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第5章 クトゥルフ再始動
第103話 お宝発見
しおりを挟む国境までもう少しというところで、最後の盗賊団にでくわした。
勿論アンジーがやってくれました。以上。
「てか、これどうやって利益分配してんだろうな。こんなの一個目の盗賊団が断然有利じゃん」
「何かしらの取り決めがあるんでしょう」
獣道を歩き、盗賊団のアジトに向かってる最中にふと気になった事を聞いてみた。
一個目の盗賊団が襲いまくれば、二個目三個目の盗賊団は獲物が通らないよね。
一体どうやってやり繰りしてたのやら。もう死んじゃったから聞くことも出来ないけど。
全く。アンジーが全部殺しちゃうから。血の気が多いのはやーねー。
「ボスの指示に従っただけよ。ひどい事言う人ね」
「てへぺろ」
「お宝はっけーん!!」
特に期待もせずに捕虜にされてた人を鑑定してさっさと次に向かおうと思ってたんだけど、お宝人材を発見しました。
鼻息が荒くなってしまっても仕方ない。
☆★☆★☆★
『名 前』 アリーナ
『年 齢』 16
『種 族』 獣人
『レベル』 19/456
『体 力』 E/C
『魔 力』 E/A
『攻撃力』 F/B
『防御力』 E/C
『素早さ』 E/S
『知 力』 E/A
『器 用』 E/EX
『恩 恵』 忍術
『職 業』 隠者
『属 性』 無 風 水
☆★☆★☆★
忍術! 忍術ですよ!!
男の子の心を掴んでやまない忍術!
分身とかしてくれるんだろうか。それとも身代わりの術とか。螺旋○とか、千○とか。
九尾とか封印されてない?
「にゃ、にゃんですか?」
しかも猫獣人。しっかり言葉に『にゃ』が入ってるのもポイントが高い。ほんとこの世界はお約束が分かってらっしゃる。
ローザの狼耳も良かったけど、猫耳も良きですなぁ。
「ボス。興奮してるのは分かるけど、さっさと契約しちゃいなさい。話はそれからよ」
「おっと。忍術なんてのを知らされるとね」
ん? 待てよ。忍術って魔法で再現しようと思えば大体出来てしまうような?
いや、ダメだダメだ。魔法と忍術は別物。そう考えておかないと夢がなくなってしまう。
俺のロマンは壊させない!
とりあえず混乱してる忍術猫娘のアリーナをいつもの様に口八丁で丸め込み、契約を交わす。
やってる事は盗賊と変わらん。俺の方が人道的に扱うから許してほしい。生活も多分そこらの人間よりは良くなる筈だから。
他の捕まってた奴らも同じ様に契約して転移でアジトに送る。アリーナも送った。
「あら? 連れて行くと思ったのに。アジトに送ったのね」
「最低限、基礎知識とかは勉強してもらわないと。連れ歩くにしても弱いし。自衛程度は出来る様になってもらわないと困る」
そりゃ忍術のあれやこれやは気になるよ。このまま旅のお供にして、思う存分堪能したい。
でも今は優先順位がありましてね。国境でいざこざがあるかもしれないのに、弱いのは置いておけないよ。
「そう。まぁ、ボスがいいなら私はどっちでも構わないけど。すぐに向かうのかしら?」
「うん。国境いざこざイベントをこなして、隣国に突入だ」
万が一に備えて追加で戦闘員何人か呼んでおこうかな。なんだったらローザの初めての対人戦の練習相手として使うのに丁度良いかも。
もしかしたらローザは対人戦に不向きかもしれないし。人を殺せる雰囲気が微塵もないもの。優しい子だからねぇ。
「どう思う?」
「私は案外すんなり殺る子だと思うけどねぇ」
成人してからデビューさせようと思ってたけど、無理なら無理って早めに分かる方が良いか。
ローザと他何人かに準備するように言っておいて、戦闘に発展したら転移で呼び出そう。
「止まれ!!」
国境の門に近付くと門番の兵士に止められた。
一応ここも帝国の管轄。これを超えると隣国になる。だからまともな兵の対応には期待してなかった。辺境伯があんなんだったし、何人かは盗賊団と繋がってたしね。
「ボス。ダメな予感しかしないわ。呼んでおいて」
「あいあい」
御者の戦闘員が応対してくれてるが、アンジーはもう既に見切りをつけていた。
俺も聞いてる限りダメっぽいなと思ったし。
「どうやってここまで来た! 商人の馬車が無事にここまで来れる訳なかろう!」
こんなのを平気で大声で言ってるんだよ?
もうほとんど答え行っちゃってるよね。国境を警備してる人全体がこんな感じなんだろうな。
じゃないと、大声で言わないだろうし。余程の馬鹿じゃなければ。
「うぇー」
ローザとマーヴィン、他5名程を追加で呼ぶ。
転移酔いをしたローザが顔を顰めてるが、俺の姿を見つけると一転。耳を立てて尻尾をブンブンして突っ込んでこようとした。
が、アンジーがそれを止める。
「ローザ。今日は本当の殺し合いよぉ。いつもの訓練と違うの。気を引き締めなさい」
「! 師匠! 分かりました!!」
ローザが突っ込んでくるのを躱すのが、俺の密かなマイブームだったんだが。
アンジーにカッコいい師匠ムーブをされて、キャンセルされてしまった。ちょっぴり悲しい。
「全員ひっ捕えろ!! こいつらは我らが同胞を殺した賊共である!!」
なんて事を思ってたら、表では話が拗れに拗れていた。なんか同胞を殺した賊扱いになってる。
全然意味が分からんのだが。なに? 盗賊が同胞だったの? もう帝国やばいじゃん。辺境が落ちるところまで落ちてるよ。
「ローザ無理なら早めに言えよ」
「大丈夫!!」
目が爛々としてらっしゃる。
魔物と人はまた別だと思うけど、本当に大丈夫だろうか。同じ命って割り切るのに、俺でも結構時間が掛かったんだが。
初めて人を殺した時は俺も結構きつかったような。あれ? 極限状態だったからそうでもなかったかも。ちょっと覚えてないですねぇ。あの頃は生きるのに必死だったもので。
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
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