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変わり、始まる
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入院して一日目の昼。目が覚めると、もう会わないと決めたあいつが目の前にいる。
(夢じゃない…みたいだな。)
「んで?いつからここに居るんだよ。」
「朝の十時からだ。」
「は?今十三時だぞ?お前三時間も何してたんだよ。」
「そこに置いてあった本を勝手に読んでいた。」
「颯悟本なんて興味あったのか?」
「いや、お前が最近何にハマっているのかが知りたくなってな。好みは昔と変わってないな。」
「別に知らなくても、俺と関わることはもうないだろうから意味無いと思うぞ。」
「何でだ?明日も来るぞ?」
「来なくていいから!ってか学校はどうしたんだよ?」
「サボった。」
「は?」
「明日もサボる。」
「やめとけよ笑みんな心配するぞ。ただでさえお前は人気者なんだから。」
(やめろ、これ以上俺に構うな。)
「それはお前も同じだろう。みんな心配してたぞ。」
「気を遣わなくていい。お前以外は誰も家に来なかったし、不登校になって一週間もすれば連絡も途絶えた。…上辺だけの友達なんてそんなもんだ。でも良いんだ。あいつらと一緒に居ると本当の自分じゃ居られなくなっちまう。」
「良いんじゃねぇか?別に。適当につるんどけよ。」
「は?どっちだよ。あの時は昔の俺が好きだとか言ってたくせに。だから俺は―」
「だから…俺の前まで自分を偽る必要ないだろ?」
「いや…だから…。」
こいつはいつも俺が一番苦しい時に現れて、一番欲しい言葉をくれる。でも、お前は独りじゃないから、すぐどこかに行ってしまうんだ。そんなの悔しい。まるで颯悟が居ないと生きていけないみたいでみっともない。
だから、俺は俺だけの居場所をつくった。お前が居なくても大丈夫だとすました顔をして、心にぽっかり穴を開けたままやり過ごした。お前が俺と同じ気持ちになって、慌てればいいと思った。だが、お前が態度を変えることはなかった。先に壊れてしまったのは俺の方だった。
いっそのこと、颯悟の体も心も、俺だけのものになったらいいのにな。俺だけを見て欲しい。俺だけに笑いかけて欲しい。あぁ、お前のこと考えてたらどんどん欲張りになっちまう。
「どうした?もしかしてまた熱上がって来たんじゃないか?」
「…あぁ、そうみたいだ。」
「やっぱり…今日はもう休め。寝るまで隣に居てやっから。」
「……ありがと。」
頭に血が上って会話に集中出来ない。
やっぱりこれは熱のせいだよ。そうじゃなきゃ、この胸の高鳴りでどうにかなってしまう。
(…確か明日も来るって言ってたよな?今度はちゃんと起きてよう。)
自然と緩んだ口元を隠すかのように布団に顔を埋めて、颯悟が帰るまでギュッと目を瞑った。
次の日も当然のようにあいつはやってきた。昨日見舞いでくれたオレンジ色のガーベラが枯れてしまわないように、押し花にして栞を作った。颯悟の分も作って、お守り代わりだと言って渡した。本なんて読まないくせに、すごく喜んでいた。その時のキラキラした目が澄んでいて、不純な理由で渡してしまった自分が恥ずかしい…。
(お揃いにしたかっただけなんて、口が裂けても言えない。)
今思えば、あの時から颯悟のことを好きだったと思う。
颯悟に話しかけられるだけで嬉しくなって、触れられただけで心臓が張り裂けそうになった。
(でも、絶対にバレてたまるか!)
颯悟は俺の事を腐れ縁だと思っているだろうし、友達の範疇を超えてくることはないだろう。
(俺が頑張って、少しでも意識させられたら……なんて。)
やっぱり俺は傲慢だ。そんな夢みたいなことが起きたら、それは奇跡以外の何物でもない。
(夢じゃない…みたいだな。)
「んで?いつからここに居るんだよ。」
「朝の十時からだ。」
「は?今十三時だぞ?お前三時間も何してたんだよ。」
「そこに置いてあった本を勝手に読んでいた。」
「颯悟本なんて興味あったのか?」
「いや、お前が最近何にハマっているのかが知りたくなってな。好みは昔と変わってないな。」
「別に知らなくても、俺と関わることはもうないだろうから意味無いと思うぞ。」
「何でだ?明日も来るぞ?」
「来なくていいから!ってか学校はどうしたんだよ?」
「サボった。」
「は?」
「明日もサボる。」
「やめとけよ笑みんな心配するぞ。ただでさえお前は人気者なんだから。」
(やめろ、これ以上俺に構うな。)
「それはお前も同じだろう。みんな心配してたぞ。」
「気を遣わなくていい。お前以外は誰も家に来なかったし、不登校になって一週間もすれば連絡も途絶えた。…上辺だけの友達なんてそんなもんだ。でも良いんだ。あいつらと一緒に居ると本当の自分じゃ居られなくなっちまう。」
「良いんじゃねぇか?別に。適当につるんどけよ。」
「は?どっちだよ。あの時は昔の俺が好きだとか言ってたくせに。だから俺は―」
「だから…俺の前まで自分を偽る必要ないだろ?」
「いや…だから…。」
こいつはいつも俺が一番苦しい時に現れて、一番欲しい言葉をくれる。でも、お前は独りじゃないから、すぐどこかに行ってしまうんだ。そんなの悔しい。まるで颯悟が居ないと生きていけないみたいでみっともない。
だから、俺は俺だけの居場所をつくった。お前が居なくても大丈夫だとすました顔をして、心にぽっかり穴を開けたままやり過ごした。お前が俺と同じ気持ちになって、慌てればいいと思った。だが、お前が態度を変えることはなかった。先に壊れてしまったのは俺の方だった。
いっそのこと、颯悟の体も心も、俺だけのものになったらいいのにな。俺だけを見て欲しい。俺だけに笑いかけて欲しい。あぁ、お前のこと考えてたらどんどん欲張りになっちまう。
「どうした?もしかしてまた熱上がって来たんじゃないか?」
「…あぁ、そうみたいだ。」
「やっぱり…今日はもう休め。寝るまで隣に居てやっから。」
「……ありがと。」
頭に血が上って会話に集中出来ない。
やっぱりこれは熱のせいだよ。そうじゃなきゃ、この胸の高鳴りでどうにかなってしまう。
(…確か明日も来るって言ってたよな?今度はちゃんと起きてよう。)
自然と緩んだ口元を隠すかのように布団に顔を埋めて、颯悟が帰るまでギュッと目を瞑った。
次の日も当然のようにあいつはやってきた。昨日見舞いでくれたオレンジ色のガーベラが枯れてしまわないように、押し花にして栞を作った。颯悟の分も作って、お守り代わりだと言って渡した。本なんて読まないくせに、すごく喜んでいた。その時のキラキラした目が澄んでいて、不純な理由で渡してしまった自分が恥ずかしい…。
(お揃いにしたかっただけなんて、口が裂けても言えない。)
今思えば、あの時から颯悟のことを好きだったと思う。
颯悟に話しかけられるだけで嬉しくなって、触れられただけで心臓が張り裂けそうになった。
(でも、絶対にバレてたまるか!)
颯悟は俺の事を腐れ縁だと思っているだろうし、友達の範疇を超えてくることはないだろう。
(俺が頑張って、少しでも意識させられたら……なんて。)
やっぱり俺は傲慢だ。そんな夢みたいなことが起きたら、それは奇跡以外の何物でもない。
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