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再会のとき

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9日目の朝、テオドールは第二騎士団とイシニスの王族ら、罪人達を連れ王都へ戻ってきた。

城門をくぐった所で、玄関ホールからリリィベルがテオドールに向かって走ってやってくる。

それを見つけたテオドールは愛馬アースから飛び降り、
両手を広げた。

目一杯走ってきたリリィベルを受け止めるテオドール。

「テオっ‥‥‥」
「リリィ‥‥‥‥」

ぎゅっと抱きしめ合う2人は何年離れていたのだろうか。

「‥‥‥‥‥‥」

と言う目でロスウェル含め第二騎士団らまでもが見ていた。

ロスウェルは、2人の再会を冷めた目で見ながらも、
こっそり魔術で花びらを咲かせてあげたのだった。

騎士団達は、その花びらは2人から出ていると信じて疑いもしなかった。それ程、2人は感動の再会だったのだから。


「リリィ‥‥会いたかったぁ‥‥‥」
その華奢な肩に顔を埋めてその髪の感触、抱きしめて伝わる体温を存分に確かめた。
「私もっ‥‥‥ずっと‥‥お帰りを待っていましたっ‥」
リリィベルの瞳からはハラハラと涙が落ちる。

その可愛らしいリリィベルの姿に、騎士団は微笑ましく見た。可愛いものは可愛いのだ。

「ちょっとちょっと!!そんな目で見てたら殿下に斬られますよ!」
ロスウェルが小声でカールに話した。
カールまで微笑んでいる。

「あぁ、これはもう、兄の境地ですよ?ロスウェル殿。
みんな殿下の溺愛ぶりを嫌と言う程知っていますので、

そう、兄の様な、親戚の様な境地です。
見てください?泣いて喜んでます。可愛いですね。」

そう言ってみんなが朗らかに微笑んでいる。

さっきまではドン引きしてたけれど、
可愛いリリィベルの存在は、第二騎士団の中では、
姪っ子を見る様な境地となっていた。

「へぇ~‥第二騎士団は骨の髄まで殿下の部下ですね。」

ロスウェルの言葉にカールは笑って告げる。
「でなければ‥‥‥あの体力お化けの殿下の訓練にはついていけないんですよ。体力バカです。もーバカです。

今は愛に溺れるバカです。ははっ!もうすっごいバカ!」
そう言って4本の指でピシッとテオドールを指した。

「‥‥‥いいんですか?そんなに言って‥‥」
ロスウェルはテオドールの方をドキドキしながら見た。
だが、カールはテオドールを見ながら続ける。

「見てください?聞こえてると思いますか?
愛にズブズブで聞こえるわけないでしょ?
それに私達は殿下を敬愛しておりますっ‥‥

はぁ‥‥‥ほんと‥‥体力もバカで、愛もバカ。

もう愛すべきバカですっ。!




また1日でカドマンから戻るなんて‥‥‥

本当、頭イカれてんすよ‥‥」

最後はもう愚痴だった。
また1日で城まで駆け抜けさせられた。
ロスウェルは目を点にして聞き流そうとした。


今も変わらず、恋人の再会は続いている。
その間立ちっぱなしの刑の彼ら。リリィベルの可愛さが支えだった。可愛い姪っ子の眼差しで見てないとつらい。


テオドールはリリィベルを片腕に抱き上げて見上げる。
「また羽を減らしたな?リリィ?ちゃんと食べてたのか?」
「食べていましたっ‥お義母様と一緒にっ!信じてくださいっ‥」

「そうかぁ?抱き上げる度に軽いんだがな‥‥」
そう言ってリリィベルを抱き上げたまま城に向かって道を歩き出した。

やっと【待て】から解放され、皆が歩き始める。

「9日も離れていたのですっ‥私もお忘れになったのでは?」
ぷくっと頬を膨らませてリリィベルは意地を張った。

「忘れるわけねぇだろ。俺が軽いったら軽いんだよ。」
「今日の服のせいですっ‥着ている服が違うからっ‥」

「まー、昼間は忙しくて一緒に居られないが、
飯の時に確かめるからな?お前の食いっぷりが変わってないか。」
「テオっ‥テオこそ痩せたのではっ?」
「俺はいーんだよ。」
「ずるいですっずるい!」
「あんまり可愛い顔ばっかしてると食っちまうぞ!」
「っ‥‥‥人前ですっ‥‥。」
「ほら!だから早く一旦部屋に行くぞ。
あ、そうだ!おいカール!」

テオドールは振り向いた。
「あっ、はい殿下!」
「イシニスの奴ら厳重に放り込んでおけよ?」
「もちろんです!」
「あとお前、今から城門の外50周してこい」

「えっ?」
カールの目が点になる。

テオドールの目がギロリと光った。

「誰が愛にズブズブのバカだ聞こえてんだ馬鹿野郎がぁ‥‥‥」

そして、カール以外も睨み回した。
「お前らも、俺は地獄耳だからな‥‥‥。

下手な事口にしない方がいいぞ?

カールの二の舞になりたくなかったらなぁー?

わかってるなー?」
語尾の声のトーンをあげて聞いた。

「はい!!!皇太子殿下!!!!」
皆が拳を胸に当てて良い声で返事を返す。


「殿下ぁ!!!!50は嫌!!!!それは嫌!!!」
カールが必死に懇願した。
「るせぇー!!!じゃあ30!!」
「えっ!!ほんと?!」
「じゃあ150!!!!!!」
「死ぬ!!!」


テオドールはふっと吹き出した。

「嘘だよ!バーカ!!!」

この日、久しぶりに幸せで‥‥‥
嬉しそうなテオドールの笑顔がその場に咲いた。
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