はこの異世界の馬車よりも優秀なんだけどね。それでも揺れる時は揺れる。
 これ以上どうしろと思ってたんだけど、良く考えたら車輪をゴム製にしたら更に衝撃吸収出来るのではと思い付いてしまった。

 「ふむ。ちょっと休憩」

 俺はトランプを少し中座して、アイテムボックスから紙と筆記用具を出す。
 アイデアが思い付いたらすぐにメモしておかないとね。俺は馬鹿だからすぐに忘れちゃうんだ。

 思い付いたアイデアに、俺が知ってる現代知識を分かるだけ添えておいて、後は生産部に丸投げ。
 するとあら不思議。いつの間にかあいつらはそれなりの形にしてくれているのです。

 「ゴムの木が必要か? なんか魔法的なサムシングで他で代用出来ないもんか」

 なんか木から出てくるベトベトのやつが原材料なんだよね? 昔子供番組でゴムの作り方でそんな風に言ってた様な気がする。デトックス? ラテックス? そんな感じの名前のやつ。

 あ、硫黄も使えるんだっけ? 温泉が出たしその辺も活用出来るよね。硫黄なんて火薬とそれぐらいしか使い道は知らないんだけど。

 「また何か面白い事でも思い付いたのかしら?」

 「うん。ちょっとね」

 アンジーは若い時にそれなりに世界を回ってたみたいだし、何か知ってるかも。
 って事、ゴムについて説明する。今も若いわよと軽く小突かれてから、少し思案するように腕を組む。記憶を探ってるようだけど、組んだ腕のお陰でおっぱいさんがえらい事になっておられる。

 アンジーは俺の視線に気付いたのか、さらにムギュッとして俺を挑発。
 しかし俺は童貞を卒業したのである。そんな安い挑発にはのってやらないぞ。Jrが臨戦態勢になりそうなのをグッと堪えて、しかし視線は胸をガン見。
 流石に他にも人が居るのに盛る訳にはいかない。
 でも眼福は眼福なので。しっかり拝ませていただきます。

 「ボスが言ってる素材かは分からないけど、要はブヨブヨしてたら良いんでしょう? 前にそんな皮膚の魔物が居たような気がするわ」

 「あ、なるほど。何も一から作る事を考えなくても良いのか。魔物素材って手があるのを忘れてたぜ」

 魔法的なサムシングで一から素材を作るとか考えてたけど、魔物素材でそのまま代用出来る可能性もあるのか。まだまだ異世界に染まり切れてないなぁ。これもメモしておこう。

 「どこに居たかしらねぇ。私達は積極的に魔物を狩るような仕事はしてなかったから、そんな難しい所に居た訳じゃないと思うんだけれど」

 「戦争がない時に冒険者の真似事とかしなかったの?」

 「戦争がない時は基本休暇よ。私達はそれなりに腕が良かったから報酬も良かったの。質の悪い傭兵は休暇中も働いたりするみたいだけど。私達はしなかったわね。偶に今みたいな護衛をするぐらいかしら」

 そういうもんか。まぁ、アンジーは強いもんなぁ。レーヴァンの初期メンバーは歴戦の猛者って感じだし。昔からのメンツは強いんだよな。最初は魔物相手に苦戦してたけど、それもすぐに慣れたし。

 まぁ、そのお陰でクトゥルフの人員の対人戦レベルはメキメキ上昇している。
 やっぱり実戦慣れしてる人達に教えてもらうと全然違うよね。ありがたい限りである。

 「マーヴィンに聞いたら分かるかもしれないわ。几帳面な性格で物覚えも良いから、その魔物についても覚えてるかも」

 「ほーん。じゃあ聞いてみるか」

 それもメモしておこう。
 そう思って紙に書いてると、気配察知に反応があった。うむ。ようやく馬車旅の初イベントである。
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