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第一章
11.誕生パーティーにて②
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ガゼボのベンチに座り込んでいたのは、見知った少女だった。
マリーベル・オルドリッジ侯爵令嬢――
たしか、まだ十六歳になったばかりだったはずだが、以前、出会ったときに感じたように、彼女からは女性らしからぬ
覇気が感じられた。
今も人の気配を敏感に感じ取ったのか、座り込みながらも、手はドレスの裾へと伸びていて、その裾からはナイフのような鈍く銀色に輝く刃先が覗いていたのだが、こちらの正体に気付いたのか、素早く体勢をもとに戻していた。
「……」
「……王太子殿下……」
戸惑うように声が掛けられる。
「驚いたな、君は踝にナイフを忍ばせているのかい?」
「え? あ、こ、これは……」
「流石、オルドリッジ一門だけのことはある」
レイモンドの声からは、ただ感心している気持ちしか感じられず、彼女は益々困惑気味に問いかけてきた。
「あ、あの……レイモンド殿下は、女だてらに剣を操るなどと、呆れたりなさらないのですか?」
「まぁ、おんな子供は守るべき存在ではあるが、だからといって、守られるばかりの存在でいる必要もないだろう? 自分の腕を過信するのはよくないが、自分の腕で守りたい存在があるのなら、俺は女性が闘うことを否定はしないぞ」
俺の応えに、その青灰色の瞳が見開かれる。
「ん? 俺の言葉はそんなに意外なものか? それが、オルドリッジ家の家風だろ?」
「確かに我が一族は、殿下がおっしゃられた通り、領民を守ることを心情としておりますが、大抵の方は、女が闘うことを拒否されますので……」
「アスラン公は、オルドリッジ家にかなり助けられたと聞く、そなたたちは、自分たちの生き様を誇りに思って良いと思うぞ」
「……」
「如何、今そなたと会っているところを見咎められる訳にいかないからな、俺は少し庭園を廻ってから戻るが、そなたはもう戻れ」
「はい、御前を失礼いたしました」
彼女は、見事なカーテシーを見せて、立ち去っていく。
レイモンドは、月明かりを受けて煌めく銀青色の髪を夜風になびかせて会場へと戻っていく彼女へと一瞬だけ視線を向けたが、すぐに反対方向へと歩きだし、レイモンドの姿が見えないことに郷を煮やした王妃の命を受けて、探しに来た従僕に見つけられるまで、庭の散策を続けていたのだった――
マリーベル・オルドリッジ侯爵令嬢――
たしか、まだ十六歳になったばかりだったはずだが、以前、出会ったときに感じたように、彼女からは女性らしからぬ
覇気が感じられた。
今も人の気配を敏感に感じ取ったのか、座り込みながらも、手はドレスの裾へと伸びていて、その裾からはナイフのような鈍く銀色に輝く刃先が覗いていたのだが、こちらの正体に気付いたのか、素早く体勢をもとに戻していた。
「……」
「……王太子殿下……」
戸惑うように声が掛けられる。
「驚いたな、君は踝にナイフを忍ばせているのかい?」
「え? あ、こ、これは……」
「流石、オルドリッジ一門だけのことはある」
レイモンドの声からは、ただ感心している気持ちしか感じられず、彼女は益々困惑気味に問いかけてきた。
「あ、あの……レイモンド殿下は、女だてらに剣を操るなどと、呆れたりなさらないのですか?」
「まぁ、おんな子供は守るべき存在ではあるが、だからといって、守られるばかりの存在でいる必要もないだろう? 自分の腕を過信するのはよくないが、自分の腕で守りたい存在があるのなら、俺は女性が闘うことを否定はしないぞ」
俺の応えに、その青灰色の瞳が見開かれる。
「ん? 俺の言葉はそんなに意外なものか? それが、オルドリッジ家の家風だろ?」
「確かに我が一族は、殿下がおっしゃられた通り、領民を守ることを心情としておりますが、大抵の方は、女が闘うことを拒否されますので……」
「アスラン公は、オルドリッジ家にかなり助けられたと聞く、そなたたちは、自分たちの生き様を誇りに思って良いと思うぞ」
「……」
「如何、今そなたと会っているところを見咎められる訳にいかないからな、俺は少し庭園を廻ってから戻るが、そなたはもう戻れ」
「はい、御前を失礼いたしました」
彼女は、見事なカーテシーを見せて、立ち去っていく。
レイモンドは、月明かりを受けて煌めく銀青色の髪を夜風になびかせて会場へと戻っていく彼女へと一瞬だけ視線を向けたが、すぐに反対方向へと歩きだし、レイモンドの姿が見えないことに郷を煮やした王妃の命を受けて、探しに来た従僕に見つけられるまで、庭の散策を続けていたのだった――
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