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第5章 クトゥルフ再始動
第113話 教育の重要性
しおりを挟む深層の狩りから戻ると、マーヴィンとアハムが待っていた。アンジーが先に話を聞いてくれてたみたいで、どうやらデッカー領のスラムを三分の一ほど制圧し終わったので、とりあえずの報告に帰って来たみたいだ。
「拠点を確保して転移装置の設置も終わったっす。なんで、そろそろ一旦契約してもらおうかと思ったんすよ」
という事で早速転移でデッカー領のスラムへ。
拠点はペテス領にあった屋敷とまではいかないが、そこそこ大きい一軒家だ。この辺で一番大きい組織を真っ先に潰したらしい。
で、鑑定と契約をさっさと済ませる。
反抗的な奴も居たが、そこはマリクの出番だ。
嬉々として公開拷問をすると、泣きながら契約させて下さいと頼んできた。素晴らしい。
残念ながら恩恵持ちは見当たらなかったが、結構満遍なく職業が散っている。
文官系の職業持ちもそれなりにいてありがたい限りである。
契約を終わらせると全員を秘密基地に連れて行く。ここからは教育フェーズだ。
秘密基地からクトゥルフの人員を多数呼んで、手に入れたい裏の縄張りを警備させるのも忘れない。
「職業別に分けて、教育よろしく。今回頑張った奴らは経理の方で報酬を受け取るように。少し休んだらまた働いてもらうぞ」
「手配しとくっす」
うし。こんなもんか。
そういえばお腹空いたな。深層から帰って来て、そのままだったし。食堂でご飯でも食べるか。
食堂でご飯を食べながら、そういえば最近アリーナはどうしてるのかと思って呼び出す。
既に何回か話はしてるんだけどね。忍術も無意識にちょっとだけ使ってたみたいだし。
身代わりの術ですよ。テンション上がるよね。勢い余って色々忍術について喋っちゃったよ。
「教育なぁ」
食堂でカタリーナ、ローザ、アンジー、アリーナと話をする。なんだかハーレム系主人公みたいだけど、それはさておき。
どうやら勉強が難しいらしい。
ここぞとばかりにローザが同意してるが、こいつは勉強から逃げたいだけなので、あんまりアテにならない。ゲーム感覚でやらせるようになってからはマシになったんだけどね。
それでもカタリーナやアンジーですら、少し難しいのではと言ってくるって事は見直しが必要なのかもしれん。小学生卒業レベルなんだが。
「期間をもう少し長めにとるべきか。本当は6年かけて学ぶからな」
「それが良いでしょう。焦って中途半端になっても意味がありません」
6年掛けて学ぶとはいえ、この異世界で必要なさそうなのは省いている。
国語なんて読み書きと軽い読解力と文章力があれば報告書は書けるし、社会なんて前世の歴史とか学ばせても仕方ない。
政治の成り立ちとかは商業部とか、内向きの仕事をする奴に必要って事で、本当に軽く教えてるが。
俺も詳しくは知らないし。
理科は生産系の奴らに必要だし、戦闘系の奴らの役に立つ。魔法を使う時とかね。人体構造とかも覚えてると応急処置とかも出来るだろう。
「問題は算数か」
「そうねぇ。計算で躓く人が多いわ。スラムに住んでる人間なんて学がある訳ないしね。よっぽどの事情がないなら、計算が出来る人間はそれなりのところで雇われてるはずよ」
庶民が知識をつけると貴族達は都合が悪いだろうからね。馬鹿の方が扱いやすいし、知識ってのは特権階級の貴重なアドバンテージだ。
それがなくなると血筋ぐらいでしか威張れなくなるし、絞るのは当然の事だろう。
「俺はそんな事知ったこっちゃないが。馬鹿の方が扱いやすいかもしれんが、馬鹿すぎるのも困るんだよ。俺の野望の為には、やっぱり最低限の知識は必要だ」
「でもローザは戦うのが専門だよー? 分数の計算なんて役に立たないもーん」
「知識ってのはどこで役に立つか分からないもんなんだ。いずれローザも仕事を誰かから請け負う事もあるだろう。その時に知識がないと、契約で騙されたりするんだぞ」
「その時はぐさーってやるよ! ぐさーって!」
うむ。暴力で解決するのも一つの手段ですな。
それも一つの真理ではある。あるんだが、どうしても、それだけで解決すると面倒な事ってのはあるもんだ。そういう時に知識さんが役に立つかもしれないんだよ。
「まぁ、ローザを一人で大事な契約をさせる場面なんてないか。絶対補佐をつけるし」
「ですね。危なっかしすぎます」
優秀な副官が必要です。
アンジーがベストなんだが、アンジーは主に俺の護衛を頑張ってもらおうかななんて思ってるし。
マーヴィンかなぁ。あいつも苦労性な人間はなんだけど。俺が馬車旅してる時は結構振り回されたらしいし。うーん、チャールズもつけてやろう。
同じ振り回されてる者同士仲良くやれるだろう。
「にゃー。アタシも頑張るにゃー」
アリーナは話を聞いてるみたいだが、それよりもご飯に夢中だ。にゃーにゃー言いながら幸せそうに食べてる。見た目はシュッとしてる感じなんだけど、意外と食いしん坊さんみたいだ。
俺の前世知識の料理を教えてるだけなんだけどな。これでもまだ満足してない。米ないし。
ここまでテンプレに忠実な異世界なら、絶対に日本風の国とかあると思うんだよね。
侍なんて職業がある訳だし。いつか行ってみたいもんだ。
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