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第5章 クトゥルフ再始動
第106話 街に到着
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フレリア王国デッカー領。
伯爵さんのご領地だな。
検問でギルドガードを見せて街に入る。
「ほー。思ったよりも栄えてるな」
「ペテスは冒険者が多かったけど、ここは商人と半々って感じね」
ペテス領みたいに半分要塞みたいになってる訳じゃなくて、ちゃんとした街だ。
「とりあえず今日の宿か。それと商業ギルドに行って店舗を紹介してもらおう」
宿を取って早速行動開始。
情報部の人間は早速街中に散って行ったし、商業部の人間は俺と一緒にギルドへ。
戦闘員は冒険者ギルドを見に行った。護衛はアンジーが居たら充分だしね。
途中で屋台やら商会を遠目に見て軽く市場調査をしてみる。
「え? あれ? 安くない?」
なんか全ての商品が安く見える。
帝国と同じ様な商品なのに。
「帝国は税が高いもの。その分高くしないと利益が出ないわ」
「なるほど。ここは安いのか?」
「普通よ。帝国が異常なのよ」
ふーむ。我が生まれ故郷は結構終わってる国なのかね。ちょっと情報操作でもしたら、すぐに民衆を味方にして革命でも起こせそうだ。
「商売するには申し分なさそうか」
ちょっと考えてた値付けからは修正が必要か? いや情報を仕入れてないのは俺だけだからな。
ホルトや他の奴らがしっかり考えてくれてるか。なんたって俺と違って優秀な人間が揃ってるからね。
「ご紹介出来る店舗物件はこちらになりますね」
商業ギルドで店舗紹介してよーとお願いしたら、滅茶苦茶丁寧に対応された。
こういうのって、お前達に紹介する物件なんてねぇ! みたいな展開もあるかなと身構えてたのに。
ワクワクしてたとも言う。そういうのはないみたいで。残念。
「ふむ。まぁ、簡単に言えば富裕層向けか、庶民向けかって事か」
なら俺達はとりあえず庶民向けからスタートだな。便利魔道具を売って、まずは冒険者を味方にしたい。富裕層向けはもっと俺達の商会が有名になってからで良いだろう。
転送箱ぐらいしか売るもんないし。あ、富裕層向けに豪華なボードゲームは用意しておくべきか。
「じゃあこの物件を見せてもらえますか?」
「勿論です」
俺の役者演技は上手くいってるんだろうか。
俺だけが椅子に座って、大人は後ろで控えてる感じは不自然だけど。どっかの坊ちゃんがなんかやってらぁぐらいに思ってくれてれば良いけど。
「え? 滅茶苦茶良い物件じゃん」
「元々商会があった場所ですね。老齢になって、最近閉められたみたいで。田舎で余生を過ごしたいので、早めにまとまったお金が欲しいみたいです。なので、少しお安めでも一括で払ってくれるお客様に売りたいとの事です」
案内してもらったのは、表通りにあって冒険者ギルドから徒歩五分という好物件。
こんな好立地の物件が空いてるとは。
箱自体もそれなりの大きさで全三階。
一階部分は店舗にして、二.三階は住居に出来る。
「倉庫もあるんですね」
「はい。元は雑貨屋だったので、それなりに大きめの倉庫が用意されてあります」
文句ない。素晴らしい。
それなりのお値段がするけど即決である。
「じゃあここでお願いします」
「ありがとうございます。では早速ギルドで契約と参りましょう」
アンジーにお金を出してもらって、すぐに店舗を購入する。
なんか自分でお金を出すより、部下に出してもらった方がそれっぽいでしょ。
「改装はどうなさいますか? もしよろしければこちらで業者を紹介させて頂きますが」
「あ、それはこっちでやります。知り合いに改装する時は声を掛けてくれと言われてるので」
「かしこまりました。では、こちらが店舗の鍵になります。本日はありがとうございました」
まぁ、うちの生産部にやってもらうんだけど。
それに転移装置の設置とか、見せれない事もあるしね。
「さて。今日の予定は終わったな」
「結構お金使ったわね。早い事商会を稼働させないと、どんどん目減りしていくわよ」
それな。
クトゥルフは現在収入がないので。
ペテスの裏社会と表の商会を全部引き上げちゃったから。今思っても失敗したよなぁ。表の商会ぐらいは残しておくべきだった。
向こうの情報を集める点でも、商会は都合が良かったんだけど。
「てか、アンジーを表に出したのもミスったな。裏で色々動いてもらう予定だったのに」
「あ、それもそうねぇ。あんまり派手に動きすぎると私達の商会と関連付けられちゃうわ」
ふーむ。流石俺。
後先考えずに行動してるツケが出て来てるな。
「まぁ、商会関連は大体ホルトに任せる予定だし、時間が経てばどうとでもなるか」
俺達が姿を見せなくなっても特に不審に思われないだろう。出来たてほやほやの商会のトップに会いたがる人間とか居るのかなぁ。
情報の大切さやコネを大切にしてる人なら、アクションがあるかもだけど。
「ボードゲームとか売り出したら嫌でも注目される可能性があるか。何か対策を考えとかないとな」
「ボスが会うのは貴族ぐらいでしょ。他は商業部の人間に任せておけば良いわ」
貴族には流石に商会長が会わないとダメか。
将来的には貴族ですら会うのに、かなりのコネが居る。そんな人間になりたいんだが。
「表では大商会のボス。裏ではならず者をまとめるマフィアのボス。両立するのは中々難しいな」
それでも俺はやるぞ。
いつかは葉巻をふかしながら高笑いしてやるんだ。
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